日本初の女性漫画家である長谷川町子の4コマ漫画を原作に、1969年からアニメ放送もスタートした「サザエさん」。令和の今も愛され続けている国民的人気作品がアニメ放送50周年記念で舞台化されたのは2019年のこと。東京・明治座と福岡・博多座で公演が実現し、好評を博したのも記憶に新しい。あれから2年―。前回同様、東京・福岡に加え、今回は大阪での上演が決定。大好評のうちに幕を下ろした東京・明治座に続き、2月22日~27日の大阪公演を経て、3月3日からは博多座に帰って来る!
前作は漫画の設定から10年後の磯野家を舞台に、一家の日常を描いていたが、今回の物語は前作からさらに数年後の磯野家の物語が描かれる。そんな舞台版で主人公・フグ田サザエを演じるのは、前回に続いて藤原紀香。また、本作では共演者も豪華メンバーが!前作に引き続き、サザエの父・磯野波平役に松平健、一家を暖かく見守る母・フネ役には高橋惠子、サザエの夫・マスオ役には葛山信吾、そして・・・磯野家の愛猫・タマ役には酒井敏也を迎える。さらに今作では新キャストにカツオ役に近藤頌利(劇団Patch)、ワカメ役には本間日陽(NGT48)が加わり、タラオ役には初演同様大平峻也と若手キャストが揃い、舞台を一層盛り立てる。
今回、ローチケ演劇部では、主演の藤原紀香を直撃!本作への思いなどを聞いた――。
再演が決まったことに対して藤原は、「3年前、皆さんに愛されている日本のサザエさんの舞台化が出来て、毎公演幸せを感じつつサザエさんを演じていましたが、今回またその続編が出来るということで、本当に嬉しいです!今のこの時代だからこそ、皆さんに楽しみと元気と癒しをお届けしたいと思っています」と満面の笑みで語っていた。そして今回、再演ではあるものの、前回から数年経った設定になる…という話から、「原作からは10数年後となります。ワカメもカツオもいろんな経験を積んで悩みも抱えていたり、マスオさんが管理職について出世していたりという変化もお見せ出来ますが、もう1つ今回新しいことがあるとするなら‥・、今回はイクラちゃんが初登場するんです!だから、前回観て頂いた方でも楽しめる内容になっています。家族それぞれが抱える悩みに対して、サザエさんがどう解決していくかも見どころです!」と、単なる再演にはならないことも教えてくれた。
また、前作を振り替えりつつ話はサザエさんと藤原自身の共通点に――。
「世間の皆さまは私のことを、しっかりしているように思っていただけていて有難いのですが(笑)、夫も両親も弟も『素のままで出来るやん!』って言うくらい、実は私おっちょこちょいなんです(笑)。稽古の段階から自分でも『サザエさん、やれるやん!』という感触を得ていたんですが、松平健さんや高橋惠子さんなど共演者のみなさんが原作をリスペクトする気持ちを持って臨まれていたので、稽古の時からみなさんが私をサザエさんにしてくれたと思っています。前回、私がサザエさんを演じるということでイメージと違うって思われていたお客さまたちからも「本当に、サザエさんだったわ!」と感想を言われた時は、涙が出るほど嬉しかったんです。だから、サザエさんにリスペクトの気持ちを持って今回も演じたいですね」と目を輝かせる一方で、共演者については「昨年、舞台『魔界転生』で共演した時の松平さんは、その時は‟THE松平健!“って感じの(笑)カッコいい侍を演じられていましたが、『サザエさん』になると一転してこれぞ‟日本のお父さん!”といった波平さんを演じて頂けているんですよねぇ。侍から日本のお父さんまで…幅広く演じられるようなすごい方と一緒に演れること自体、嬉しいですよね。高橋さんも美しい悪女からフネさんのような日本の優しいお母さんまで演じ分けられる素晴らしい先輩です。前回感じたことですが、マスオさん役の葛山さんも、いつもお芝居のことを考えていらっしゃって、お芝居はもちろん声の感じまでマスオさんにしか聞こえなかったです。そして、年齢不詳のタマを演じる酒井さんのようなベテランの方から、ワカメやカツオなど若手のメンバーまで、サザエさん一家といられることで私がサザエさんとしていられるので、みなさんと共演出来るのが光栄ですし、今回も心強いですね」。
さらに話を進めると、サザエさんの意外な一面を藤原が教えてくれた。
「サザエさんってとてもオシャレで、カラフルなイヤリングを何種類も持っていて、お出かけする時は必ずアイシャドーと口紅を塗っているんです。長谷川町子記念館に行って聞いたお話なんですが、原作者の長谷川町子先生はファッションをすごく勉強されていたそうで、先生自身もファッションが好きだったそうです。だって、ファッション的にとっても難易度高い組み合わせの今日のスカートのような丸い柄とタータンチェックのような柄を組み合わせて描いてみたり!サザエさんって素敵なんですよねぇ。今日着ているセーターの付け襟は、通販で「見つけた!」と思って思わず買ったんですけど(笑)、こういうのもサザエさんっぽくってオシャレでしょ?」と、嬉しそうに語る藤原。しかし、そんな些細な話からも、普段からいかにサザエさんをイメージして役に向き合っているか、彼女の研究熱心な一面を知ることが出来た。
最後に、観劇に来てくださるお客さまたちへのメッセージとして――
「(新型コロナの感染拡大などで)多くの舞台が中止になったりしましたが、こんなご時世の中でも、『舞台を楽しみにしているからね』といったお手紙をくださったり、劇場に足を運んでくださる方がいることを有り難く思います。我々このエンタメの世界にいる者としては本当に嬉しいことなんです。エネルギーを届けたり受け取ったり、目に見えないものですが、元気の交換が出来ているんだなと感じています。この舞台で癒しや楽しみ、そして家族の絆というものをこういう時代だからこそお届け出来たらなと思っています。東京公演を経て、熟した状態で大阪・博多にやって来ますので、本当に待っていてください!」と、一言一言を何か噛みしめるような感じで語ってくれた。
2月22日~27日の大阪・新歌舞伎座公演に続き、3月3日からはいよいよ博多座に帰って来る舞台『サザエさん』。サザエさん一家から元気をもらいに、そして元気を届けに、劇場へ足を運んでみては?
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