世界的戯曲『M.バタフライ』が、俳優・内野聖陽と岡本圭人という顔合わせで32年ぶりに日本で上演決定!
本作は、あるフランス人外交官が国家機密情報漏洩という大罪を犯すほど愛に溺れた相手が性別を偽った中国のスパイだった…という、1960 年代の中国・北京で起きた衝撃的な事実に着想を得て、劇作家・デイヴィット・ヘンリー・ファンがオペラ『蝶々夫人』を劇中に取り入れながら創り上げた戯曲だ。ブロードウェイで上演されると、京劇のもつエキゾチシズムや興味深い登場人物たちと重層的な戯曲の構成が絶賛され、1988 年にはトニー賞最優秀演劇賞を受賞し、世界30 ヵ国以上で上演された。そんな本作が32 年ぶりに日本で上演。6月の東京公演を皮切りに、7月からは大阪へと舞台を移し、福岡・愛知と公演が続く。
本作の主人公、ルネ・ガリマールを演じるのは、徹底した役の掘り下げに裏付けされた演技力と圧倒的な存在感を放つ、内野聖陽。物語では、投獄されたルネが観客に、自身の「正しさ」を『蝶々夫人』と対比させながら観客に説いていくうちに、やがてその全貌が浮かび上がる。エネルギッシュでありながら細やかに丹念に人物を表現する内野の真骨頂が発揮されるだろう。
そして、毛沢東のスパイでありながら、京劇女優に身分を偽るソン・リリンは、岡本圭人が務める。岡本は、アメリカ最古の名門演劇学校であるアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツへ留学し、帰国後に主演した舞台「Le Fils 息子」では、思春期の絶望と不安に苛まれながら必死でもがく青年を見事に演じ切り、称賛された。今回演じるソンという役は、性別も身分も、そして京劇女優の立ち振る舞いも表現することが求められ、岡本にとってはまた新たな挑戦になりそうだ。
そして、ルネの妻ヘルガには、その凛とした佇まいが魅力の朝海ひかる、ソンの監視役の共産党員でチン同志には占部房子、ガリマールの浮気相手役に藤谷理子、ルネの駐在中の上司、トゥーロン役に三上市朗、ルネの幼馴染のマルクにみのすけといった、実力派が顔を揃える。
演出を手がけるのは、劇団チョコレートケーキの座付き演出家・日澤雄介。彼は、歴史的・社会的なテーマを掲げた作品を手がけることを得意とする演出で知られ、会話を中心に、ていねいに人物を描き出す手腕は、演劇界から高く評価されており、第49 回紀伊國屋演劇賞 団体賞、第29 回読売演劇大賞 優秀演出家賞など、受賞も多数。硬派なテーマを含みつつ、生々しい人間ドラマ、愛の物語をどのように展開させていくのか、こちらも大きな挑戦となるので期待も高まる!
内野聖陽 ✕ 岡本圭人 ✕ 演出・日澤雄介からのコメントも到着!
◆内野聖陽
実際に起こったセンセーショナルな事件。それを元にした全くのファンタジー作品です。僕はガリマールの中にある、一見特殊なものの中にある普遍性みたいなものを、いかに表現できるかを大切にした期待も高まる!いと思っています。彼のメンタリティーを生々しく掘り起こしていくこと。まずはそこからだと思っています。現実と虚像、男と女、裏切りと誠実さ、愛と幻想、などなど様々なテーマを投げかけてくれるとても素晴らしいエンターテイメント作品です。
素敵な役者さんたちといっぱいお稽古して、お客様を幻想の世界に誘えたらと今からワクワクしています!どぞご期待ください!
◆岡本圭人
僕が「M.バタフライ」と出会ったのは、ニューヨークの演劇学校でした。「圭人は東洋と西洋の文化や演劇を肌で知っているから劇作家デイヴィット・ヘンリー・ファンの描くこの世界観を届ける力がある」と先生から勧められて勉強していたのが、ソン・リリンの役でした。今回、その役でオファーを頂けたことに驚いているのと同時に、ソン・リリンとの偶然の再会を心から嬉しく思っています。
とても挑戦的な役です。ですがその先に役者として、どう成長していけるのか?ソン・リリンとして彼の人生を舞台上で生き抜けた時にどのような景色が見えるのか?その答えを探るべく役作りに没頭していきます。いつかご一緒したいと思っていた日澤さんが演出される舞台に参加できる喜び、そして尊敬する内野さんをはじめ素晴らしいキャストの皆様とご一緒できるご縁に感謝をして、この作品を皆様にお届けできる日まで、歩み続けていきたいと思います。
◆日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
あまりにも荒唐無稽な実話を、劇作のデイヴィット・ヘンリー・ファンは様々な事象を重層的に組み入れることによって、現在我々が拭い切れていない問題にまで昇華することに成功しました。「蝶々夫人」が生きた国で『M.バタフライ』と向き合う事が我々の立ち位置を明確に照らし出してくれることを期待しています。妥協を許さない内野聖陽さん、瑞々しい感性の岡本圭人さんをはじめ、個性豊かな職人肌の俳優が揃いました。7名の俳優がどの様に化学反応を起こしていくか。俳優のぶつかり合いにご期待ください。