河下楽(AmBitious/関西ジャニーズJr.)音楽劇『星の王子さま』インタビュー

2022年4月、世界中で愛されるサン=テグジュペリ、『星の王子さま』の音楽劇が上演される。

今作は2019年、音楽家中村匡宏の演出・音楽にて上演され、ブラッシュアップした再演となる。主演である「王子さま」役は河下楽(AmBitious/関西ジャニーズJr.)が務める。

王子さまと対話する「飛行士」役に、山本一慶。『星の王子さま』のなかで特別な存在感を放つ「薔薇」「ヘビ」「キツネ」は、元宝塚歌劇団星組トップスター北翔海莉が脇を固める。

舞台初主演となる河下に意気込みをうかがった。

 

──初主演おめでとうございます。

ありがとうございます。主演のお話をいただいた時すごく驚きました。とにかく信じられなくって『僕でいいんですか?』って気持ちでいっぱいで、10分くらい信じられなかったくらいです(笑)。ただ、選んでいただいたので、絶対に結果を残そうって気持ちで頑張っています!僕が演じたからこその個性や姿を全力で表現して、お客さんに喜んでもらえるような王子さまになることが目標です。

 

──実際に稽古がもう始まってるかと思いますが、感触はいかがですか?

まず、すべてが新しいことだらけで、とにかく難しいっていうのが本音です(笑)。僕は「歌が得意」ってずっと言い続けてきたんですが、今回の『星の王子さま』は音楽劇なので、今までの歌とは歌い方から違うんですね。試行錯誤しながら挑戦しています。

それにお芝居も、前回出演させていただいた舞台(『ラン・フォー・ユア・ワイフ』)と違い、今までは、ここではどう動くとか決まっているお芝居やステージが多かったんですね。でも、今回は演出のKAZOOさんに「自分の自由に、思った通りに動いていいよ!」って言われたんです。今までと全然違うので、新鮮で楽しいです。

 

──実際に演じる上で、河下さんらしさを出した王子さまは、どんな王子さまになりそうですか?

僕の個性……うーん。僕、芝居に関してもそうですし、日常生活とかでも(笑)王子さまのように知らないことがいっぱいあるんです。はじめは台本をいただいて、「王子さまは怯えているんじゃないか?」って、演じてみたんです。でも、「もっと天真爛漫な感じで」ってアドバイスをいただきました。僕も同じで見るもの全部新鮮! みたいな共通点があると思います。

 

──原作『星の王子さま』へはどんなイメージがありますか?

実は読んだことがなかったんです。なので、台本がはじめてでした。王子さまは、物語が進むにつれて成長していくんだなって感じました。

王子さまが、ちっちゃくて無邪気な姿から成長して、無邪気なままでありつつ、薔薇やキツネ、ヘビたちと過ごすうちに、人間の大切なものを知っていく。その過程がすごく素敵な話なんかなって。

 

──作品のなかで一番感動した、共感したシーンはありますか?

あります! うぬぼれ屋さんが出てくるシーンで、最後にうぬぼれ屋さんは「称賛が欲しい」っていうんです。それで王子さまは「一緒に笑った方が楽しいのに」って答えるんですね。

勿論、称賛されることも大事かもしれないんですが、僕も王子さまと同じで「称賛が一番大事」とは思えないんです。称賛されることより、相手が笑顔になってくれたり、一緒に笑顔になれた方が嬉しい。だから、このシーンにとても共感しました。

 

──初主演について、周囲の方の反応はいかがでしたか?

一番はじめに連絡をいただいたとき、同じグループの(永岡)蓮王と一緒にゲームしていたんです。電話がかかってきて、「すごいな、ほんま!」と喜んでくれました。他のメンバーもみんな「すごいな!」「おめでとう!」って喜んでくれました。

お母さんとお父さんも、音楽劇っていうことで、「歌上手くなって帰ってこれるやん」って言って喜んでくれましたね。友達とかもたくさん連絡してくれました。すごく嬉しいです。

 

──今回、新鮮なことが多いとのことですが、どんなことが一番新鮮ですか?

一番違うのは、歌い方ですね。僕の普段の歌い方で意識するとしたら、ここでビブラート入れるとかで。

でも音楽劇としての歌い方は、全然違う。感情を込めて、「その景色が見えるように歌いなさい」って言われるし、母音の発音とかも「もっと綺麗に発音して」とか、今まで使ったことのない技術があり新鮮です。

毎日うまくなってる気がして楽しいです。まぁ、本当はまだまだですけど(笑)。

 

──共演される山本さん、北翔さんについてお願いします。

(山本)一慶さんと初めてお会いして、まだ数日(4月上旬)なんです。でも、ほんまにすっごく優しくて。僕の目を見て話しをしてくれる方なんですね。

一慶さんは、僕が人見知りしてあんま喋れへんかっても、話しかけてくれるんです。発声をふたりで練習してるときとかもアドバイスいいただいたり、すでにめちゃくちゃお世話なってますね。飛行士と王子さまは一緒のシーンが多いんですが、一慶さんと一緒でめっちゃ心強いです。後半に飛行士と王子さまが二重唱するシーンがあるんです。今は、ついていくのでいっぱいいっぱいなんですけど、本番までには何とか対等に、一緒にうまく歌えるように頑張ります!

北翔さんは、本当にレベルが違いますね。歌もお芝居も、そのときの情景が見えるんですよ。声も通るし、歌もうまいし、すごいです。読み合わせの段階からそうだったんで、「どうなってんだろう」と、ありえへんぐらいすごかったですね。

 

──舞台を通して感じた、ご自分の長所はありますか?

自分の長所は真面目にやるところ。僕は、真面目にやったらやっただけ、自分のレベルが上がるって思っているんです。なので、努力はしんどいと思わないんですよね。

今回、色々試行錯誤している最中なんですが、この真面目にやるってところは自分の長所やなって改めて気づきましたね。もう真面目にやることだけが取り柄なんで(笑)。

 

──最後に、ご覧のみなさまにメッセージをどうぞ。

この音楽劇『星の王子さま』は、僕自身にとって、初めてのことだらけです。本番までの時間で、自分のできることから毎日、ひとつずつ努力していこうと思っています。最終的には、「観に来て良かったな」って思っていただけるような、めっちゃいい王子さまになれるように頑張るので、ぜひ観に来てほしいです。よろしくお願いします!

 

音楽劇『星の王子さま』は、兵庫公演はあましんアルカイックホール・オクトで4月28日~29日、東京公演はあうるすぽっとにて5月5日~7日、愛知公演はデザインホールにて5月13日~15日を予定している。

 

取材・文=森きいこ