パルコ・プロデュース2022「2020」高橋一生 インタビュー

高橋一生

2020年は運命の分岐点?
高橋一生が人類の歴史を走り抜ける、注目の一人芝居

芥川賞作家の上田岳弘の書き下ろし脚本、俳優であり演出家でもある白井晃が構成・演出を手がけることでも注目を集めている、高橋一生の一人芝居『2020(ニーゼロニーゼロ)』は、どうやら三人の初対面の場から鼓動を始めていたようだ。

高橋「僕が白井さん演出の舞台『マーキュリー・ファー』(2015)に出演しているとき、知り合いのスタッフの方が上田さんと一緒に見に来てくださって、そこで紹介されたのが最初の出会いでした。白井さんは“三人の密談から生まれた作品”とコメントされていますが、実はそれがおこなわれたのは僕の家。そのとき僕はキッチンでご飯を作りながら、ただ二人の会話を聞いていて、いつか二人が面白いものを作るきっかけになればと考えていました。その後、あれよあれよと話が進んで、今、こういうことになりました」

上田の小説の“オビ”に高橋が文章を寄せるなど、出会い以降も親交を深めていた二人。

高橋「上田さんは同じテーマを書き続けている小説家さんで、そのテーマ性が僕はとても好きなんです。人間の行き着く先はどこか、人間が行き止まりになるとしたらどういう状況か。そういったことを、まるで今の状況を予言していたかのように書いている。上田さんのテーマはSFとしてとられがちなんですが、まさに今はそのSFの時代に入ってしまっているような気がします。タイトルにもなっている2020年以前の世界の幻想、残滓を見ているように思えて。僕は、ここで上田さんの小説を読まない手はないんじゃない?と感じるんです。舞台を好きな人にも「上田さんってすごいでしょ?」というのを見せたかったという気持ちも正直ありました」

その注目作『2020』で、高橋は一体どんな役を演じるのだろう。

高橋「劇場にお客さんを入れるところから始まり、僕が皆さんとコミュニケーションをとりつつ、それを体感してもらえるようなお芝居で、僕自身はお客さんと過去と未来をつなぐキャラクターのような存在なのかなと思っています。もしかしたら、役というより高橋一生そのままになるのかもしれません。なにしろ上田さんとの打ち合わせで僕が話していた言葉が、多分に反映されているので。まずは自分たちが面白いと思うものを作るべきだと思っていますが、この作品が観客の皆さんの中に局所的な体験としてでも残り続けてくれたら嬉しいです。劇場でアトラクションを楽しむようにお客さんが存在してくれていたら、僕たちの励みにもなりますし。良かったらぜひ、足を運んでみてください」

インタビュー・文/田中里津子
Photo /植田真紗美

衣装:
ジャケット¥60,000、シャツ¥30,000、パンツ¥36,000
(すべてsuzuki takayuki 電話:03-6821-6701)

※構成/月刊ローチケ編集部 5月15日号より転載

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

【プロフィール】

タカハシ イッセイ
■’80年生まれ。テレビドラマ、映画、舞台など幅広く活躍。金曜ドラマ「インビジブル」(TBS系)が現在放送中。