進化を続けてきた、超常現象に惑う心の物語。
初演2005年。その後、折々にアップデートしながら変奏を重ねてきた物語の2022年版が登場。
5月17日(火)東京芸術劇場シアターイーストにて、イキウメ「関数ドミノ」が開幕した。本作は2005年に初演されて以降、2009年、2014年に再演されたイキウメの初期の代表作。今回は東京芸術劇場シアターイーストを皮切りに、東京・大阪・豊橋で最新型の改訂上演を行います。これまでの作品を観たことがある人も、今回初めての人もイキウメならではの作品に期待しよう!
初日開幕コメント(作・演出:前川知大)
2022年版の「関数ドミノ」初日開けました。初期の代表作を今のイキウメの演出で立ち上げました。余計なものが何もない、緊張感のある、澄んだ舞台になっています。役者も試される空間ですが、集中した良い初日でした。
「ドミノ幻想」
界はある特定の人間を中心にして回っているとする考え。
その人間の願ったことは必ず叶う。
願った瞬間にドミノが倒れ、結果に向かって進んでいく。
周囲はそれに合わせて調整される。
また、ドミノは思いの強さに比例し、スピードを上げる。
最も速いものは「ドミノ一個」と呼ばれ、願った瞬間に結果が現れる。
それは俗に「奇跡」と呼ばれる。
なお、ドミノの力は期間限定である。ランダムに移っていき、誰に備わっているのか判定することは難しい。
当然本人にも自覚は無い_。
Introduction
スーパーマンのような超能力を持った人物が巷を賑わせていた。
その人物が公式な発表をするという。本人なのか代理人なのか、一人の男が現れ、いかにしてスーパーマンが誕生したのかを語り始める。
その物語は、ある奇妙な交通事故から始まった。
見渡しの悪い交差点、車の運転手は路上に歩行者を発見するが、既に停止できる距離ではない。しかし車は歩行者の数センチ手前で、まるで透明な壁に衝突するように大破した。歩行者は無傷。幸い運転手は軽傷だったが、助手席の同乗者は重傷。目撃者は六人。
保険調査員の横道はこの不可解な事故の再調査を依頼される。改めて当事者と目撃者が集められた。そこで目撃者の一人が、これはある特別な人間「ドミノ」が起こした奇跡であると主張する。彼の発言は荒唐無稽なものだったが、次第にその考えを裏付けるような出来事が起こり始める_。