日本発のリアル恐竜ライブステージがさらなる進化を遂げ、この夏、帰ってくる。「ディノアライブ・プレミアム タイムダイバー 夏休みスペシャル」は、360度回転劇場であるIHIステージアラウンド東京にて繰り広げられる、中生代の生きものたちの物語。今作では陸地だけではなく、海や空にと舞台が大幅パワーアップ。目の前で躍動する恐竜たちの生き生きとした姿を体感することで、自然や生きものが好きになるこの夏注目の恐竜エンターテインメントとなっている。
7月23日(土)からの公演に先駆けて、スペシャルサポーターの伊沢拓司氏(クイズプレーヤー)、小林快次教授(古生物学者)、金丸賀也氏(株式会社ON-ART代表取締役社長)が登壇しての記者会見が行なわれた。
小学生のときに、図鑑や科学博物館などで恐竜に触れ、恐竜のことが大好きになったという伊沢氏は、タイムダイバーが開催されることを「昔の自分に見せてあげたい。〈タイムダイバー〉は恐竜がどんな環境で生きていたのかまでわかるので学びも多い」と絶賛。恐竜ファンの間で“ダイナソー小林”と愛されている古生物学者の小林教授は「恐竜の研究はどんどん進んでいる。ディノアライブに登場する恐竜の再現性は専門家も唸るステージ。今回はどれほど最新の研究に近づいているか楽しみ。一生記憶に残るインパクトを与えてくれるでしょう」と専門家ならではの視点で見どころを語った。
ディノアライブは、株式会社ON-ARTの金丸氏が17~18年前から制作をスタートしたリアル恐竜体験プロジェクト。1号機が完成した16年前から10年以上かけて恐竜の動きを試行錯誤し、本物そっくりの骨格や関節の動きに近づけようと改善を続け、今では世界14カ国で特許を取得している。本物そっくりと称される恐竜型メカニカルスーツだが、井沢氏が特に驚いていたのは皮膚感のリアリティ。金丸氏は「人間の皮膚もよく見ると半透明。皮膚の下にある血管や脂肪などを意識することで生きているように見える」とのこと。
今回公演されるのはディノアライブのなかでも“プレミアム”と呼ばれる上位ブランドにバージョンアップした“この夏限定”のスペシャルなもの。金丸氏は「これまでは登場する恐竜も限られ、恐竜の暴れ方も抑制していたが、制限を設けずに自分たちの見せたいものをやろうとはじめたのが“プレミアム”。大人もびっくりさせたい」とのこと。「恐竜をよりリアルに動かすことで、子どもたちが怖がるのでは?」との質問には、「最初は泣く子が多かったが、最近の子どもは泣かない。むしろ(恐竜に)襲われるのも楽しみにしている感じがします」と金丸氏は微笑んだ。
さらに、今回のショーでは新たに史上最多17頭以上の生物が登場する。客席には怪しく光る巨大クラゲや、全長13メートルのブラキオサウルスの出現が予定されている。記者会見では会場に集った子どもたちに「この恐竜なーんだ?」とシルエットクイズが出されたが、いきなりの難問に子どもたちは戸惑うばかり。そこは伊沢氏がクイズプレーヤーとして我慢できずに「翼竜ですよね?」と正解を答える一幕も。今回初登場となる翼竜に関して小林教授は、「翼竜は空も飛びますが、歩いているときの化石が実際に出ており謎が多い。トサカの形状や羽根の動きなども興味深いです」との情報も教えてくれた。金丸氏によれば翼竜は翼を作るのが難しく「試行錯誤を繰り返して制作している」とのことで、本番でどのように現れるか注目したい。
また、同時開催としてIHIステージアラウンドの周囲に家族で一日中楽しめるテーマパーク「恐竜パラダイス」がオープン。入場無料のこのスペースでは、“化石堀り”や“恐竜迷路アドベンチャー”、“恐竜カードゲーム”など、夏休みの課題に役立つコーナーがあるほか、恐竜BBQ&ビアガーデンが併設されるなど、子どもも大人も学んで楽しめる空間になっている。「恐竜パラダイス」の見どころを尋ねられた小林教授は「恐竜ワークショップでは塗り絵があるのですが、通常の輪郭に色を塗るものではなく、恐竜の骨をモチーフに自分で肉や色を塗っていき、好きな恐竜を作りだすというワークショップがあります」と説明。それを聞いた伊沢氏が「子どものほうが骨を肉付けして、いい恐竜にたどり着くことがあるかもしれませんね」と言うと、小林教授は「学ぶのは楽しいこと、楽しみながら学んで貰えれば」とワークショップに込めた想いを語ってくれた。
「恐竜のどこにロマンを感じるか?」との問いに伊沢氏は「こんな生きものが存在していたのかという、自分の理解を超えた存在であるというところが他のものにはない魅力です」と答え、小林教授は、「恐竜は空間を支配した生物。大きさ、多彩な形状、鳥に姿を変え空を飛ぶ。生命の神秘、進化を凝縮しているところに魅力を感じます」。金丸氏は「例えば、ブラキオサウルスの首をどう動かすか? なぜあんなに自由に首を動かして生きていたか、それは想像を絶する。その謎を考えることだけでも幸せです」とそれぞれ恐竜に感じるロマンを話してくれた。誰も見たことがないからこそ、想像は膨らみ、謎を解き明かしたくなる。その謎を解き明かす一端となるのが〈タイムダイバー〉だ。いったいどんな恐竜と出会い、何を感じることが出来るのか?
記者会見のクライマックスにはサプライズゲストとして、大きな鳴き声とともに前期白亜紀に生息していたユタラプトルが登場。会場に集まった子どもたちは怖いもの見たさで近寄ったり、お母さんの影に隠れたりと突然の出来事に驚いた様子。イベントへの期待が膨らんだ様子だった。「夏休みスペシャル TIME DIVER(タイムダイバー)」は7月23日より開催。夏休みの予定が決まっていない方は是非チェックしてみては?
取材・文/高畠正人
写真/中田智章