松尾スズキ2年ぶりの新作!!小説家ツダマンをめぐる狂気のメロドラマ
今年11月23日(水・祝)~12月18日(日)に東京・Bunkamuraシアターコクーンでの上演が決定している(12月下旬には京都ロームシアターメインホールでの上演も予定)、COCOON PRODUCTION 2022『ツダマンの世界』。この作・演出を務めるのは、シアターコクーン芸術監督松尾スズキ。2年ぶりとなる期待の最新作『ツダマンの世界』では、日本の昭和初期から戦後を舞台に、主人公「ツダマン」を取り巻く人々の濃密な愛憎劇を描く。
今回、松尾は作・演出のみならず、劇中に登場するオリジナル楽曲の作曲を自ら手掛ける。これまでの公演でも作詞や作曲を行ってきたが、全編にわたる作曲を自らが手掛けるのは初の試みになるという。
また、すでに仮チラシでお目見えしている「ツダマン」のレトロチックなイラストに続き、松尾直筆の業火に佇むような登場人物たちが描き加えられたイラストビジュアルがこのたび公開された。
物語の主人公・ツダマンこと、弟子に翻弄される小説家・津田万治を演じるのは、阿部サダヲ。自己愛と名声欲の強い弟子・長谷川葉蔵には間宮祥太朗。この物語の語り部となる女中・オシダホキには江口のりこ。葉蔵の世話係・強張一三には、村杉蝉之介。劇団員で歌手志望の津田の愛人・神林房枝には笠松はる。葉蔵と関係を持とうとする謎の文学少女・兼持栄恵には見上愛。ツダマンの友人の小説家・大名狂児には、皆川猿時。そして津田万治の妻・津田数には吉田羊。さらに町田水城、井上尚、青山祥子、中井千聖、八木光太郎、橋本隆佑、河井克夫ら実力のある舞台俳優らが集結。松尾スズキが描く濃密な人間ドラマ『ツダマンの世界』に期待が高まる。
そして本日、メインキャストである阿部サダヲ・間宮祥太朗・吉田羊の、昭和へ時間が巻き戻ったかのようなノスタルジーに駆られるビジュアルが解禁されるなか、彼らからのコメントも到着した!
メインキャスト3人からのコメント公開!
■津田万治役:阿部サダヲ
昭和初期の小説家の役を演じるのは、たぶん初めてです。だから、特に引き出しはないんですけど…、なんだか怪しいイメージがあるので、そういうところは松尾さんの世界に合っている気がしますね。ここ最近のシアターコクーンでの松尾さんの作品は、音楽や踊りがあったり、楽器の生演奏が入ったりしていましたけど、今回はどういう演出になるんだろう?すごく楽しみです。小説家の話でこのタイトルだとちょっと暗めな印象ですけど、きっとそこを裏切ってくるんでしょうね。それにしても、松尾さんが描いたチラシの絵。「この人、松尾さんじゃん!」って思ったんですけど、違うんですか?(笑)
ツダマンは軸を自分で持たずに、人から振り回されている感じがあるけれど、出演者の顔ぶれを見るとそれはそれで楽しそうにも思えます。吉田さんや間宮さん、江口さんたちが松尾さんのセリフをしゃべる姿も早く見たい。松尾さんの舞台が初めての方が多いから、僕、きっと参考にされるんだろうな……だけど「そうはいかないぞ!」と思ってもいます。だって、僕だってこの作品に取り組むのは初めてなんですから。毎回、新作は緊張するしプレッシャーはあるんです。どんな世界観になるのか、まだ僕らはわかりませんが、おそらくいろいろな新しい挑戦が盛り込まれているのではないかと思います。どうぞ期待していてください。
■長谷川葉蔵役:間宮祥太朗
僕、松尾さんが監督された映画『恋の門』が以前からすごく好きなので、そういう意味でも今回はお声がけいただいて純粋に嬉しかったです。松尾さんの演出に、どんどん乗っかっていくような気持ちで挑んでいきたいと思っています。物語としては、登場人物たちのそれぞれのナルシシズムと思惑が複雑に交差してこんがらがっているような、今はそんな印象です。混沌としているんだけれど、それを引きで見た時に人間の滑稽な部分が現れて、すごく面白くなるというか。その中で自分が演じる葉蔵は、現金な人間にしていければいいのかな、と。思うこと、行動すること、やることなすことがとても罰当たりな人に思えるんですよね。まだ自分の想像の範囲を出ない話ではありますけど。状況とか、人に対しては甘えながら生きている感覚もある。だけど、小説家になりたいと思う気持ちはわからなくもないんです。自分は葉蔵みたいにお坊ちゃんではなく、裕福でも貧乏でもない一般家庭の出ですけど。ただ、自分が進んでいくレールみたいなものが見えちゃうと、そこから「逸脱したい!」と思う気持ちは、僕にも理解できますから。とにかく今回の舞台に立った時にどんな景色が観られるか、本当に楽しみで仕方がないですし、とてもワクワクしています。『ツダマンの世界』、みなさま楽しみに待っていてください。舞台でお会いしましょう!
■津田数役:吉田羊
小劇場出身の私にとって、大人計画というのは雲の上の上の上の存在で、いつか自分もここに立てたらという憧れは、漠然と抱いていました。なので、松尾さんの作・演出で、大人計画の俳優さんたちとも共演できる今回のお話をいただいて夢のようです。松尾さんの作品を拝見するたびに感じるのはその眼差しの優しさと温かさ。不器用ながら懸命に生きている人々に自分を重ね「不完全でもいいよ」と背中を押された気持ちに、いつもなります。今回の舞台に登場するのは”ドラマティックな人生”に憑りつかれている文士たち。女も愛も憎しみも生も死も悲しみもすべて小説の糧としてしまう彼らは非道でどうしようもないですが、魅力的な俳優さん達が演じられることを想像するとこれがなかなかに憎めないから困ったものです。それに、俳優も似たようなものか、とも。今回私が演じる数さんは、非常に不幸な境遇にある女性です。無学な故にないがしろにされて振り回される人。実は私、松尾さんからいただいたあらすじにあった数の言葉を読んでボロボロと泣いてしまって。あらすじで泣くなんて初めて。思うに、数さんに自分を重ねてしまったのでしょう。今作はドロドロの愛憎劇ではありますが、やはり人間の弱さや痛みに寄り添う、松尾さんらしい優しさが根底に流れる物語です。一生懸命頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。