「オルレアンの少女-ジャンヌ・ダルク-」主演の夏川椎菜、演出の深作健太を迎えたオフィシャルインタビュー到着


このタイミング、このキャストでしか作れない「オルレアンの少女」を伝えていけたら (夏川)

10月6日(木)~9日(日)に東京・シアタートラム、10月15日(土)、16日(日)にCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて、「オルレアンの少女-ジャンヌ・ダルク-」を上演いたします。演出を深作健太、主演を声優・アーティストとして活躍する夏川椎菜が務める本作は、ドイツを代表する劇作家、シラーによるフランスの英雄=ジャンヌ・ダルクを描いた作品で、〈ジャンヌは生きている〉というキャッチコピーのもと、夏川演じるジャンヌ・ダルクを通じて、戦争について考える演劇となっています。今回は、主演の夏川椎菜、演出の深作健太を迎えたオフィシャルインタビューをお届けします。

 

――今回の「オルレアンの少女」は、〈新・ドイツ三部作〉の初回と伺っていますが、まずは深作さんがこの作品を選んだ理由を教えて頂けますか?

深作 昨年上演した〈ドイツ三部作〉(「火の顔」「ブリキの太鼓」「ドン・カルロス」)は、〈父親殺し〉をテーマに、親と子の葛藤で苦しむ十代の心情を描きました。今回は〈戦争と女性〉をテーマに作りたいと考えるようになって。そんな時に、夏川さんにジャンヌ・ダルクを演じていただきたいと思いつきまして。夏川椎菜の初舞台・初主演作を、まず誰よりも僕が一番観たい!という(笑)。

夏川 今回、シラーの「オルレアンの少女」の台本を読むまで、自分とジャンヌ・ダルクに似ているところがあるとは思っていなくて。でも、深作さんのお話や台本を通じてジャンヌ・ダルクを理解していく中で、だんだんと私を選んで頂けた理由や、深作さんが見たい!と思ってくださる私流のジャンル・ダルクみたいなものが、少しずつ見えてきているので、あまり気負わずにやろうと思っています。私も当初、ジャンヌ・ダルクは強くて物怖じせず、神聖な雰囲気がある気高い戦士のようなイメージがあったんですが、彼女を知れば知るほど、どちらかというと弱い人間だったのかもって。彼女が本当に神の啓示を受けたのかは分からないけれど、弱いからこそ信じてしまったんじゃないかと思うんです。台本の中では、ライオネルに一目惚れしたり、そこから感情を露にして女性的な発言も増えたりするところが、凄く印象に残っています。もしかしたら、弱いからこそ迷ったりブレが生じたり……、本当はそういうところがたくさんある女の子なのかなと。

 

――夏川さんは、普段声優として、歌手として活動をされていますが、舞台の上でお芝居をするということと、その普段の活動で気持ちの違いはありますか?

夏川 (このインタビューの段階では)まだ稽古が始まっていないので、これから確信に変わる部分もあると思うんですけど、普段私が行っているアニメやゲームのお芝居よりも、アーティスト活動のライブのリハ、本番のほうが近いのかな?って。声優の仕事って、キャラクターやキャラクターの見た目といった縛りや、セリフも決まっているし、アニメだとキャラクターの動きに合わせないといけないとか、タイミングもあるし、様々な決め事があるなかで、自分の表現も出しつつ、求められているものを出していく。そういったお芝居なんです。その点、舞台は(台本の段階では)決まっているものが少なくて、声優の仕事とお芝居という部分では共通しているけど、使う頭が全然違う気がしています。より技巧派なテクニックが必要な声優の仕事と、テクニックよりは自分の心や体の動きが重要な舞台でのお芝居はだいぶ違う気がしています。だから、本当に新人の気持ちです。逆にそのアーティスト活動は割と自由度が高いなかで、歌の中でこう決めていても日によってブレがあって、それも正解として楽しめる。なので、アーティスト活動の方の手応えや気持ちの持っていき方を、舞台にも活かせたらと思っています。

 

――それでは最後に、舞台を楽しみにしてくださっている方へ、メッセージをお願いします。

深作 これから大好きな俳優陣、スタッフと作品を作り上げてゆきますが、〈演劇〉の最後のパーツはお客さんです。皆さんが参加して、この作品を一緒に育てていただけると嬉しいです。

夏川 お話をいただいた時には遠いと思っていたジャンヌ・ダルクという存在が、本を受け取ったり、読み込んだりする中で、どんどん身近な存在になっています。きっと、みなさんにお届けする時には胸を張って、これが夏川が一か月かけて理解したジャンヌ・ダルクです、そして「オルレアンの少女」です、というものを見せられると思っているので、稽古場でたくさん失敗して、事件事故を起こして(笑)、このタイミング、このキャストでしか作れない「オルレアンの少女」を伝えていけたらなと思います。