ガレキの太鼓『「没入すると怖いよね、恋愛」の略で没愛』 没愛稽古場リポ―ト到着!

2022.10.05

しがらみや制約から解き放たれ「演劇の楽しさ」を第一に、昨年オープン屋号として新たな舵を切ったガレキの太鼓。前回公演ミュージカル『We can fly』から約1年ぶりの新作『「没入すると怖いよね、恋愛」の略で没愛』が2022年10月5日(水)に下北沢のOFF・OFFシアターにて開幕する。

「恋愛ホラースペクタクル」と銘打った今回は、その名の通りとあるひとりの女性の恋愛物語。東京と田舎を舞台に、恋愛と結婚を痛快に描く。

今回は「没愛」の稽古場に潜入!稽古場の雰囲気をお伝えしていく。

行われていたのは第2場の稽古。36歳、結婚をせずひとりを謳歌していた美実花(異儀田夏葉)はひょんなことから出会った孝人(富川一人)に惚れられた。そんな二人が田舎へ向かうシーンから二場はスタート。

俳優陣の即興の演技を、演出の舘はノートとペン片手に演技を見守る。


稽古終盤、舘は台本の執筆に向かうことになり、俳優はそれぞれ個人練習を行うことに。台本を読んで印象的だったのが、美実花と孝人の膨大なセリフ量。そこで、他の俳優陣が異儀田と富川に「セリフ合わせ手伝いますよ」と声をかける場面も。和気あいあいとしたやり取りから座組の仲の良さを感じられた。

劇中、美実花と孝人を取り巻く人々が何人も登場するのだが、彼らにも注目だ。ガレキの太鼓が信頼を寄せる経験豊富な5人、稲葉佳那子・小角まや・ホリユウキ・奥田努・日高ボブ美というなんとも頼もしい5人が演じるはとにかく癖のある人々。目まぐるしく動き回る5人は、2人を振り回しながらも支えている様子がよく伝わってくる。


いよいよ音響も合流したタイミングでは、美実花の感情を表す効果音にも試行錯誤。様々な音と合わせ、何を伝えたいのか、セリフを潰してはいないか、俳優みんなで考えながら作品を作り上げていく。

美実花が劇中に掛けられるセリフたちは実際田舎で聞き馴染みのある言葉ばかりで、結局怖いのは人間だなと月並みながら思った。
だが、そんな息苦しいリアルの中で奔走する美実花の姿は、面白おかしくもなにか人生のヒントになるかもしれない気付きを与えてくれ、人生の価値観をいい意味でぶっ壊してくれる気がする。
なかなかのスピード感で飛び交うセリフだけでも盛り沢山の中、劇場に入ればそこには照明・映像も加わった世界が広がっていると思うと待ち遠しくて仕方ない。
見に来る人全員、“没入”すること間違いなしの公演をお楽しみに。


「没愛」は下北沢のOFF・OFFシアターにて10月5日から9日まで上演される。全8公演。6日(木)19時公演に都市ボーイズ・はやせやすひろさん、7日(金)19時公演に哲学者・清水友輔さんをお迎えし、アフタートークも行われる。また配信とともに、サテライト公演を実施。
ぜひ劇場または全国各地から、ガレキの太鼓の新境地を体感してほしい。

文・中田夢花/柴田紗希
写真・堀山俊紀