りさ子のガチ恋♥俳優沼|能條愛未&七星うら&松澤くれは&岡本貴也インタビュー

俳優とファンのリアルを描く衝撃作が“令和版”で再再演!

演劇界の暗部に斬り込んだ衝撃作として話題を呼んだ「りさ子のガチ恋♥俳優沼」が、キャストを新たに再再演が決定。沼にハマるりさ子を元乃木坂46の能條愛未、りさ子が憧れる俳優・翔太を元祭nine.の七星うらが演じる。

能條「私自身はあまり何かに執着したりハマったりしないタイプ。でも、台本を読んでりさ子の言葉に心がキュッとなって泣きそうにもなるくらい、すごく共感しました。もしかしたら、りさ子を演じることで私の中の隠れた感情が見えてくるのかもしれないです。それに、ファンの方がこんなにも純粋に無償の愛を注いでくれているんだ、と思うと…絶対に裏切るようなことはしちゃいけないと思いました。本当にリアルなので、ファンとの関係性も考えさせられました」

七星「本当に包み隠さず描かれていて、自分にも応援しているアーティストがいるので物語には共感しました。でも、自分がアイドルとして活動していた時、会いに来てくださる方をガッカリさせないように活動していたので、最初は翔太のやっていることが理解できなくて。正直、翔太の考えって甘いんじゃない?と思ったんです。それでも、りさ子とのことで翔太にも心情の変化があって、ファンとの向き合い方、人との向き合い方が変わっていきます。その変化は、しっかりと出していきたい」

松澤くれはの脚本・演出で2017年に初演された際は、そのセンセーショナルなタイトルから批判もあった本作。だが幕を開けてみればその内容に大きな共感が集まり、小説化や再演も大きな話題となった。

松澤「この物語は、見えない壁を取っ払って、俳優とファンが本当に本音で向き合ったらどうなるのか。それを見たくて書きました。当初は批判もありましたが真剣なお芝居だということは観てもらうしかない、と思ってやった結果、また上演してほしいという声をたくさんいただけるような作品になりました。僕自身としては再演でやりきった感があって…でも、皆さんからの予想以上の声を聞いて、自分の勝手で作品を封印してはいけないと思ったんです」

ひとつの達成感を越えて、新たなる芝居を作るために松澤から演出を引き継いだのは、岡本貴也だ。

岡本「プレッシャーはありますが、繊細に作っていきたい。少しでも嘘をつくとお客さんに伝わってしまうから、きちんと生っぽく、人間がそこに存在しているように作っていきたいです。ある種の触れてはいけないところ、お客さんの心に直接触れていく話だから、丁寧に触れないと。その上で、ファンが、みんなが、“一線を越えていく”その気持ち悪さ――人間の執念や愛のカタチを、ちゃんとグロテスクに描きたい」

推し活なども当たり前な時代となり、いろいろなファン像が一般化されている現代。りさ子はどのような姿で描かれるのだろうか。

七星「やっぱり作品を通して新しい自分をお見せできると思うので、そこを新鮮に感じてもらいたい。そして客席に来てくださった方全員に“翔太推し”になってもらえるくらい、魅力ある役を演じられるように頑張ります! “令和のりさ子”に期待してください!」

能條「3度目の上演ということで、いろいろな方の期待を感じています。それをしっかりと受け止めて、この作品に臨みます。りさ子をどう演じようか、とか考えるよりも、とにかく“本気で翔太が好き!”という気持ちを一番大切に! 全力で、観に来てくださった方の心をつかみたいです」

インタビュー&文/宮崎新之
Photo/植田真紗美

※構成/月刊ローチケ編集部 10月15日号より転載

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【プロフィール】

松澤くれは
■ マツザワ クレハ  劇団〈火遊び〉代表。作家、舞台演出家として、舞台・小説・映像と幅広く活動中。

能條愛未
■ ノウジョウ アミ  ’12年に乃木坂46の一期生としてデビュー。現在は女優として舞台や映像作品に出演

七星うら
■ ナナセ ウラ  ’17年に祭nine.のメンバーとしてデビュー。一度芸能界を離れたのち、21年より俳優として活動を再開。

岡本貴也
■ オカモト タカヤ  劇作家、舞台演出家。朗読劇やシリアス劇を中心に活躍中。