全キャスト決定! 2023年3月公演『ハムレット』│演出家・出演者コメントを公開!!

2022.10.21

数々のシェイクスピア作品を立ち上げてきた野村萬斎が、次世代へ託すバトン

世田谷パブリックシアターでは2023年3月、野村萬斎演出・出演による『ハムレット』を上演。2002年より、芸術監督として世田谷パブリックシアターを牽引してきた野村萬斎が、任期中最後の公演として2022年2月に上演し、次代の演劇人たちへメッセージを託した舞台が「戯曲リーディング公演 『ハムレット』より」だった。自身も複数回タイトルロールを演じてきた『ハムレット』を、狂言師であることの特質を存分に活かしながら、古典と現代劇の融合を試み、ハムレットのアイデンティティーを追求していく視点で構成した舞台は、野村萬斎ならではの『ハムレット』として好評を博した。
そして来年3月の本公演でも野村萬斎がひき続き演出を手掛けると共に、ハムレットを導く亡き父王の亡霊と、その父を暗殺しハムレットの母を娶る叔父王クローディアスを演じることに。父とその敵という相反する2役を通して、子息であり芸の弟子でもあるハムレット役の野村裕基と、舞台上で対峙することになる。
野村裕基にとって、今年2月のリーディング版『ハムレット』は、狂言以外の舞台へ初めて出演する公演に。幼少の頃より狂言で鍛え上げられてきたセリフ術と、堂々とした立ち居振る舞いが、孤高の王子ハムレット像を際立たせ、客席からの喝采を浴びた。奇しくも父・萬斎も翻訳劇のデビューであった同じハムレット役で、父からのバトンを引き継ぐことになる。

野村裕基、岡本圭人、藤間爽子らフレッシュな面々が登場!
『子午線の祀り』を共に創り上げた若村麻由美、村田雄浩、河原崎國太郎らも出演!!

野村裕基、岡本圭人、藤間爽子らフレッシュな面々が登場『子午線の祀り』を共に創り上げた若村麻由美、村田雄浩、河原崎國太郎らも出演本作では、これまでも野村萬斎と共に作品を創り上げてきた信頼の厚いスタッフやキャスト陣に加え、次世代を担う、今まさに旬若き演劇人たちが結集。
野村裕基をはじめ、岡本圭人、藤間爽子は、まさに親の背中を追いかけながら、自身も同じ芸術の世界に身を投じた面々だ。ハムレットと対峙するオフィーリアの兄・レアーティーズと、廷臣ローゼンクランツの二役を演じるのは岡本圭人。アメリカ最古の演劇学校で学び、話題の舞台に次々と出演を果たし、その瑞々しい演技力が高く評価される岡本が、この二役をどのように演じ分けるのか、期待が高まる。 ハムレットを慕うオフィーリア役は三代目藤間紫として日本舞踊紫派藤間流の家元も勤め、その一方で阿佐ヶ谷スパイダースにも所属する藤間爽子が演じます。映像、現代劇、日本舞踊とジャンルを超えて活躍する藤間が、そのマルチな才能を生かして挑むオフィーリアは必見! ハムレットの友人にして腹心ホレイシオ役には釆澤靖起。若手ながら、文学座で培った堅実な演技力に定評がある釆澤が、裕基演じるハムレットに寄り添う。
そしてさらに、贅沢にも魅力あふれる実力派の俳優陣の出演が叶った!野村萬斎演出『子午線の祀り』(2017、2021年)で共に作品を創り上げてきた若村麻由美、村田雄浩、河原崎國太郎たちだ。 『子午線の祀り』では野村萬斎演じる平知盛の思い人・影身の内侍を演じ、リーディング公演で格調高く王妃ガートルードを演じた若村麻由美がひき続き同役に扮し、息子ハムレットとの複雑な母子関係を深みのある演技で艶やかに見せていく。 そして、レアーティーズとオフィーリアの父親ポローニアスには村田雄浩が扮する。村田ならではの慈愛とスケール感にあふれた人物像が期待される。また、旅芸人一座の座長や墓堀役で河原崎國太郎が登場。熟練の俳優だからこその味わいを存分に堪能できそうだ。また芸歴の長い村田と國太郎は、なんと二人ともシェイクスピア作品への出演はこれが初めてとのこと、これもまた見どころの一つになるだろう。

そしてこの発表に際して、野村萬斎ほかキャスト陣からのコメントも到着した。

野村萬斎(構成・演出・出演) コメント

ハムレットのタイトルロールを2回経験しての3度目の挑戦である。とは言え、この度は演出と、ハムレットを導き惑わす父王の幽霊、そして敵対する叔父王の役である。ハムレット経験者である私がこの二役を演じること、そして師弟関係にもあり常に共演者(ライバル)である息子・野村裕基と組むことに、演出の大きなキモがある。この戯曲では血縁が複雑に絡み、しかし家庭劇には収まらぬ国家存亡の危機が横たわる。私達親子にとっては日本の伝統的文化存亡の危機が重なって見える。
一方現実社会では、隣国同士が戦争を始め、元首相が暗殺され、女王の死を目の当たりにした。そしてデジタル化が進む白か黒かの二進法的世界では割切れぬ灰色の現実の苦悶。まさにハムレットな状況がある。
『子午線の祀り』以来の素晴らしい共演者、共同創作者に恵まれた。
新たに参加してくれるメンバーも実にチャーミング。乞うご期待!

野村裕基 コメント
ハムレット役をさせていただきます、野村裕基です。今年2月にリーディング公演でハムレットをさせていただきましたが、この度いよいよ本格的なストレートプレイとして初めて舞台に上がる機会をいただきました。師匠でもある父の、ハムレット像を上手く自分に落とし込んで演じることを目標にしたいと思います。普段の古典芸能とは少し違う自分にも、是非ご期待頂きたいと思います。

岡本圭人 コメント
子供の頃からシェイクスピア作品に触れ合ってきた自分にとって、シェイクスピアの言葉を紡ぐことは憧れでした。野村萬斎さん演出のもと、かつて自分が魅了されたハムレットの物語をお客様に感じていただけるように、そして舞台の上で役として生きられるように一生懸命稽古に励んでいきたいと思います。

藤間爽子 コメント
私にとって初めてのシェイクスピア作品です。
ハムレットという作品が放つ圧倒的な存在感に正直怖気付いておりますが、野村萬斎さんの織りなす世界観に思いっきり飛び込んでみたいと思っています。
約400年前に作られたこの作品を、現代の人々の心にどう届けるのか。
幕が開くまで沢山悩み、真摯に向き合っていきたいです。
また同じ古典芸能の世界で生きる野村裕基さんと共演できますことも、とても楽しみです。
他にはないハムレットが誕生するような気がしています。

釆澤靖起 コメント
「『ハムレット』を各自、用意しておくように」 そう言われ、「え、何その加工肉」と思ったのは演劇学校に入りたての頃であった。サラリーマンか役者か。まだ人生に悩んでいた僕は浮世を嘆くハムレットにシンパシーを覚えた。彼の美しき嘆息に不思議と心が救われたのである。(いつか、この作品と真正面から対峙したい。)あれから15年。今こうして改めて『ハムレット』に出会い直す機会に恵まれた事を心から光栄に思います。

河原崎國太郎 コメント
南北さんや黙阿弥さんとは長いお付き合いをさせて頂いておりますが、ウィリアムさんとのお付き合いは今回が初めて。人生の節目となる年を迎えて新たな出会いと挑戦の出来る事は大変にありがたいことです。歌舞伎でのこれまでの経験がシェイクスピアの『ハムレット』にいかに活かすことができるのか、ワクワクとドキドキでいっぱいです。新たな可能性を求めながらシェイクスピアの世界を存分に楽しんで勤めたいと思います。

村田雄浩 コメント
実は…40年以上役者やってて、シェイクスピアに関わるのは初めてなんです…
避けていた訳ではないのでが、何故か縁がありませんでした、戯曲は読ませていただいていたので、倉庫から引っ張り出して読み返して見たら、とても新鮮!還暦過ぎて新たな挑戦が出来るというのは、幸せなことですね~
それに萬斎さんが演出ですから、きっと見たことがないハムレットになるんだと思うので楽しみです…
とは言え初めてのシェイクスピアですから、共演者のみなさんの胸を借りて初心にかえって勉強させていただきます。

若村麻由美 コメント
デンマークの王権は王妃にある!と河合先生は仰った。先王亡き後、その弟と結婚した母ガートルードに対して”Frailty, thy name is woman.”(脆き者汝の名は女)と息子が言うのはもっとも。母はなぜ息子に跡を継がせず結婚したのか?演出家萬斎さんとの闘いが始まる!『子午線の祀り』でご一緒させていただいたメンバーとの再会♡素直で新鮮なパワー溢れる裕基さん、圭人さん、爽子さん、釆澤さん、面白いに決まってる!

野村萬斎とシェイクスピア

1990年、24歳にして東京グローブ座『ハムレット』(演出:渡邊守章)で、タイトルロールであるハムレット役に抜擢されたのが、狂言師・野村萬斎(出演当時は野村武司)にとって初の翻訳劇への出演となりました。これを皮切りに2003年には、再び『ハムレット』(演出:ジョナサン・ケント、企画制作:ホリプロ/世田谷パブリックシアター)にタイトルロールで出演。世田谷パブリックシアターのみならずシェイクスピアの本拠地・イギリスでも上演され、話題を呼んだ。

そのほか世田谷パブリックシアターにおけるシェイクスピア作品公演では、『間違いの喜劇』を翻案した『まちがいの狂言』にはじまり、『リチャード三世』を翻案した『国盗人』―W.シェイクスピア「リチャード三世」より―や、戯曲リーディング公演として実施した『アテネのタイモン』、そして『マクベス』などにおいて、自身が狂言師である特徴を存分に活かしながら、古典と現代劇の融合 に取り組み、独自の視点で作品を立ち上げてきた。
数々のシェイクスピア作品に取り組んできた萬斎の集大成とも言うべき『ハムレット』に、 期待が高まる。