劇団☆新感線と濱田めぐみ。この意外性のある組み合わせには、おそらく誰もが驚いたに違いない。斬新な、それでいて馴染みの良さそうな化学反応が楽しめそうなのが、IHIステージアラウンド東京で7/23(月)に開幕する『メタルマクベス』だ。濱田はその第1弾にあたるdisc1に、橋本さとし演じるランダムスターの夫人役として登場する。彼女がこれまで演じてきた役柄とはまったく違うキャラクターへの挑戦でもあり、これまで彼女が築き上げたイメージを一気に覆してしまいそうでもあるこの初体験を、濱田はワクワクしながら非常に楽しみにしている様子だ。
――劇団☆新感線の『メタルマクベス』への出演のお話が来た時は、まずどう思われましたか。
濱田「まさか、自分が劇団☆新感線さんにお世話になるとは夢にも思っていなかったので「ええ~!」って驚きました(笑)。でも、すごくうれしかったです。自分の新境地が開けるんじゃないかなと思いましたし、きっとすごい冒険にもなると思いました。これまでに出会ったことのない初めてのことがいろいろ吸収できて、新しい引き出しができそうな気もしました。もちろん非常に驚きましたが、逆にその驚きがバネにもなっていて、今はとてもワクワクしているんです。共演者のみなさんもほとんどお初にお目にかかる方々ばかりですし、その中で自分がどういう風に動けるかなと少しだけ不安に思うこともありますけれど、やはりうれしい気持ちのほうが断然大きいですね」
――チラシなどのビジュアル写真で着られていた衣裳やメイクからして、これまでの濱田さんとはかなり印象が違いますね。
濱田「ですよね(笑)。私も今までいろいろなイメージの役を演じてきましたけれど、あのお衣裳を着せてもらいメイクをしてもらったら「あ、このポジション、私の中にもあったわ!」って引き出しを見つけた気分でした」
――『メタルマクベス』の初演は、DVDでご覧になったんだとか。
濱田「はい。観ながら、とにかくいろいろなことにビックリしました(笑)。それと同時に、改めてこれまでの自分の中にはなかった世界だなとも思いましたが、そういう最初のインスピレーションこそ、逆に魅かれている証拠でもあると言いますから。人との出会いだってそうじゃないですか。出会った時から仲良くなれることもあるけど、「わ、苦手かも……」と思う人に限ってお付き合いが意外と長く続いたりして。きっと作品も近いものがあると思うので、これまではずっと観て楽しむものだと思っていたけれど、これを自分がやらせていただける時が来た!という気持ちのほうが今は大きいです」
――宮藤官九郎さんの脚本に取り組まれるのも。
濱田「今回が、初めてです。もうね、あらゆることが初めて尽くしで。未開の地でいろいろなことにいちいち動揺しながら、一歩一歩手探りで歩いている感じです、今」
――ランダムスターを演じる橋本さとしさんとは、『二都物語』(2013年)と『マーダー・バラッド』(2016年)とで既に共演されています。
濱田「そうなんです。『二都物語』では、それこそ夫婦役でした。『マーダー・バラッド』の時は、私はストーリー・テラーの役だったのでちょっと違ったんですけど」
――橋本さんは「濱田さんらしくやってくれれば、それだけでもう大丈夫!」と太鼓判を押していましたよ。
濱田「ホントですか? 私らしくって、どういうことだろう……(笑)。でも、そうですね、それこそ舞台の上ではいい意味で大暴れして、のびのびとやれたらなーと思っています」
――ほかのキャストで、ご一緒されたことのある方はいらっしゃいますか。
濱田「いえ、本当にほとんどのみなさんと初めまして、なんです。disc3の浦井健治くんとか、disc2の岡本健一さんは以前ご一緒させていただいたことがありますけれど、あとはほぼほぼ、アンサンブルさんに至るまでおそらく初めての方ばかりで。あれ? 知ってる人が全然いないや、あれ??って、キョトンとしているところです」
――本当に未開の地、なんですね(笑)。
濱田「そう、まさに大冒険なんですよ。「えーい!」って、思い切って飛び込んでしまいました(笑)。この年齢になって新たな挑戦をさせていただけるなんて、まだこういうチャンスが自分にもあったんだ!と思えて、すごく光栄です。とにかく、あと問題なのは体力ですね。なんといっても今回は360°客席が回転するという、ものすごく面白い劇場ですし。そこのところも自分の中でどういう風に作用してくるのか、とても楽しみです」
――稽古に向けて準備しておきたいと思っていることは、何かありますか。
濱田「とりあえず、作品の流れというのは自分の中であたふたしないように、事前にまとめておきたいなと思っているのと。あとは今回のメンバーの中で自分がどれだけ揉まれて、その中で化学反応としてどういうものを出せるのかということも自分の中ではすごく楽しみなんです。それとやっぱり相手役のさとしさんと、二人三脚でいろいろ聞いたり教えてもらったりしながら、暗中模索もたくさんしながら、稽古に臨んでいきたいなと思っています」
――共演経験のある橋本さんがいてくれるのは、かなり心強いのでは。
濱田「わりかし家も近いですし(笑)、仲良くさせていただいていたのでね。何でも相談できる方で、これまでもいろいろとお話しさせていただいていたんですよ。ですから今回は、大変心強いです。だって私にとっては本当に未開の地、ですからね。チラシを見た時にも一瞬、自分の名前がぷかっと浮いた感じがあって。「あ、私がこの中に入ってもよろしいんでしょうか……?」、みたいな。最初はきっと、迎え入れてくださる方々にしても「この人、ここに入ってきて大丈夫なんだろうか」って空気になるかもしれないという心配もありますが(笑)。でも、今回はそういうことも含めて、すべてを楽しんでしまいたいと思っています!」
インタビュー・文/田中里津子
Photo/村上宗一郎
ヘアメイク:住本由香(マービィ)
スタイリスト:尾関寛子