FUKAIPRODUCE羽衣『プラトニック・ボディ・スクラム』│土屋神葉インタビュー

撮影:金子愛帆

表現への飽くなき探求心

『バクテン!!』『群青のファンファーレ』などの人気アニメの主要キャラクターを演じる声優でありつつ、舞台・映画・バラエティー番組と幅広く活躍の場を広げる土屋神葉が、まもなく2月9日(木)に東京・本多劇場で開幕を迎えるFUKAIPRODUCE羽衣第27回公演『プラトニック・ボディ・スクラム』に出演する。声優として順調にキャリアを重ねつつも、舞台出演を熱望するモチベーションや、実に4回目のタッグとなる作・演出・音楽家の糸井幸之介の魅力、いよいよ本拠地であるFUKAIPRODUCE羽衣へ出演する意気込みを聞く中で、何より表現することへの強い情熱を感じさせてくれた。

――FUKAIPRODUCE羽衣の座付き作・演出・音楽家の糸井幸之介さんと、一緒の作品に取り組むのは実に4回目、いよいよ本拠地、劇団公演への出演となりますが、お稽古されていていかがですか?

FUKAIPRODUCE羽衣のメンバーって、何であんなにみんな個性が光ってるんだろうって思うんです。存在感がある。台詞を発すると、こんなにそれぞれ違うんだって思って、みんな面白い。その人が立っているだけで、僕にとっては光ってみえます。その存在感が素敵だなって思うんです。

――その存在感の源ってどこにあるんでしょう?

個々が持っているエネルギーが光ってるってことなんだと思うんですけど、はっとしたり、見入ってしまう、惹きつけられる瞬間がいっぱいあります。

それと、糸井さんの書く言葉の容量の大きさ、みたいなこともあると思います。表現を思い切り込められて、かつそれを思い切り出して来いと言ってくれるパッションがあります。

――ご自身もやりがいがありますね

はい。自分が心から自分として、役者として見てもらいたい、という姿をお見せできたらと思っています。

これまで(糸井さんと)ご一緒した作品も、観に来てくれた方にとても評判が良いんです。衝撃を受けたって言ってくれたり。それがまた、糸井さんとご一緒したいと思うモチベーションの1つにもなっていると思います。友人が4年前に出た作品の歌を覚えていてくれたりもするんですよ!

――4年前の作品の!それは凄いですね。糸井さんの作品は確かに、楽曲も大きな魅力の1つですね

今回も新曲がいっぱいあります。今回の作品は観る方によっていろいろなテーマをみつけられると思うのですが、楽曲同士がつながっているのかも、と思わせられたりして、そういうところも面白いです。糸井さんの作品に出ると発想がどんどん豊かになっていく気がします。

――声優としてもご活躍されながら、舞台にも出演され続けるのはどうしてでしょうか?

実は、きっかけは糸井さんと初めてお仕事した舞台作品で、その稽古の時に糸井さんが僕のパフォーマンスにめちゃくちゃ笑ってくれたんです。それまでは、何も知らない新人としての焦りとか、自分を起用してくれた人への何もできない後ろめたさみたいな劣等感があったんですが、ネガティブな気持ちの流れを変えてくれたのが、糸井さんだったんです。それ以降、演劇というものが、自分にとってかけがえのないものになりました。

――そもそも舞台出演に関心を持たれたきっかけはあるのでしょうか?

お芝居を真剣に考えるまでは、あんまり僕は、詳しく突き詰めるタイプではなかったんです。広く浅く、いろんなことをやってみていたのですが、声のお芝居を始めてから、表現を職業にするうえでも、“豊かさ”ということを意識するようになりました。お仕事の中で、いろんな舞台経験がある声優の先輩方からお話しを聞くうちに、舞台にも宝物があるらしいぞ、と感じたんです。関わっていけばいくほど飽きない、惹きつけられて離されない、何かがあります。

――豊かな表現を求めていたら、素敵なものがいっぱいあったんですね

はい。演劇という稽古期間があって、いろんな人のいろんな魅力をみて、学んだり発見できる場所が、僕にはとても必要でした。そもそも自分の得意なこととして、「身体を動かす」ということがあって、その上で、声に特化したお芝居を始めたことが、自分にとって一つのターニングポイントになりました。楽しくもあるし、難しくもある。演劇で繰り返し稽古をしながら、身体表現を含めて大きく表現することや細かく考えたり積み重ねたりして得た感覚を、声の中に凝縮する。それを行ったり来たりすることで、自分ならではの表現がみつかってきている気がします。

――映像でのお芝居も入ってくるのでしょうか?

はい、映像でのお芝居にもロマンがあります!映像表現で重要な顔での表情の機微を、舞台上で、相手役の方に向けて届けてみたらどうだろう、と考えたり。

――相互に作用しているんですね

声の職業と舞台に立ったり映像でお芝居したりするという、お芝居をすることは一緒だけれど、出力形態が違うそれぞれの表現をどんどん広げていって、どちらも歳を重ねていくにつれて、自分なりのやり方を積み重ねていって、どっちかだけじゃなくて、どちらもやることが僕らしさにつながったら良いなと思っています。

――お芝居することに夢中なことが良く伝わります

FUKAIPRODUCE羽衣の表現も、糸井さんの作品も器が大きいので、その情熱を全力で今回の公演にぶつけて、ホームランを打ちたいと思います!

撮影:金子愛帆