世田谷パブリックシアターでは「せたがやこどもプロジェクト 2023 」《ステージ編》夏休みの子ども も大人も楽しめる演劇作品として、イギリスの劇作家フィリップ・リドリーの児童小説作品『メルセデス・アイス MERCEDES ICE 』を、 世田谷パブリックシアター芸術監督である白井晃の演出により上演することを発表。この作品はまつもと市民芸術館を拠点として活動する劇団 TCアルプのために白井が2012年に創作した作品だったものだが、今回新たに、成長著しい若手の俳優たちとともに「今」を生きる子どもたち のための作品として世田谷パブリックシアターでリクリエイションされることとなった。
白井はこれまで多くのフィリップ・リドリー作品を手がけ、世田谷パブリックシアターでもこれまでに『ピッチフォーク・ディズニー』『宇宙でいちばん速い時計』『ガラスの葉』『マーキュリー・ファーMercury Fur』『レディエント・バーミン Radiant Vermin』と、作・フィリップ・リドリー × 演出・白井晃のタッグで5作品を上演してきた。「彼の作品に出会った瞬間から、そこに書かれている世界が、頭の中に絵として浮かび上がってきてしまう」と自ら が語っているように、フィリップ・リドリーは演出家・ 白井晃がもっとも共鳴する劇作家と言える。
魅力あふれる旬の俳優たちとともに立ち上げる新たな『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』
主人公メルセデス・アイスを演じるのは、新進気鋭の細田佳央太。白井演出作品に感銘を受け出演を熱望していたという細田だが、白井は映像作品で活躍する細田の演技に以前から注目されており、今回主人公のメルセデス・アイス役に抜擢された。そして、メルセデスの幼なじみで純粋な女の子ヒッコリー役には、舞台を中心に活躍す若手実力派 俳優の豊原江理佳。重要な役割を果たすことになるこの役を豊原に託した白井は、豊原が舞台で発揮するエネルギーと類稀な存在感に期待を寄せているという。
メルセデスの母ロージー役には、NHK連続ドラマ小説「おちょやん」でみせた繊細な演技が注目され、映像作品と舞台作品での活躍がめざましい個性派の若手俳優・東野絢香。さらに、物語全体を支える影のタワーの作業員(作品全体のナレーター)役は、『アルトゥロ・ウイの興隆』『バリーターク』にも出演し、白井が絶大な信頼をおく俳優・ 松尾諭が演じる。
「子どもたちに劇場空間を存分に感じてほしい」ー
世田谷パブリックシアター芸術監督・白井晃の願い夏休みの子どもにも大人にも“心に残る演劇体験”
白井のもとに集結した魅力あふれる旬の俳優たちとともに、子どもも大人も楽しめるフィリップ・リドリー の児童小説作品 『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』が新たに立ち上がる。
この物語は、街の中心にそびえ立つ巨大なタワー(Shadow Point)を軸に、その街に暮らす3世代にわたる人物たちが、愛や憎しみ、喜びや悲しみとともに生きる様子が描かれる。登場するのは近所の魚屋さんやケーキ屋さん、超高層アパートの建設など、どれも身近な事柄ばかりだというのに、なぜか見たことのない奇妙で幻想的な世界が広がっている。それでもふと気がつくと、いまの私たちが生きる人生や社会の本質が浮かび上がってくるような不思議な魅力に満ちている。
「せたがやこどもプロジェクト2023」《ステージ編》の演劇公演として、フィリップ・リドリーのどこか奇妙で不思議な独特の世界へと子どもたちを誘いざないながら、「劇場をもっと開かれた場に」という想い、そして「子どもたちに劇場空間を存分に感じてほしい」という願いを込めて、世田谷パブリックシアター芸術監督・白井晃がこの夏休みに子どもにも大人にも“心に残る演劇体験”をお届する。