舞台「キノの旅Ⅱ -the Beautiful World-」|櫻井圭登 インタビュー

『キノの旅』は、今の時代に大事なものが描かれている

舞台「キノの旅Ⅱ -the Beautiful World-」が上演される。昨年上演の初演に続き、キノ役を演じるのは櫻井圭登。キノは少年のような見た目の少女。その演じ方については初演でも試行錯誤を重ねた。

「前作の稽古では、最初の頃、女性っぽい方向に一回振ってみたんです。そしたら演出の(山本)タカさんに『もっと男性っぽくていいよ』とアドバイスをいただいて。キノは過去の経験から強く生きなきゃという思いがあって、少年っぽく振る舞っている。だから、女性であることを根本に置いていれば、それ以上は特に意識しなくても大丈夫と。そう言っていただけてからは、わりと意識しすぎずにできたというか。女性が男性を演じるときの立ち方などを自然と身につけることができました」

キノの相棒は、モトラド(二輪車)のエルメス。舞台では、人間がエルメスを演じる。

「漫画でもアニメでも、二輪車だからエルメスは表情がない。でも、舞台では人間が演じることで、エルメスの表情がわかる。そこが、演劇ならではの面白さだと思います。エルメス役の凌志朗くんは、無をつくれる俳優さん。舞台の上で、一瞬で存在感を消したり出したりできるんです。そこが、エルメスっぽいなと。前回の稽古で初めて台詞を合わせたときから、人間が二輪車を演じるということにまったく違和感を抱かなかった。エルメスを演じられるのは凌志朗くんしかいないと思います」

1つの国に滞在できるのは最大3日間までというルールのもと、キノはさまざまな国を渡り歩く。

「国によって文明も違えば文化も違う。信じることさえさまざまで、それゆえ自分たちの犯している罪に気づいていない国もある。そこが現代社会に通じるというか、最近海外のニュースを見て感じることと重なるんですよね。観る方によって感想が全然違ってくるのも『キノの旅』の面白いところ。たとえば、前作で登場した“優しい国”もあの結末に対して号泣する人もいれば唖然とする人もいて。だからこそ、僕自身もどの表現が正解なんだろうってすごく悩んだ。キノの表情に関しては漫画やアニメを観て研究を重ねました」

その努力が実り、初演では原作ファンからも高い評価を受けた。

「自分がキノになれるか不安だった分、『キノがキノだった』と言ってもらえたことに救われました。今回もそう言っていただけるように舞台『キノの旅』でしか観られないものをお届けできたら。『キノの旅』は、今の時代に大事なものが描かれている。ぜひこの舞台を観て感じたことを、周りの人に話してみてほしいです。舞台を観たときに生まれた感情って、その後も残るじゃないですか。それを誰かに伝えることで、舞台が終わった後も作品が広がっていく感じがするんです。それが嬉しくて、僕は演劇をつくっています」

きっと今作でも旅を通じて、キノはいろんな人や出来事に出会っていくだろう。では、櫻井自身が今行きたい国は?

「僕は本当にインドアで、全然旅をしないんですね。YouTubeで焚き火の動画を観ているだけで十分(笑)。モトラドも僕が運転したら事故りそうで…。そもそもまだ免許を持っていないので、まずは免許を取ってからになりそうです(笑)」

インタビュー&文/横川良明
Photo/篠塚ようこ

※構成/月刊ローチケ編集部 4月15日号より転載

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【プロフィール】

櫻井圭登
■サクライケイト 数多くの2.5次元舞台に出演。近作はミュージカル『ウインドボーイズ』、舞台『無人島に生きる十六人』など。