PARCO劇場の舞台に幽玄の世界を描き出す、『夜叉ヶ池』初日前取材会コメント&舞台写真が到着!

2023.05.02

撮影:加藤幸広


美しい日本語で物語る、泉鏡花の幽玄ファンタジーの傑作を、演出・森新太郎、PARCO劇場初座長・勝地涼のタッグで上演!!

5月2日(火)より23日(火)まで上演するPARCO劇場開場50周年記念シリーズ『夜叉ヶ池』。

1913年に日本幻想文学の先駆者・泉鏡花が発表した戯曲『夜叉ヶ池』は、放浪の旅人と孤独な美貌の村娘、夜叉ヶ池の竜神姫と彼方の竜神の二つの恋物語を中心に、人間世界と異界の眷属の物の怪たちが荒々しくユーモラスに描かれた物語で、今もなお愛されている名作です。
この傑作ファンタジーを、言葉と芝居にこだわりを持つ演出家・森新太郎の演出、ダンサー・演出家として独自の世界を切り拓いてきた森山開次の振付と、今作でPARCO劇場公演で初座長を務める勝地涼をはじめ入野自由、瀧内公美、那須凜ら演劇界の名うての実力派が顔を揃え、PARCO劇場の舞台に幽玄の世界を描き出します。
ぜひ、その雄大で華麗な舞台にご期待ください!

初日公演に先駆けて行われたフォトコールと、初日前取材会のコメントが到着しましたので掲載いたします。

 

コメント

勝地涼 / 萩原晃 役
泉鏡花の戯曲は昔の日本語で言葉が難しいので、覚えて言うことはできてもどういう風に伝えるのがよいかをつかむのが難しくて、自分のイメージだけでは足りていなかった部分を、森さんに教えていただいてなんとかやって来れました。見どころとしては、妖怪パートが観ていてすごく楽しいです(笑)。みんなが活き活きしているので蟹や鯉が本当にそういう生き物に見えてきます。細かい動きをずっと続けなければならないので、すごくキツい稽古だったと思うんですけど、稽古の中で「今、鯉じゃなくなってる!」というダメ出しが個人的に面白くて(笑)。でも、それくらい全ての瞬間を鯉や蟹でやっているんだなと思うと、その人間の体を使ってやっている姿が美しいのに笑えるので、僕としてはそのシーンがすごい好きです。そこから白雪が出てくるシーンはゾクゾクするというか、お客様が見たら興奮するんじゃないかなと思います。

 

入野自由 / 山沢学円 役
より具体的に自分たちがイメージできるように何度も口に出して練習して、どうやったら相手に伝わるのか、どうやったら情景が見えるのか考えながら稽古をしてきました。最初のころは難しいという感情が先に来てしまっていましたが、やればやるほど心地いいですし、海外の戯曲を翻訳したものとはまだ違う難しさもあって、楽しみながら演じています。僕としては、勝地さん演じる萩原が膨大なセリフ量で語るシーンが、ひとつの見どころだと思っています。聞くたびに萩原の言葉や表情がいつも新鮮で、どんどん面白くなっているので毎回楽しみにしているので、お客様にも伝わればいいなと思います。

 

瀧内公美 / 百合 役
(作品の中には)言い慣れていない言葉が多いので、自分の言葉にするのはすごく難しかったです。森さんは、台詞が私の中に落ちるまで目の前で何度もやって見せてくださいました。言葉をまっすぐ届けることと相手に何を渡さないといけないのかというところを大事に、泉鏡花の戯曲の高度な言葉遊びのやりとりを森さんが読み込み、私たちに伝授してくださったので、まるで学校に通っているような感じでした。(萩原)晃さんが白雪の話をするシーンがラストにあるんですけど、私はそのシーンがとても好きなんです。彼の語る姿を見たとき、だから百合はこの人のことを好きになったんだなと、台本を飛び越えて彼の人間性を感じました。ここは見どころだと思っています。そして森山開次さんのステージングがこの作品の世界観を引っ張ってくださっていますので、ぜひ観ていただきたいです。

 

那須凜 / 白雪姫 役
お三方(勝地さん、入野さん、滝内さん)は人間パートで、私は妖怪パートなんですけども、妖怪の世界のスケール感が大きいというか、泉鏡花さんが持っている言葉の絶大なパワーを身体で表現するのは大変で、森さんが時間をかけて丁寧に稽古をしてくださいました。私のほかにも妖怪がいっぱい出てくるのですが、私以外はみんな村人にもなるんです。村人として出てきた時はおかしさはなく、すごく冷たい村人として清らかなお百合さんと晃さんを追い詰めていくという、きつい現実を突きつける構図になっていて、そういうところが泉鏡花さんの作品の好きな部分です。私はいつも舞台に出るときに舞台の袖でお祈りをしているのですが、特にこの作品は実在する夜叉ヶ池の神様の話なので、ちゃんとお祈りして感謝したら神様が味方していい舞台にしてくれないかなと思っています。

 

森新太郎 / 演出
昔から勝地涼を“紫電清霜”という言葉の意味そのままの俳優だと認識していましたので、迷うことなくオファーしました。そして、期待以上の男でした。稽古中、彼の心情溢れる芝居を観ていて何度も感動していますけど、言わないようにしています(笑)。
入野自由は普段から本当に心優しい男で、学円という役との重なり具合が尋常でないですね。この若さにして珍しく、聞く能力がずば抜けている俳優。彼なしには勝地の語りも成立しないし、二人のハーモニーは完璧だと思います。
瀧内公美に関しましては、僕自身、百合という役を当初掴みあぐねていたのですが、彼女が演じることで百合が持っている真の力強さ、美しさを垣間見ることが出来ました。北陸出身だからなのか、鏡花の作品には必要な俳優でしたね。
白雪は物語上、とにかく一番面白いキャラクターなんですよ。「恋のためなら人間なんて滅んでいい」と言いきってしまうんですから(笑)。このたびの白雪は恐ろしさだけでなく、那須凜という俳優の可愛らしさが爆発しています。
パルコ50周年に相応しく、パルコ劇場でしか出来ない大冒険をしております。
どうぞお楽しみに!

 

ストーリー

岐阜県と福井県の県境にある三国嶽の麓の里に鐘の音が鳴り響く、それは竜神(那須凜)と人間の約束の鐘の音、この鐘の音が鳴っている間は、約束が守られている。
だが人間の傲慢さと欲の深さによって、鐘が鳴らなくなって約束が破られたとき・・・

大正2年の夏、激しい日照りが続くとある地方の村に、諸国を旅する学士の山沢学円(入野自由)という男がやってきた。山沢はその村にある三国嶽の麓を歩いている途中、のどの渇きを覚えて、とある家にお茶をお願いし、お茶をめぐんでくれた娘・百合(瀧内公美)に問わず語りに話をしはじめる。
一昨年のこと、萩原晃(勝地涼)という自分の友人の学者が各地に伝わる不思議な物語の収集に出たまま行方知れずになり、その足跡を辿って諸国を旅しているのだと。

そこへ百合の夫という男が現れる。
その男こそ萩原であった。

久々の再会を喜ぶ山沢に、萩原は自分がこの地に住み着いたいきさつを語るのだった・・・。

 

舞台写真

撮影:加藤幸広