土田英生(MONO)が書いた戯曲『燕のいる駅』は、1997年に京都にて初演。普遍的なテーマ性が高く評価され、その後様々な劇団・プロデュースにより繰り返し上演されてきた。2005年には宮田慶子演出、相葉雅紀主演で再演。2012年には土田英生自らが演出し、新たな改変を加えて決定版として上演された。
本作では“世界の終わり”という、思いがけない現実に直面した人々が交わすさりげない会話、その奥底に潜む心情がリアルに浮かび上がる。この現実には、新型コロナウイルス感染症の流行やウクライナ情勢、近年頻発する自然災害などを想起する人も多いのではないだろうか。今回、作者の土田が大幅に脚本をブラッシュアップ。また演出も手がけ、2023年の「今」ならではの『燕のいる駅-ツバメノイルエキ-』に挑む!
主役の「日本村四番」駅の駅員・高島啓治役に、舞台『刀剣乱舞』シリーズや『おそ松さん on STAGE』シリーズをはじめ、ドラマや映画でも人気沸騰中の和田雅成。また駅に集う人々に、高月彩良、小沢道成、奥村佳恵、佐藤永典、尾方宣久、久保田磨希と個性あふれる実力派を揃え、この独特な劇世界を鮮やかに描き出す。
今回、上演決定に際し、作・演出の土田英生(MONO)、和田雅成をはじめキャスト全員からコメントが到着した。
作・演出:土田英生(MONO) コメント
「燕のいる駅」は、世界の終わりを淡々と描写するだけの作品です。1997年に京都で初演。その後、私の劇団(MONO)用に書き替えて1999年再演。2005年には相葉雅紀さん主演で上演し、2012年には土田英生セレクションvol.2として上演。その後、同じ設定を使った書き下ろし小説「プログラム」(河出書房刊)、さらにはその小説を原作として「それぞれ、たまゆら」という題名で映画も創りました。また多くの団体が現在も上演もしてくださっています。
自分の作品の中でこれほど広がりを見せた作品はありません。だからこそ、もう自分でやるつもりはありませんでした。しかしコロナ禍がありました。人が消えた街の景色は、私がこの作品の中で描いた世界にとても似ていました。「燕のいる駅」がフィクションではなくなったと感じました。もう一度だけ、この作品をつくりたいと思いました。最後を飾るにふさわしいメンバーが集まってくださいました。期待してください。
和田雅成 コメント
高島役の和田雅成と申します。初演の映像を観させて頂き、心地良い会話のテンポとやり取り、ここにしか無い世界観に夢中になりました。現時点でまだ自分が理解出来ていない所が多々あると思うので、ゆっくりと確実に、この世界に浸かっていきたいと思います。
高月彩良 コメント
ストレートプレイの作品に参加させて頂くことが久しぶりで、こんなにも会話が濃密に繰り広げられてゆく作品に携わらせて頂くのも初めてです。新しい挑戦にワクワクしながら、緊張や不安な気持ちもありますが、演出の土田さん、共演者の皆様の胸をお借りして、がむしゃらに稽古に挑んでいこうと思っています。この「駅」という空間を私自身、そして下河辺としても楽しんでいきたいと思います。
小沢道成 コメント
土田さんが描く物語はいつも〝もしも僕たちの日常にこんな事が起こったら〟という現実とフィクションの狭間を見せてくれます。その絶妙なバランスが面白くて!そのもうひとつの日常では悲しいことが笑えて見えたり、笑えてたことが怖くなったりします。
劇団で上演された1999年は、僕がノストラダムスのなんちゃらで怯えながらも半信半疑で笑っていた頃です。何事もなかったかのように世界はその後も続いたけど、考えもしなかったことが次々と起こるこの現実の日常を過ごしながら思うわけです。土田さんが描く〝もしも〟というフィクションは、すぐそこに迫ってきているかもしれないなと。
まあ、それでも僕は今、台本を読みながら笑っているのですが。
奥村佳恵 コメント
おそろしい速さで、それは進んでいる。自分の意思ではどうにもならず、身動きが取れない。追っているのか逃げているのか、もしくは止まっているのか。私が子どもの頃から繰り返しみていた夢と、どこか似ている。線にならないまま散らばる無数の点に背筋が寒くなる。
今回は演出がガラリと変わるそうですが、私の演じる戸村はもしかすると、登場人物の中である意味一番掴めない人かもしれません。新たな台本も、最初の読み合わせも、稽古も楽しみです。戯曲の中の余白を、観客は、私たちは、どう捉えるのか。土田さんの演出と共演者の皆さまに身を委ねて、思い切り楽しみたいです。
佐藤永典 コメント
まず最初に、何故だかこの作品のタイトルにとてもとても惹かれてしまいました。そしてあらすじなどを読ませていただき、一体どういったものになっていくのか、作品を通して自分自身はどんな気持ちになるのだろうか。と今はワクワクしています。
この作品を生み出した土田英生さん、今回初めてお逢いする方、そして以前に共演させていただいたこともある素敵な方々と、一緒に劇場でお届け出来ることを楽しみにしています。
尾方宣久(MONO) コメント
「燕のいる駅」に出演するのは今回で3回目です。1回目は劇団公演、2回目が土田さんのプロデュース公演、まさか3回目があるとは思っていませんでした。1回目からはもちろん2回目に参加した時からも随分時間が経過しているので、今の自分の年齢で改めてこの作品に向き合えることをとても楽しみにしています。「世界の終わり」という状況の中で、どういう感情が生まれるのか、今回集まった素敵なみなさんと一緒に楽しく作り上げていきたいです。よろしくお願いします。
久保田磨希 コメント
1991年、私は大阪の大学に入学しました。そこで、初めて「小劇場」という演劇のジャンルがある事を知り、魅了され、寝ても覚めても演劇に明け暮れた大学生活を送っていました。もちろん、「MONO」さんも観させていただいていました。他の若い劇団とは一線を画していて、情緒的で深みがあって、私と同世代なのにひと世代もふた世代も上の集団のように感じていました。
今回ご一緒する尾方宣久さんとは23歳の頃、今から27年前に共演しています。土田さん、あの時の子が久保田磨希と理解されているでしょうか?あの頃の私は人生で唯一ダイエットに成功していた時期で、今と25キロほど違いますので!約30年の時を経て、土田さんの作品に参加できることをとても嬉しく思っております。今から楽しみです!