毎公演思いっきり演じて燃え尽きたい
客席が360度回転する新感覚の劇場・IHIステージアラウンド東京にて、この夏開幕したのが『メタルマクベス』だ。劇団☆新感線が’06年に上演し、シェイクスピアの『マクベス』をモチーフにしたエンタメ活劇×ド迫力のへヴィメタル・サウンドという奇想天外な世界観が絶賛された同作。12年の歳月を経て新たに生まれ変わるその“disc2”で主人公を演じるのが、新感線作品初登場となる尾上松也だ。
尾上「『マクベス』の物語をベースにしつつも滑稽な部分や、笑えるポイントもふんだんに盛り込まれた作品です。初演の映像を何度も観させていただきました。世界観もとても好きですし、演出のいのうえひでのりさんやキャストの方々が全力で取り組んでいるお姿には感化されるものがありました。役回りや演じ方など初挑戦になる部分も多いのですが、それが楽しみでもあり、不安でもあり」
松也は近未来の荒廃した世界で暗躍する将軍・ランダムスターと、80年代の落ち目のバンドマン・マクベス魔Ⅱ夜の2役を演じる。
尾上「どこかでシェイクスピアの『マクベス』の空気感を纏う形で演じられたらと思っています。ランダムスター夫人(原作のマクベス夫人)役の大原櫻子さんとは年齢差があったりするのですが(笑)、大原さんがどうやって悪女を演じるのか本当に楽しみです。disc2の座組の中でのバランスを探りつつ、僕らなりの『メタルマクベス』を作っていきたいですね」
disc1・2・3と上演される中で、disc2ならではの魅力を「新感線初参加のメンバーが多かったり、いい意味で新感線っぽくない意外性があること」と語った松也。実はロック好きでジューダス・プリーストなどのメタルバンドも聴いてきたという彼を筆頭に、ド派手にシャウトを響かせる『メタルマクベス』ナンバーを、キャストたちがどう歌いこなすかも気になるところだ。
尾上「毎公演思いっきり演じて燃え尽きたいと思いますし、一度舞台に出てしまうと歯止めがきかない部分もありますので、本番ではどうなるんでしょうね(笑)。見るたびに面白くなり、新しい発見がある作品でもありますので、最低2回くらいは観ていただくことをおすすめします」
インタビュー・文/古知屋ジュン
※構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載
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【プロフィール】
尾上 松也
■オノエ マツヤ ’90年、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目尾上松也を襲名。近年は歌舞伎に限らず、ミュージカルや舞台、テレビでも活躍。