『窯変源氏物語-夕顔-』は、9月15日(金)~9月18日(月・祝)まで池袋・あうるすぽっとにて上演される朗読✕芝居✕音楽✕歌で表現する舞台作品。
この度キャストビジュアルが解禁した。 今回公開されるキャストビジュアルは、男性はスリーピーススーツでクラシックな紳士姿に、女性は凛とした黒のロングドレスで、大正ロマンの香り漂う落ち着いた雰囲気になっている。
『窯変源氏物語』とは、
橋本治・著の「源氏物語」の現代語による再構築訳で、千年の時の窯(かま)で色を変えた、橋本治の源氏物語の世界。
原作は女房の語りで綴られているのに対し、本作は基本的に光源氏の視点から一人称で書かれています。初演は、2008年に朗読・芝居・音楽・歌・舞で表現する新スタイルの朗読劇として舞台化、女優・歌手・歌舞伎俳優・狂言師・日本舞踊家などの異色かつ豪華なキャストと、三味線・十七絃・尺八といった邦楽によるオリジナル曲の生演奏で立体的コラボレーションとして話題となった。
今秋、初演の中から「夕顔」をピックアップ、新たなキャストを迎え、より色鮮やかにブラッシュアップしてお届けする。
出演は、数々の舞台で活躍する俳優・山本一慶(やまもと・いっけい)、岸本勇太(きしもと・ゆうた)と、時代劇や殺陣師としても活躍する市瀬秀和(いちのせ・ひでかず)、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役で退団後も様々な舞台で活躍する舞羽美海(まいはね・みみ)。さらに大衆演劇の若手座⾧・津川鵣汀(つがわ・らいちょう)の舞をインサートしながら、光源氏という危険な男の、美しくも残酷で孤独な遍歴ドラマを、新内多賀太夫(しんない・たがたゆう)によるオリジナル楽曲の生演奏で立体的表現に挑戦、〝橋本治の源氏物語の世界〟へ誘う。
イントロダクション
いつのことだったか、もう忘れてしまった――
千年の時の窯で色を変え、光源氏のモノローグで始まる〝橋本源氏〟。
大正ロマンの香りが漂う「ある時代」を生きる貴族たちがいる。
その中にあって、教養豊かで、風雅を愛する一人の青年――
彼はかつて「夕顔の宿」と呼ばれた廃屋があることを知る。
青年はここで「源氏物語」に思いをはせようと、友人たちとこの屋を訪れる。そこで始まる朗読。
友人のある者は、廃屋を舞台に舞ってみようという。またある者は芝居を交えてみようという。
そこに貴婦人が現れた。その貴婦人に青年は近頃出会ったのだが、どこか謎めいている。
その謎が青年の心をひきつける。やがて貴族たちによって「夕顔」の朗読が始まった。
次第に青年は妖しい魅力をたたえる女に翻弄され、貴族たちはやがて不思議な迷宮に紛れ込んでいく―
『夕顔』~白い花よ 十代の夏の終わりに短くも咲け ~
「こら!」私は、そっと女を抱きしめた。 私の腕の中で、女はおかしそうに笑っている。
夕闇の中に咲く花のように愛くるしい、ところ定めぬ身の上の女に魅せられた光源氏は、
五条大路に棲むその女の許へ通うようになる。
そしてある夜、欲望に駆られ荒れ果てた院にその女を連れ出すが、女は物の怪にとり憑かれ、
光源氏の腕の中ではかなくなってしまう…