演出:深作健太 日本初演『未婚の女』、能舞台にて上演決定!ドイツ劇に夏川椎菜が再び挑む!

2023.09.01

2021年、2022年と「深作組ドイツ三部作」、「新ドイツ三部作」と銘打ち、ドイツ戯曲を立て続けに5作品上演した深作組が、「新ドイツ三部作」完結篇として、この度、『未婚の女』を東京・表参道にある銕仙会能楽研修所にて上演いたします。

『未婚の女』は、2014年にウィーンで初演され、ミュールハイム劇作賞を受賞し、今回が日本初演となります。戦争と今とを結びつけるこのドイツの話題作を、演劇やオペラ、映像作品などで活躍する深作健太が、現代社会が抱える問題をえぐるような鋭い視点で演出します。

本作品に登場する三世代の「未婚の女」たちの孫娘役は、昨年上演の深作組「オルレアンの少女」の主演で好評を博し、声優、アーティストとしても快進撃を続ける夏川椎菜が演じます。母役には、女優、タレント、キャスターなど幅広い顔を見せるサヘル・ローズと、『新世紀エヴァンゲリオン』アスカ役など数々の有名作に出演する声優・宮村優子がダブルキャストで出演。祖母役は、元フジテレビアナウンサーで、現在は女優としての活躍も目覚ましい山村美智が務めます。様々なルーツをもつ出演者が、能舞台で繰り広げるドイツ現代劇で、どのような化学反応を起こすのか、ご期待ください。

 

コメント

夏川椎菜
「オルレアンの少女」から約1年ぶりとなる、舞台への挑戦です。また深作組と一緒にメッセージを伝えられることを嬉しく思います!台本の初稿を頂いた時「とりあえず今回は、旗を振り回す事はなさそう」と思い、ちょっと荷が降りる思いだったのですが、会場の銕仙会 能楽研修所を調べて、戦々恐々としています。この厳粛な雰囲気の中、目の前のお客様にちゃんとメッセージを届けられるよう、稽古に励んで参ります!ご来場お待ちしています。

深作健太
いま〈新しい戦前〉という言葉が、あちこちでささやかれています。23年秋、深作組は〈戦争と女性〉をテーマに描く〈新ドイツ三部作〉完結篇として、オーストリアの気鋭の劇作家エーヴァルト・パルメツホーファーによる『未婚の女』を、大川珠季さんの翻訳で日本初演いたします。三世代に渡る、三人の母娘の〈抑圧〉と〈抵抗〉の物語。過去と現代が交錯する〈鎮魂劇〉を、東京・青山にある銕仙会能楽研修所の洗練された〈能舞台〉の上に表現することで、ドイツと日本、二つの敗戦国の〈戦後史〉がくっきりと浮かびあがることでしょう。
主演には『オルレアンの少女』に続いて、深作組のミューズ・夏川椎菜さんをお迎えします。過去と現在を繋ぐこの難役は、強い言葉の力をもつナンちゃんしかいないと思いました。母親役にはWキャストで、しなやかで強靱な表現力をもったお二人、サヘル・ローズさんと、宮村優子さん。そして物語の鍵を握る祖母役には、山村美智さん。さらに様々な役を演じるコロス役としてイケメン俳優陣、有川マコトさん、宮地大介さん、小田龍哉さん、神農直隆さんら、今回もまた信頼する素敵なキャスト・スタッフが揃いました。
『未婚の女』は〈鎮魂〉の物語です。僕たちはいつも、過去の戦争と次の戦争の間の時代を生きている。未来の可能性を忘れてしまわないためにも、この〈裁判劇〉を大切に作ります。

 

[STORY]
1945年4月、オーストリア中部の村。
ナチスドイツによる支配が終わる数日前、一人の若い男が〈脱走兵〉として処刑された。
兵士を密告したのは、村に住む若い女・マリア。
しかし戦後、価値観は一転し、マリアは〈ナチスの協力者〉として裁かれる。

時は流れ、現代――
若い孫娘・ウルリケは祖母のノートの存在を知り、事件の真相に迫る。
一方、ウルリケの母・イングリッドは、自分をギリシア神話のエレクトラにたとえながら、母に対する〈復讐〉を誓う。
浮かびあがる【三世代】、三人の女たちを〈抑圧〉する心の闇。
過去と現在が交錯しながら、やがて物語は衝撃のクライマックスを迎える――