シアタートラム・ネクストジェネレーション vol.15-フィジカル-新作公演『Pupa』公演詳細・ビジュアル公開!/vol.16-演劇-選出団体は、くによし組に決定!女屋理音、白井晃のコメントも公開

2023.09.20

2008年、世田谷パブリックシアターが若い才能の発掘と育成を目的に開始した「シアタートラム・ネクストジェネレーション」。
日本国内で舞台芸術活動を行う団体・個人を幅広く募集し、選考により決定したアーティストにシアタートラムでの上演機会を提供。公演実施にあたっては、世田谷パブリックシアターが、会場提供だけでなく、参加アーティストのさらなるステップアップ、作品の醸成をバックアップしている。
2022年度からは「演劇」「フィジカル」の2ジャンルに分け、隔年で募集しており、
リニューアル後、初のフィジカル部門のアーティストとして女屋理音(room.Onaya Rion)が選出され、今年12月にシアタートラムで新作「Pupa」を上演する。またシアタートラム・ネクストジェネレーションvol.16 ―演劇部門には、くによし組を選出したことが発表され、来年12月に上演される。

そしてこのたび、「Pupa」公演の詳細の他、女屋理音と世田谷パブリックシアター芸術監督でもある白井晃からのコメントが届いた。

シアタートラム・ネクストジェネレーション vol.15 -フィジカル- room.Onaya Rion『Pupa』

初のフィジカル部門で選出された女屋理音(room.Onaya Rion)が、新作を発表

「シアタートラム・ネクストジェネレーション」vol.15で、初のフィジカル部門のアーティストとして選出された女屋理音(room.Onaya Rionroom.Onaya Rion)。
女屋は、3歳からクラシックバレエを始め、ピナ・バウシュとの出会いを機にコンテンポラリーダンスへの道を歩み始めたという経歴を持つ。お茶の水女子大学舞踊教育学コース在学中はピナ・バウシュを中心に作家研究を行いながら、能美健志、梅田宏明、ハラサオリなどの振付家の作品に参加。同時に自身の作品も作り始め、『I’m not a liar.I’m not a liar.』(21年)で横浜ダンスコレクション最優秀新人振付家賞を受賞。現在は、DaBYレジデンスアーティストとしても活動するなど、令和のコンテンポラリーダンスを担う若手の一人として注目されている。

©田中洋二

演劇的要素も多く取り入れ、独自の感性と強い芯を感じさせる女屋理音新作のモチーフは“昆虫”

-あなたにはなんとなく、どこかで会ったことがある気がして、なんとなく、私たちはひとつだったのかもしれない-

本作のモチーフは“昆虫”。蛹(さなぎ)を意味する『PupaPupa』をタイトルに置き、〈内的感覚〉や〈記憶の循環〉に着目した新作をお届け。演劇的要素も多く取り入れ、独自の感性が散りばめられた作品作りに定評のある女屋が創造する新作舞踊公演に、ご注目を。

振付・演出・出演:女屋理音 コメント

蝶の幼虫は、羽化のために一度蛹の中でその形状を失います。その創造のための破壊は、人間の営みの健全な姿であるようにも感じます。
現代では技術によって同じクオリティのものが大量に作られ、それらを消費できる仕組みが出来上がり、エネルギーが循環していく機会を失いつつあります。
私は作品を通して、身体を用いたエネルギーの循環、つまり有機的に他者と繋がる可能性を探していきたいと思っています。そして観客の皆さんとそれをどう共有できるのか、一緒に探る時間になれば幸いです。

©飯田耕治

シアタートラム・ネクストジェネレーション vol.16 -演劇-

選出団体は、國吉咲貴率いる気鋭の演劇団体くによし組に決定!
世田谷パブリックシアター芸術監督・白井晃からのコメントを公開

「シアタートラム・ネクストジェネレーション」リニューアル後、初の演劇部門となるvol.16には、くによし組が選出された。
くによし組は、國吉咲貴が主宰する団体で2015年に設立。「異常で、日常で、シュール」をコンセプトに、日常と非日常を明るいタッチで映し出す劇作が高く評価され、佐藤佐吉賞(最優秀作品賞、優秀脚本賞ほか)、関西演劇祭2020(脚本賞・演出賞)などを受賞。そのほか、せんだい短編戯曲賞、劇作家協会新人戯曲賞、北海道戯曲賞などで最終候補に選ばれる実力を持つ、今後ブレイクする可能性を大いに秘めている団体の一つ。シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.16では、戯曲の執筆力に注目。これからの飛躍が期待される団体として、選出された。

2024年12月のシアタートラム公演まで、世田谷パブリックシアターがバックアップしていく。

世田谷パブリックシアター芸術監督・白井晃:選出コメント

國吉さんの作品は、いつも虚実が隣り合わせにある。隣り合わせと言っても、普通の距離感の隣り合わせではなく、本当に隣接していてくっつくように存在している。むしろ虚実がめり込んで存在していると言っても良い。だから一見不条理劇のようにも見えるが、不条理劇ではない。むしろ、國吉さんの世界の登場人物はとても条理にかなっているものだから、これが今の私たちの現実だと思い知らされる。そして、彼らの会話を通して、私たちを取り囲む不条理な世界が浮き上がって見えてくるのだ。上演予定の、コロナ禍の前に書かれた作品が、改めてシアタートラムの空間の中でどのように現出されるのかとても楽しみだ。もしかしたら、私たちはもっともっと不条理になった世界の中で、國吉さんの世界の清々しさを感じることなるかもしれない。

くによし組

國吉咲貴(主宰・脚本・演出・ときどき出演)を中心に2015年に設立、以降25作品を上演。「異常で、日常で、シュール」をコンセプトに作品を上演している。