初舞台で『ジャンヌ・ダルク』という壮大な歴史エンターテインメントに挑むこととなった、清原果耶。まだ本格的な稽古に入る前の9月初めに初の取材会が行われ、清原が期待と緊張とが綯い交ぜとなっているその胸の内を明かしてくれた。

――『ジャンヌ・ダルク』という作品で初舞台を踏むにあたり、今の率直なお気持ちはいかがですか

今は、とにかく緊張しています！（笑）　舞台自体が初めてなので、稽古場でどういう風に居ればいいかも、台本や役へのアプローチをどうかければいいかも今はまだわからなくて。稽古に入れば、がむしゃらにやるしかない！というモードに切り替わるとは思うんですけど……、今はまだ「はぁ～」って、緊張のため息が止まらない状態になっています。

――舞台のお仕事は、以前からやってみたかったそうですね

小学生の頃に、ミュージカルの習い事みたいなことをしていた経験があって。歌ったりすることは好きでしたし、舞台に立つ楽しさを知っていたので、このお仕事を始めてからもいつか挑戦したいなとずっと思っていました。

――今回の初舞台に向けて、事前に準備されていることは

一番初めに、演出の白井晃さんと2人でワークショップをする時間を作っていただき、舞台の発声の仕方を習ったり、資料としてこういうものを読んでおいたらいいよと教えていただいた本を読んだりしました。何しろ本当に何もわからない状態だったので得体の知れない不安みたいなものを感じていて、その相談をしてみたら「稽古が始まればだんだん身体もできてきて慣れていくと思うから、今からそんなに心配しなくていいよ、大丈夫だよ」と言っていただいて少しホッとしました。

――過去の公演の映像も、ご覧になったそうですね

堀北真希さんが演じられた初演も、有村架純さんが演じられた再演も拝見しまして、ジャンヌが持っている情熱やパワーをどちらの公演からもものすごく感じました。ジャンヌのカリスマ性に周りの人たちが惹かれていく様子を見ていると、私もこういう風にたくさんの人たちを動かす人物にならなければいけないんだと思い、またしても緊張がさらに高まってきてしまいました（笑）。

――特に印象深かったシーンはどこですか

戦いの途中でジャンヌが直接剣を使って戦うことを止められるシーンがあって、旗を振って周りの兵士たちを鼓舞しながら、自分はこういう意志で一緒に戦いたいという気持ちがあるんだ、ということを熱く語る場面がとても印象的だったんです。彼女自身の強さはそういうところにあるように思いましたし、周りに流されずに自分の信念を貫き通す部分も、そのシーンではっきりと見えてきた気がしました。

――あの大きな旗を振るのも、大変そうですね

重たいのかなあ……。腕がムキムキになっちゃうかもしれないですね（笑）。

――体力勝負の作品とも言えそうです（笑）

大丈夫です、鍛えます！　動き方や見せ方もきっと映像とは全然違うんでしょうから、ご一緒させて頂く皆さんに教えて頂きながら必死に頑張っていくしかないと覚悟しています。

――台本を読んだ時の物語の印象としては、いかがでしたか

この作品に出演することが決まってから読ませていただいたので、客観視して読めていたかというとそうではないかもしれないのですが。ジャンヌ・ダルクという一人の少女を演じるという目線で読むと、彼女自身の人物像としてスポットが当たる場所はそのカリスマ性であったり、人々が託す希望であったり、彼女自身の率いる力みたいなところになるのですが、その影になっている人間性の部分を稽古を通してもっと深く知ることができたらいいなとも思いました。

――出演者がほぼ100人もいる大規模なお芝居で、その座長を務められるということはある意味ジャンヌという役柄にも重なりそうな気がします

確かにそうですね。ですが、たぶん私が誰よりも一番頑張らなければいけないし、一番迷惑や心配をおかけする立場になると思いますので。もう、可能な限り柔軟に、自分にできることを少しずつでも頑張って、稽古中にできることを増やしていき、なんとか周りのみなさんに追いつけるようにしたいと思っています。なのでこんな言い方をしていいかわかりませんが、周りのみなさんに支えて頂きながら一緒にジャンヌを作っていけたら、きっと緊張感はありつつも前向きな気持ちで、稽古に臨めるような、そんな気がしています。

――シャルル七世を演じられる小関裕太さんは、事務所の先輩でもありますね。

そうなんです、今日このあとに対談の取材があるのですが、実は初対面なんですよね。たぶん“お互い何を話せばいいか”みたいなことになりそうなのですが……とりあえず好きな食べ物とか聞きつつ（笑）、親交を深め、舞台に挑むにあたりどうしたらいいですかという話などをお聞きしてみたいです。舞台を経験されている先輩に「わからないことを1から100まで教えてもらえたら助かります、よろしくお願いします先輩！」ってすがりたいです（笑）。今回はもう学ぶことしかない現場だと思っていますので、吸収できるもの、覚えられるものはすべて持ち帰るつもりですが、でもやっぱり楽しいのが一番ですから。舞台って楽しかったなあ！と思える経験にできるよう、精一杯努力するつもりです。

――体力づくりにも取り組まれていますか

まずは基礎体力を向上させようと、柔軟と筋トレを始めました。私の場合、周期がありまして「筋トレしたいぞ！」という時期には集中してやり続けるんですが、ここ最近は「何もしたくないよ～」という時期だったもので（笑）。ようやく再びやり出したところです。

――この作品に向き合うにあたり、今、一番楽しみに思われていることは。

キャストのみなさんとの顔合わせの瞬間ですね。絶対、緊張するとは思うのですが、これから長い期間にわたり一緒に稽古をし、舞台に立ち続ける経験ができることはとても貴重な時間になると思うので、「もしもミスしたらごめんなさい！」みたいな気持ちも含め、最初に誠意の気持ちをいっぱい伝えて「よろしくお願いします！」とご挨拶をしたいなと思っています！

撮影／岸 隆子
取材・文／田中里津子
ヘアメイク／牧野裕大
スタイリスト／井阪恵