数々の「メディア」伝承をベースに立ち上げる新作舞台『メディア/イアソン』公演情報、出演者コメント公開!!

2023.12.12

2024年3月、脚本:フジノサツコ×演出:森新太郎による新作『メディア/イアソン』が世田谷パブリックシアターで上演される。

古代ギリシャの劇作家・エウリピデスが記したギリシャ悲劇の最高傑作「メディア」。夫イアソンの裏切りによって、我が子を殺めるという王女メディアの凄惨な復讐劇は、これまでにも世界各国で数多くの舞台や映画の題材に取り上げられてきた。

本作『メディア/イアソン』では、脚本フジノサツコの筆と、森新太郎の演出により、その前日譚である、若き日の二人の出会いと愛情に満ちた日々を鮮やかに照射し、太陽のような存在であった二人が悲惨な結末を迎えるに至るまでの顛末を、二人の間に産まれた三人の子供たちの視点を通して描き出す。

脚本を手掛けるのは、森新太郎が主催するモナカ興業の作家フジノサツコ。フジノは数多くの「メディア」伝承に着目し、異国の地で生まれたメディアとイアソンが、まるでロミオとジュリエットのように十代でめぐり逢い、幾多の障害を乗り越えながら愛を成就する経緯を作品の前半に置くことで、後半の復讐劇をより際立たせていく構成。

演出を担当する森新太郎は、ご存じの通り常に演劇シーンのトップを走り続けているが、世田谷パブリックシアター主催公演でもこれまでに、『ハーベスト』(2012年)、『THE BIG FELLAH ビッグ・フェラー』(2014年)、『管理人』(2017年)、『The Silver Tassie 銀杯』(2018 年)、『メアリ・スチュアート』(2020年)、世田谷パブリックシアター×東京グローブ座『エレファント・マン THE ELEPHANT MAN』(2020年)など、多くの話題作を創出してきた。数々のドラマティックな演劇空間を創造してきた森が、ギリシャ悲劇ならではの壮大な神話世界を、ファンタジックな要素や、喜劇的なエピソードも網羅しつつどのように演出するのか、期待が高まる。
これまでにも多くのタッグを組み、数々の舞台を生み出してきたフジノサツコの台本と森新太郎の演出、そして精鋭五名の出演陣。夫婦と子供たちの一つの家族の誕生と崩壊が、歴史背景や国家体制という大きな枠組みの中でどのように描かれていくのか。喜怒哀楽に富み、卑近にして壮大な『メディア/イアソン』に期待が膨らむ。

英雄イアソン:井上芳雄、王女メディア:南沢奈央を筆頭に、三浦宏規ら魅力あふれる精鋭が集結
新たなギリシャ悲劇の誕生

壮大なギリシャ悲劇を舞台上で体現するのは、わずか五名の俳優陣。この精鋭五名には演出の森新太郎が望みうる限りの最高のキャストが集結。

タイトルロールの一人、イアソン役を演じるのは井上芳雄。ミュージカルで鮮烈なデビューを飾り、その後も話題のミュージカルの舞台は勿論、ストレートプレイや映像作品にも活躍の場を広げながら、常に第一線の俳優として数多くの作品世界に身を置き、類い希なる存在感を築き上げてきた。しかし意外にもギリシャ悲劇の世界を体現するのは本作が初めてとのこと。愛にあふれた王女メディアを憎しみにかられた女性へと至らしめる夫イアソン役をどのように構築していくのか、注目が集まる。

もう一方のタイトルロール、王女メディア役には南沢奈央を迎える。舞台、映像に豊富なキャリアを持ちながらも、読書家で、数々の書評や自身でも連載を手掛ける南沢。ピュアな演技力に加え、その研ぎ澄まされた考察力や文学的なセンスも生かし、ギリシャ悲劇の中でも壮絶なヒロイン・メディア役で新たな一面を開花させるに違いない。

そしてイアソンとメディアの間に産まれた三人の子供たちを演じるのが、三浦宏規、水野貴以、加茂智里。

複数のバレエコンクールで優秀な成績を収め、バレエダンサーとしての未来を嘱望されながらも数々の舞台に挑戦し、今や演技力・歌唱力も兼ね備え、三拍子そろった舞台姿が話題の三浦宏規が、初顔合わせの森新太郎の演出のもと、どのような化学反応を見せるのか、興味はつきない。

水野貴以は、森新太郎演出の『パレード』『奇跡の人』『モンスターと時計』に出演し、森作品では欠かせない俳優の一人。

加茂智里はスウィング(アンダースタディ)として森の演出作品に関わっていた時に、森がその才能を高く評価して今回の出演につながった。

森の信頼を得ている水野と加茂の演技にも期待があつまる。

奇しくもこの五名のキャスト陣は、世田谷パブリックシアターの企画制作公演には初登場となる。この素晴らしい出演者と、森が厚い信頼を寄せる実力派のスタッフ陣により、新たな視点で描かれるギリシャ悲劇『メディア/イアソン』。 世田谷パブリックシアターの2023年度演劇公演の掉尾を飾る新作舞台に期待が高まる。

また、上演にあたり出演者からのコメントも到着した!

出演者コメント

井上芳雄 コメント

演劇の題材の中でも、最古の部類に含まれるであろうギリシャ神話の物語。改めて読んでみたところ、人間の根本は変わらず、人の弱さや狡さ、それゆえに生まれる喜びや苦しみなどの感情は、時空を超えて普遍的で、リアルに伝わってくるのだと驚きました。僕が演じるイアソンは、人間臭くて、弱いところやダメなところも持ち合わせている役柄です。マイナスな面も演じるのは俳優としてチャレンジでもあり、楽しみです。メディア役の南沢奈央さんは柔らかい印象をお持ちの方なので、その南沢さんが悲劇の後半へむけてどうのように変貌されていくのか、面白い創作の旅ができるのではないかと期待しています。森新太郎さんは様々なアプローチで幅広い演劇作品を創造し、演劇界に衝撃を与える演出家です。今回はどんな世界を立ち上げるのか、どんな体験ができるのか…恐ろしいような楽しみなような気分でいます。

南沢奈央 コメント

メディアというと凄惨な復讐劇というイメージが強くありますが、この『メディア/イアソン』ではそれだけではなく、イアソンとの恋や冒険など、様々なエピソードが盛り込まれるとのことなので、現代を生きる私たちも共感できるメディア像を築けるのではないかと思っています。一方で、これまでに演じたことのないような感情も映し出す役柄なので、自分でも知らない自分が出てくるのではと少し怖さも感じつつ、大きな挑戦への期待でいっぱいです。森新太郎さんの演出作へは二度目の出演となります。誰よりも早く稽古場にいらしてプランを練り、誰よりも高い演劇への熱量をお持ちの森さんの演出にお応えし、さらには期待を超えていきたいと意気込んでいます。イアソン役の井上芳雄さんとは一番濃密に対峙することになると思うので、遠慮せずぶつかっていきたいです。森さんを筆頭に、俳優としての実力が高く、舞台経験も豊富な共演者の皆さんと、魂を込めて作品を作っていけたらと思います。

三浦宏規 コメント

舞台人として、いつの日か挑みたいと思っていたギリシャ悲劇の世界。それが今回、メディアとイアソンというその世界を代表するような傑作で、それも森新太郎さんの演出で叶うことになり、今ものすごくしびれています。壮大なギリシャ悲劇の世界をわずか5人の出演者でどう演じていくのか。僕自身も複数の役を演じる予定とお聞きし、今までに経験したことのない、予測不能な舞台になりそうです。「何でもやります!」という意気込みで、恐れず、森さんと共演者の皆様と一緒の船に乗り込み、世界へ飛び出していくような気持ちです。初めてづくしで、一体どうなるんだろう?と思いつつも、これまでにやってきたことを信じて、森さんと、井上さん、南沢さんをはじめとする共演者の皆様から様々なことを吸収し、俳優としての幅を広げていけたらと思っています。

水野貴以 コメント

中学生の時、ギリシャ神話のミュージカルに出演し、以来、様々な物語に触れました。神話の登場人物はどこか破天荒で、リアリティがあまりないイメージです。でもこの『メディア/イアソン』では、人間味のあるキャラクターを打ち出してくださるとのことで、お客様にも感情移入していただける、心打たれるギリシャ悲劇になるのではと、とても楽しみにしています。森さんの演出は、役者や演劇に対する愛と情熱に満ちていて、私自身はメディアとイアソンの子どものほか、様々な役を演じるということもあり、気力、体力、集中力をもって挑む覚悟が必要だと思っています。でも、私はそんな森さんの稽古場が大好きですし、いまだかつてない、新しいギリシャ悲劇をお見せできるよう努めたいと思います。

加茂智里 コメント

演劇を始めた頃からたくさん足を運んできた世田谷パブリックシアター。舞台と客席との一体感や、俳優の肌感を感じられる劇場です。多種多様なキャラクターが登場するギリシャ悲劇を出演者5人で演じるという未知の体験に、不安と期待とが入り混じりながらも、私がこれまで客席で感じてきたような熱量をお伝えできたらと思っています。これまで私が参加させていただいた森さんの稽古場には、かわいらしい小道具がそこかしこに有りました。そんな小道具を扱っていらした姿に、森さんご自身、実はかわいらしい一面をお持ちなのではないかとひそかに思っています。一方で、厳しく緻密でリアルな演出をされる方ですし、どんな舞台になるのか、皆様も楽しみに待っていていただければと思います。

プレリクエスト先着先行受付:
2024年1月11日(木)10:00~1月13日(土) 23:59まで

一般販売:
2024年1月14日(日)10:00~