気鋭の演出家・小川絵梨子が、初の三島由紀夫戯曲に挑む!
“禁断の愛”に墜ちる家族の葛藤を描いた『熱帯樹』、来春シアタートラムに登場。
2019年2~3月世田谷パブリックシアターでは三島由紀夫作、小川絵梨子演出による『熱帯樹』を上演いたします。
この度、林遣都、岡本玲、栗田桃子、鶴見辰吾、中嶋朋子の出演が決定いたしました。
この9月に歴代最年少で新国立劇場演劇芸術監督に就任するなど、いまや日本の演劇界を牽引する演出家の一人・小川絵梨子が初の三島由紀夫戯曲に挑みます。
演出:小川絵梨子
愛憎うずまく五人の家族を演じるのは実力派の俳優陣。
権力者の父親を憎みながら母と妹の異常な愛に翻弄される息子・勇役を演じるのは『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(17年/演出:小川絵梨子)にも出演し、小川からの信頼も厚い林遣都。舞台『子どもの事情』(演出:三谷幸喜)や今秋放送のドラマ『リーガルV』など舞台・映像ともに幅広い出演が続いています。
愛する兄に母を殺させようとする妹・郁子役を演じるのはTVや映画などを中心に活躍し、昨年には劇団た組。『壁蝨』で舞台初主演を務めた岡本玲。
父親の妹で4人の家族と共に暮らす風変わりな叔母・信子役には昨年世田谷パブリックシアター『岸 リトラル』(演出:上村聡史)での熱演も記憶に新しい実力派・栗田桃子。
地位や名誉を手に入れながらも、息子と対立し妻の不貞を疑わぬ父・恵三郎役には年齢と共に魅力を増す鶴見辰吾。9月には世田谷パブリックシアターで上演の『チルドレン』(制作・パルコ、演出:栗山民也)への出演も予定されています。
そして、莫大な財産を狙い息子に夫を殺させることを企む勇の母・律子役には舞台上で唯一無二の存在感を誇る中嶋朋子。栗田と共演した『岸 リトラル』では、鮮烈ながらも慈愛に満ちた演技で好評を博しました。
三島由紀夫ならではの流麗なセリフと、ギリシャ悲劇さながらのドラマチックなストーリー展開を、綿密なセリフ劇の演出に定評のある小川が、この魅力的な五名のキャスト陣といかに立ち上げていくのか?本作に、どうぞご期待ください。
■あらすじ
1959年秋の日の午後から深夜にかけて。資産家の恵三郎は、己の財産を守ることにしか関心がなく、妻・律子を自分の人形のように支配している。律子は夫の前では従順だが、実は莫大な財産を狙い、息子の勇に夫を殺させることを企んでいた。その計画を知った娘の郁子は、愛する兄に母を殺させようとするが……。
いびつな愛に執着する律子と郁子、権力者の父を憎みながら母と妹に翻弄される勇、地位や名誉を手に入れはしたが息子と対立し妻の不貞を疑わぬ恵三郎、そしてそこに同居する恵三郎の妹で風変わりな信子、それぞれの思いが交錯し……。
■小川絵梨子(演出) コメント
以前から、三島由紀夫の戯曲には興味を持ちつつも、なかなか挑戦する機会が無かったので、今回この作品を劇場側からご提案頂いたことが、とても嬉しかったです。
『熱帯樹』の世界観は寓話的でもあり、五人の登場人物たちは誰もが寂しくて孤独なんですが、実は一人一人が物凄く逞しさや力強さに満ち溢れていて、そこがたまらなく面白く思え、この五人からなる家族という単位の小さな集合体に、今とても魅力を感じています。
本作が書かれたのは1960年ですから、既に半世紀以上も前なんですが、たとえ時代設定を現代に移し替えなかったとしても、今を生きる俳優の身体を通して上演することで、作品の世界観をリアルに表現することができるのではないかと考えています。
今回、俳優の皆さんは初めて創作を共にする方が多いのですが、唯一林遣都さんとは昨年の舞台でご一緒していて、私にとって大変信頼のおける俳優さんでもあります。
この戯曲を上演するにあたって、前々からご一緒したいと願っていた俳優の皆さんと、どのように稽古場でチャレンジを続けていけるのか、今からとても楽しみです。(小川絵梨子談)