2022年夏に開幕し、ロングラン上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の「年末ファン大感謝祭2023」が開催され、アルバス・ポッター役の藤田 悠と福山康平、スコーピウス・マルフォイ役の門田宗大と西野 遼が登壇した。MCは、ロン・ウィーズリー役の石垣佑磨。全国から寄せられた5,000通を超える質問に答える「Questionコーナー」や、4寮に分かれた「寮対抗クイズ大会」などで大いに盛り上がるイベントとなった。
石垣のコールで一人ずつ登場し、客席のセンター通路を通って前方ステージへ進んだ4人。客席には大人から子供まで様々な人々が集っていて、ローブ姿のファンも多く、うちわやメッセージポップを手にしたファンの姿も。待ち兼ねたファンが拍手と熱い視線で4人を出迎えた。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を愛するファンの熱気に包まれて、高揚した様子が伝わってくる。4人の挨拶を経て「Questionコーナー」へ。石垣が質問箱の中から引いて、4人に質問して行った。
<楽屋で流行っていること>
足つぼシートについてトーク。大貫勇輔が勧めたのがきっかけで、内田朝陽が購入し、楽屋に常設。これが「皆さんの想像しているものとは違う痛さ」と口を揃える。その他、2年目チームの稽古中に藤木直人が持ち込んだルービックキューブを各々が攻略した話や、パイナップル、ウイスキーテイスティングの話を紹介した。
<一番好きなシーン、セリフ>
門田はアルバスが帰ってきてハリーに怒られる親子の場面を「スタンバイしながら声だけ聞いている」と、西野は「図書室の場面を大切に演じている」と明かした。福山はラストシーンで門田と西野の違いについても言及。藤田は同じくラストシーンについて、「今日やったことが跳ね返ってくる」とまとめた。
<パパのキャストによる違い>
スコーピウス・マルフォイの父、ドラコ・マルフォイについて、門田は、宮尾俊太郎、松田慎也、内田朝陽、3人と共演したが、3パターンのドラコとのこと。教会のシーンで父と目線を交わすところでは、「それぞれ見応えのある違うリアクションをしてくださる」という。ただし、宮尾とはハプニングが起きて、「お互いに笑ってしまうから、それから顔を見れなくなってしまった」と意外なエピソード。西野は、松田、内田と共演、「お二人とも愛してくれていることをひしひしと感じて愛おしい。朝陽さんはチャーミングで、慎也さんは厳格な感じ」と語った。一方、アルバス・ポッターの父、ハリー・ポッターについて、1年目から演じている藤田と福山は、パパについて語りきれない程の違いを感じているようだ。福山は「5人いますからね、どう違うかを話したら何日かかるか。それぞれ好きなシーンがあります。(藤原)竜也さんの熱量と喧嘩できるシーン、(石丸)幹二さんと藤木(直人)さんとのラストシーンは温かい気持ちになるし、(向井)理さんは水から上がったシーンが好きだな」と想いを馳せた。藤田はその中で藤木について語り、「藤木さんの家庭が見えてくるといいますか、自身の子供のひとりの気持ちになって、ちゃんと叱られている感じを受けます」と愛を感じているようだった。
<ロングランの思い出深いエピソード>
キャストの卒業があるのがロングラン公演ならではの体験で、藤田は「卒業が辛いですね。一人ひとりの芝居のこだわりなど、もう二度と見られないのかってなると。(思い出して)泣いちゃいそうになります」と特別な日を振り返った。福山、門田、西野は、舞台上で失敗したことが強く記憶に残っているそうだ。その中で、門田の失敗には全員が驚いた様子だった。美山加恋がデルフィー役でデビューした日のこと、ふくろう小屋でデルフィーと再会する場面で杖を落としてしまい、その時に美山が鬼のような顔だったと笑う。その後、杖を拾ってお尻の下に入れてくれるという美山のファインプレーに感謝しきりだった。
<お互いの第一印象と今の印象>
常に仲の良さが伝わってくる4人だが、それぞれに向けて印象深いエピソードや思いを語った。オーディションから一緒だったという藤田と福山。福山は緊張していて前しか見えていない様子だったそう。藤田は「今は赤ちゃんぽくて可愛い。ギャップがあります」と笑った。福山はオーディションのことを覚えていないと謝り、「今は頼りっぱなしで、何かあっても大丈夫、心強い」と全幅の信頼を寄せると、藤田は「お互い様」とねぎらいあった。門田は西野の姉と共演経験があり、西野は今回の出演が決まって、真っ先に門田に連絡したという。3人で食事をしたそうだが、門田は「顔面が綺麗で勘弁してくれ」と苦笑。西野は「支えてくださっているいい方」と慕っていた。
そして、「クイズコーナー」へ。藤田のグリフィンドール、福山のスリザリン、門田のハッフルパフ、西野のレイブンクロー、4つの寮のチームに分かれたチーム対抗戦。<演出><劇場><キャスト>の3つのジャンルで、それぞれ10点、20点、30点、40点と4つのレベルの問題があり、順に問題を選んで回答し、合計得点を競う。自分のチームの観客1名に答えを相談することができる会場オーディエンスチャンスを1回ずつ持っている。さらに、配信も4つの寮に分かれて視聴しているのが特徴で、配信コメントで答えを相談することができる配信コメントチャンスが2回。会場組、配信組、どちらもクイズに参加できるシステムになっているのが嬉しい企画だ。
Q:東京の上演は世界で何番目?
Q:劇場1階ロビー壁面に描かれているパトローナス。向かって一番右端の動物は?
Q:ロンドン公演、ブロードウェイ公演のオリジナルキャストとして最初にハリー・ポッターを演じた俳優の名前は?
などの質問で配信組のコメントが活躍。難問も続出してチャンスが大いに活きる結果となった。
最後の問題は、
Q:劇場限定メニューのドリンクメニューの名前は?
全員が会場オーディエンスチャンスを使用して、観客に助けを求める中、門田が「知ってる!」と声をあげた。クイズに出そうなところをチェックして事前準備をしてきたらしい。4者4様にオーディエンスとコミュニケーションを取り回答を導き出した。
最終結果は、門田率いるハッフルパフチームが優勝。チーム全員にキャスト4人のサイン入りカードが贈られた。いい問題だったとみんなで健闘を称えあった。
最後に観客の皆さんと一緒に記念撮影を行った。ここでサプライズの映像が流れ、2023年12月いっぱいで卒業を迎えた藤木からメッセージが届いた。愛情溢れる言葉の数々を、嬉しそうに聞く5人の姿からも、強い絆で結ばれたカンパニーであることが伝わってくる場面だった。そして、お年玉チケット発売、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を紹介するYouTubeチャンネル、HP STAGE【舞台ハリポタガイド】開設のお知らせがあり、最後の挨拶となった。
藤田は「勝ちたかったですが、4位という結果で本当に申し訳ないです。楽しんで頂けていたら嬉しいです。最後まで応援よろしくお願いします!」、福山は「こんなに近い距離でファンの方々と一緒の機会はなかなかないので嬉しい。幸せだなと思いました。まだまだ続きますので、ぜひ遊びに来てください!」、門田は「ファンの皆様を心から愛しています。皆様からいただいてるお言葉が僕の家宝です。いつでも会いに来てください。皆さんの力があって僕らがあります」、西野は「本当にたくさんの方に支えられ愛されている作品だと強く実感しました。今後とも愛してください」と心を込めて挨拶。それぞれからイベントの感動が伝わったきた。最後に石垣が「僕は4人よりもちょっと大人ですが、彼らと出会ってお芝居することが本当に毎日楽しくて、心の底から尊敬しています。2024年も僕らは頑張ってTBS赤坂ACTシアターで公演していきますので、より楽しんでいきたいと思います。また足を運びに来てください!」と締め括った。
5人の退場後にエンディングムービーが流され、オフショットが映し出されると歓声が上がった。また、座席番号には寮旗デザインのステッカーが添えられていて、嬉しいお土産に。楽しいイベントは最後まで観客ファースト。会場出口で5人が並んで皆さんを見送り、閉会となった。
取材・文:岩村美佳