この度、2024年8月~9月に東京芸術劇場シアターイーストと大阪ABCホールにて、イキウメ「奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話」の上演が決定しました。
古びた旅館を舞台に、ある事件を追ってきた男たちと、そこで出会った人々によってかわるがわる語られていく奇怪な物語。小泉八雲原作のオムニバス(2009年世田谷パブリックシアター初演)を、劇団でリメイクします。原作は小泉八雲『怪談』から、常識 / 破られた約束 / 茶碗の中 / お貞の話 / 宿世の恋 ほか。
前川知大コメント
怪談が私たちを惹きつけるのは、何故だろう。
怪談は不思議なことが起こるものだ。
私たちの日常では起こり得ないできごと。日常という枠組みを超えるできごと。
私たちはこの枠組みを少し、窮屈に感じている。
それを壊してくれるのが楽しいのだろう。
現実をぶち壊せ、見えるものがすべてじゃない。怪談はアナーキーだ。
そして私たちは心のどこかで、本当に日常の枠組みを超えた何かが存在することを信じている。
怪談はその真実にも触れてくれる。
ここではないどこかや、なにか大きな存在を感じさせる。
怪談は怖いだけでなく、畏怖を呼び起こす。そしてその畏怖は、どこか安心をもたらす。
ここではないどこかがある、そう信じることができる。日常を、苦しみの中にいる人にとっては避難所となるのだ。怪談は優しい。
日常が揺らぎ、傾いている今、八雲の怪談は私たちに何を語りかけるだろう。
小泉八雲(こいずみ やくも / ラフカディオ・ハーン/ 1850-1904)
作家、文学者、民俗学者。英語名はパトリック・ラフかディオ・ハーン。ギリシャで生まれ、アイルランドで育つ。19歳で渡米し、ジャーナリストとして活動。カリブ海のマルティニーク島での取材生活を経て、1890年に来日し英語教師となる。1896年に日本国籍を取得して「小泉八雲」と名乗り、日本の基層文化の探求にいそしむ。日本の怪談話を英語でまとめた『怪談』を出版した。生涯で30作の著作を出版する。