未曾有の舞台が今ここに!堤ワールド満載の舞台版『魔界転生』
山田風太郎の人気小説「魔界転生」が、ドラマシリーズ「トリック」や「SPEC」、映画「20世紀少年」など数々の話題作を生み出している堤幸彦による演出の元、上川隆也や溝端淳平、松平健などの豪華キャスト陣を迎え、演劇界の重鎮・マキノノゾミ脚本によって舞台化。ローチケ演劇部では、ただいま博多座にて絶賛上演中の舞台版『魔界転生』の初日前日に行われた囲み取材会を直撃!続いて行われたゲネプロや本公演観劇レポートと共にその様子をお届けします!
<囲み取材会>
『魔界転生』博多座初日を目前にした10月5日。博多座のエントランスホールにて行われた囲み取材会には、演出の堤幸彦と主演の上川隆也をはじめ、溝端淳平、高岡早紀、浅野ゆう子、松平健の役者たちと豪華顔ぶれが(役者陣は役柄の衣裳のまま)登場!彼らが放つ圧倒的なオーラに取材陣にも緊張感が走るなか、演出の堤氏と出演者たちによる挨拶が行われた。
堤「今、考えているあらゆる事や魅力あふれる芝居がこの舞台にギッシリと詰まっています。初日前ですので、今の仕上がりは95%。お客様が入ってようやく完成となりますので、ぜひたくさんの方にお越し頂きたいと思います。よろしくお願いします」
上川「もともと好きな作品でしたので、今回のお話を頂いた時は本当に感激していました。それがこうして、明日が初日というところまでこぎつけました。九州の皆さんをはじめとして、東京・大阪の皆さまにも楽しんで頂けるような舞台を作り上げてお届けしたいと思っております。素晴らしい舞台がお届け出来るかと思うと、僕らも心が躍っております。ぜひ劇場にお越しください。よろしくお願いします」
溝端「堤監督の演出のもと、『今まで誰も挑戦したことがないような舞台になるな』と思いながら、稽古場から精進して参りました。僕自身はフライングがあったり、映像と合わせるお芝居があったり、新しくチャレンジすることが多く、今は疲労感が無いと言ったら嘘になりますが(笑) 、それは『とてもすごいものが出来る!』と感じられるような心地いい疲労感です。未曾有の舞台になることは間違いないと確信していますので、楽しみにしていてください」
高岡「出番がない時はリハーサルを客席で見させてもらったりしたんですが、映像も素晴らしいですし、ビックリしてしまうようなことの連続です。私自身キャストの一人ですが観客の一人として観ても楽しめたので、皆さんもきっと同じように楽しめる舞台になっていると思います。多くの方に観て頂きたいです」
浅野「堤監督のご指導のもと、明日、いよいよ初日となりました。そしてたくさんの方とお目にかかれることを楽しみにしております。皆さんに喜んで頂ける素晴らしい舞台になっていると思いますので、ぜひ劇場にお越し下さい!」
松平「今回、私は最年長になるのですが、若い人たちのエネルギーに満ち溢れた演技や立ち回りも含め、今までに見た事のない舞台になるなと感じています。劇場でお待ちしております」
― 新しい舞台への期待が高まっている中、今回、博多座の舞台に立つのが初めてだという上川、溝端、高岡。実際に稽古で舞台上に立ってみた感想は?
上川「舞台空間も含めて余裕のある造りが僕らにとっても有り難いです。何が出来るのか?と制限のようなものを感じることもなく、お芝居に専念出来ることが素晴らしくて。お客様との距離が近く感じられる巧みな設計が施された素晴らしい劇場ですね」
溝端「非常に贅沢な、素晴らしい造りの劇場でお芝居ができることは光栄です。とても大きな劇場なので、もちろん!毎日満員だったらいいなぁと(笑)。映像の最新技術を使った新感覚の舞台を体感してほしいですね」
高岡「上川さんがおっしゃっていたように、非常に客席とも近く感じられる素敵な劇場だという印象です。あとは、今も美味しそうなにおいがしてきていますが(笑)、劇場の周りに美味しそうなご飯屋さんがたくさんあるみたいで、そこもとても楽しみです」
― 最後に、九州から開幕することに対して、堤氏はどう感じているのか?
堤「潜伏キリシタン関連遺産が世界遺産に登録された年に、島原の乱をテーマにする舞台を上演出来て非常に喜ばしいですし、(何かに)呼ばれて来たのかな?という気がしています。九州からスタートするなんてなかなかないプロジェクトです。私の両親が大分出身だったり、親戚・友人も九州におりますので、堤家にとってもそれは誇らしいことです(笑)。二十一世紀の新しい時代劇を作れたということは、いろんな意味で光栄かつ緊張もしております」
こうして囲み取材も終了し、いよいよゲネプロ(公開稽古)に潜入したローチケ演劇部。続いては、1幕のゲネプロと観劇レポートをお届けする。
<ゲネプロ(1幕)&観劇レポート>
囲み取材後、劇場の中に入ると、舞台上には映像も照明も当てられていないセットが目の前に。中央の丘の上に怪しくも立てかけられた十字架と、その周りにも十字架を施した旗がいくつもあり、会場内には賛美歌のような音楽が流れている。その音楽を耳にしているだけで、目をつぶればこれから始まる血生臭い死闘とは無縁の、静寂で荘厳な気持ちで満たされていくなか、教会の鐘の音とともにゲネプロ1幕が始まった。
島原の乱で滅ぼされたキリシタン一揆の指導者・天草四郎が、死者再生の術“魔界転生”によって甦り、歴史に名を残す猛者たちも次々に転生。“魔界衆”として現世の怨念を晴らさんと幕府滅亡を謀るなか、幕府の命を受けてそれらを阻止せんと立ち向かう幕府軍の柳生十兵衛たち。そんな彼らの闘いを描いた本作の冒頭は、今までの荘厳さからどこか怪しい空間へと一転した。
中央のらせん状になった高台のようなセットの側面や舞台の両サイドまで、セットにはプロジェクションマッピングが展開。場面が変わるごとにその映像も様変わり。また、舞台後方には風景などの映像も映し出され、舞台上全体が映像世界となったかのように、映像と役者たちが一体となっていく。他にも、物語の展開が分かりやすくなる、中村梅雀によるナレーションもあり、舞台のはずがどこか映画やドラマを見ているかのような錯覚に陥る瞬間も。
また、堤幸彦演出による数々のドラマを見てきたファンにはスグに感じ取れるであろう、堤氏による巧みな演出は舞台でもふんだんに!これまで映像世界で堤幸彦が見せてきた独特のカット割りとそのテンポの良さ。そして、堤作品には必ずといって登場するユニークなキャラたち。彼らが見せる堤作品らしいライトな下ネタから、思わずニヤリと笑みを浮かべてしまうギャグの数々など、“堤ワールド”も待ってましたと言わんばかりに散りばめられていた。
そして、囲み取材でも話が出ていた、天草四郎演じる溝端淳平によるフライング、投影された映像に合わせた演技、プロジェクションマッピング・・・。様々な演出が次から次に登場し、新たな演劇の世界観は会場全体に広がっていく。
2幕にいたっては、登場人物たちそれぞれのドラマが強く描かれ、ギャグでニヤリとしたかと思えばホロっと涙を誘う場面がエンディングに向かって間髪要れずに続いていった。
『魔界転生』=怪しく怖そうなイメージを強く持ち、あの堤演出が映像ではない世界でどう見せるのか気になりつつゲネプロに潜入したローチケ演劇部だったが、そこには堤幸彦演出の世界観が見事に映像から飛び出し、取材会のときに皆が語っていた『見たことのない、未曾有の世界』が本当に存在しているのを体感した。ここまでレポートを書いておきながら、『3D映画は映画館で!』と言ってしまうのと同じように、この世界観は直接劇場で見て・体感して!と言ってしまおう。観劇する席によっても見え方がガラッと変わるので、役者たちの迫真の演技を間近で見たい人は1階、プロジェクションマッピングなど全体を見たい人は1階後方や2階席などがオススメだ。また、最後にもう1つ!見逃せないことが今回の公演にはある。今作ではなんと!休憩中にも堤氏による演出が貪欲に続く。今までの博多座では見たことのない幕間が展開するので、こちらもお楽しみに!!
博多座での公演は、今月28日まで。続いて11月は東京、12月には大阪での公演が控える舞台版『魔界転生』。とにかく劇場で見てこそ!の醍醐味がたくさん詰まった舞台。各公演のチケットはローソンチケットでも発売中!未曾有の舞台に足を踏み入れてみては?