ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』《花》 いのうえひでのり&小栗旬 インタビュー

新生『髑髏城の七人』が豊洲に誕生する新劇場で
新たな演劇体験を作り出す!

 

国内演劇シーンにとっても、また劇団☆新感線ファンにとっても、これほどの大ニュースは珍しいのではないか――。2017年3月、東京都豊洲埠頭地区にまったく新しい劇場が誕生する。「IHIステージアラウンド東京」と名付けられたその劇場は、中央に設置された円形の客席が360度回転し、その周囲をステージとスクリーンが取り囲むという、劇場機構そのものが極めて特殊なのだ。

この劇場のこけら落とし公演に選ばれたのが、劇団☆新感線の代表作『髑髏城の七人』。しかも「花・鳥・風・月」という4 シーズンに渡り1年以上のロングラン公演を行うという。そのトップバッターを飾る〈Season花〉で、2011年版『髑髏城〜』に続き主要人物である捨之介(すてのすけ)を演じる小栗旬と、劇団主宰であり演出家のいのうえひでのりの両名に話を訊いた。

いのうえ 映画のオープンセット並みのデカい画がドーンと作れるはずなので、そういうスペクタクル性にすごく期待しています。客席が回ることももちろんだけど、広大な画が作れることが、僕的には一番燃えるかな。

小栗 色々な可能性を秘めた、本当に凄い劇場だと思います。今回はある種常設小屋のような環境になるので、かなりハイクオリティな舞台セットが作れると思う。そういう場所に立てるということ自体、非常に嬉しいし、かつ有り難いです。

 

〈いのうえ歌舞伎〉と言えば、ケレン味に溢れた時代活劇として多くのファンを魅了する人気シリーズ。四方をステージに囲まれた劇場で、ライブ・エンタテインメントならではの“生の迫力”にも注目したい。

小栗 これだけダイナミックな劇場なので、ここじゃなきゃできない……。

いのうえ アクションシーンをね。

小栗 そう。ぜひやりたい。(ステージ)一面であれだけのことができる新感線が、今度は360度、全面ですからね。どんなことになるんだろう? こちらも体力をつけとかないと。

いのうえ 今回はほんと、王道中の王道のエンタテインメント作品になると思う。お客さんがチャンバラ映画の中に迷い込んだような、そういうシーンを作りたい。

小栗 清野(菜名)さんは身体が効く人なので、彼女が演じる沙霧(さぎり)と一緒に戦えるシーンがあったら面白いと思っています。

いのうえ 沙霧はねー、もちろん入れてるよ。動ける沙霧、アクション女優が演じる沙霧というのは今回が初めてなので。あと、(山本)耕史くんもチャンバラが上手いし……、とにかく色々考えています。

小栗 うわー、楽しみだなー。

いのうえ わはははは(笑)。

 

この『髑髏城〜』で、小栗は二度目の新感線作品主演、二度目の捨之介を演じる。前作があるからこそ、寄せられる期待は大きい。

小栗 前回初めて新感線へ参加した時は、自分がイメージする理想像になかなか辿り着けなかった。でも今回は、その続きから入れる気がするので、自分の中でも深化させられる予感があります。それと、2011年当時と比べれば今の方が圧倒的に身体が動くので、今だからこそできることが少しは増えたんじゃないかな。そう意味で、自分自身にも期待をしたいです。

いのうえ ワカドクロ以降の捨之介というのは、スーパーマンというよりも葛藤しながら成長していくヒーローになっていて、それは旬が作りあげてきたヒーロー像だと思う。そっちに向かっていくのはほぼ間違いないと思うし、今回はさらに新しい捨之介が見えてくるんじゃないかな。耕史くん、成河くん、りょうさん、みんなとの絡みの中から生まれてくる、新しい捨之介像が。

小栗 捨之介は格好いい役なんです。前回もそうでしたけど、あんな格好いいことを堂々とやらせてもらえる場所なんて、まず他にないですから。それを来年、しかも、誰も見たことがない新しい劇場で、一番最初にできるというのは、本当に楽しみでしかありません。

 

まったく新しい演劇体験に、作り手が、観客が、純粋な好奇心を滾らせる。2017年3月、『髑髏城の七人』は、またひとつ、大きな階段を上る。

 

インタビュー・文/園田喬し
Photo /村上宗一郎
構成/月刊ローチケHMV編集部 10月15日号より転載

 

【プロフィール】

■いのうえひでのり
イノウエ ヒデノリ 1960年1月24日生まれ。福岡県出身。演出家、劇団☆新感線主宰。1980年に劇団☆新感線を旗揚げ。『熱海殺人事件』(2015-2016)の演出において第50回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。

■小栗旬
オグリ シュン 1982年12月26日生まれ。東京都出身。数々のドラマ、映画、舞台の話題作に出演する人気俳優。近年の主な主演作に映画『ミュージアム』(2016年11月12日公開)、『銀魂』(2017年公開)等がある。