Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019『唐版 風の又三郎』 窪田正孝 インタビュー

浪漫あふれる唐十郎の傑作戯曲に窪田正孝が再び挑む!

 

人気と実力を兼ね備え、作品ごとに際立った個性を発揮し続けている窪田正孝が、6年ぶりに舞台に立つ。演目はアングラ演劇の重鎮・唐十郎の傑作『唐版 風の又三郎』。新宿梁山泊の金守珍が演出を手がける、幻想的な恋愛劇だ。

窪田「前回の舞台『唐版 滝の白糸』で、蜷川幸雄さんの演出を受けることができ、平幹二朗さんと共演をさせていただけたことは、今から思うとすごい方とご一緒させていただいたんだなと改めて思います。こちらの勝手な想いですが、今回この作品に出ることで何かが届けばいいなという気持ちは前回以上に強く持っています」と、力強く語る窪田。

 

唐作品独特の言葉遣いやリズムのセリフを、再び彼が口にすると想像するだけでワクワクする。

窪田「前回、セリフを言うたびにどんどん快感になっていった記憶があります。唐さんの書かれるセリフは噛めば噛むほど、言えば言うほど美味しくなるんですよね。今回も言霊が口から勝手に出てくるような、本能に溺れるような、酔いしれるような感覚でできたら一番いいなと思っています」

台本を読んだ感想は? と聞くと「全然わかりませんでした(笑)」とお茶目にはぐらかしたかと思えば、すぐさま「スミマセン、冗談です」と言い直し、「今回、僕は“織部”という役で“又三郎”役ではないというのも面白いですよね。この台本は、何十年も前(初演は’74年)に書かれていたわけで、そのことを考えると素直にすごいなあ!と思います。自分のことは想像できないので、この役を柚希礼音さんがやられるんだ、どうなるんだろう?とか、これをシアターコクーンでやるのか、どんな舞台装置になるのかな?とか、いろいろ想像しているところです」と、真剣な表情で意気込みを語った。さらに「子供の感覚、赤ちゃんのような無垢の心で、作品に向き合っていきたいとも思っています」と続けた。

窪田「こんなに豪華なキャストが集まって、久しぶりに上演させていただく『風の又三郎』ですから、アングラに馴染みのない若い方はまるで知らない世界に飛び込む気持ちになるかもしれないし、年齢の離れた人生の先輩方はどこか懐かしい気持ちになるかもしれません。この機会にぜひ、多くの方に『唐版』に触れていただきたいですね」

 

インタビュー・文/田中里津子
Photo/篠塚ようこ

 

※構成/月刊ローチケ編集部 11月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります

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【プロフィール】
窪田正孝
■クボタ マサタカ ’88年生まれ。確かな演技力と存在感で数多くの作品に出演。19年には主演映画「東京喰種 トーキョーグール2(仮)」が公開予定。