【後編】劇団4ドル50セント第2回本公演『ピエロになりたい』岡田帆乃佳、長谷川晴奈、奈波慎剛、蕪祐典 インタビュー

左から奈波慎剛、蕪祐典、長谷川晴奈、岡田帆乃佳

 

11月に第2回本公演「ピエロになりたい」を上演する、秋元 康プロデュースの劇団4ドル50セント。脚本・演出を劇団鹿殺しの丸尾丸一郎が手掛け、世界中から若い男女が集まってきているというピエロの養成学校を舞台に物語を紡いでいく。メインキャスト9人の中から、今回は岡田帆乃佳、長谷川晴奈、奈波慎剛、蕪祐典の4人に公演への意気込みなどを聞いた。後編では稽古の様子や役作りなどについて聞いていく。(≫前編はこちら

 

――稽古も進んでいるところだと思いますが、雰囲気はいかがですか?

岡田「今はダンスとか体幹トレーニングの体づくりがメインですね。これまでは素人であることを謳ってきましたけど、今回はプロフェッショナルなところを見せたい。遅いかもしれないけど、基礎をしっかりとやって、本物をお見せしたいんです」

「みんなでダンスとかをやっているときに“集中!”って声をかけてくれるメンバーが居て…」

長谷川「そう!その名も集中おじさん!(笑)。ざわざわ…ってしているときに“集中!”って」

「言わせたいがために、ちょっとザワついてみたりね(笑)。でもそれで気持ちが切り替わるんです」

長谷川「まだ稽古も序盤なので、みんなで助け合ってやっていますね。後々、ちょっとピリピリしてくると思うんですけど(笑)」

――役どころもそれぞれある程度決まっているんですよね

岡田「私はピエロの学校の先生役です。だから、役作りのために先生の映画とかちょっと見てみようかなと思っています。イメージは体育の先生みたいな熱い感じなんですけど、まだまだ役作りはこれからですね」

長谷川「私はずっと笑っているけど、本心は隠している役。だから常に稽古ではニコニコしていよう、と気を付けています。疲れていても、笑うように意識していたら楽な気持ちになってきて、いいな、と思ってきています(笑)。メインキャストだし、この役を自分のものに絶対したいんです」

「人間って、笑っているとストレスが解消されるんですよ。反対に、困った顔をしているとストレスがたまるんです。で、僕の役が常に困った顔をしている役で…。稽古の後半、いろいろと詰め込まなきゃいけないときに、困った顔でストレスを乗り切れるのかが心配です(笑)」

長谷川「えっ、本当にそうなんだ!」

「そうなんだって。そうじゃなくても、今回の役どころは難しくて。表情が固定されているし、あんまり困った顔とかしたことないからね」

奈波「僕は自分のことがよくわからない役なんですけど…。孤児院とかで育っていて、僕は自分の素性とかもわかっているんで、そのあたりを理解するのに、そういう内容の映画とかを観てみようかと思っています。普通に面白そうですし。サスペンスとかホラー系の映画が好きなんです(笑)」

「それで『グッドウィルハンティング/旅立ち』を勧めたんですよ。孤児の不良青年と心理学者の交流の話なので」

――確かにぴったりそうですね。役作りのほかにも、ピエロの話ということでジャグリングなどもトレーニングしているそうですが…

岡田「ジャグリングとかも練習してるんですけど、先生役なのにぜんぜんうまくできなくて…。ワースト3に入っちゃうくらい(笑)」

長谷川「私はカスケードっていうボールをポンポン手で回すやつを練習しているんですけど、本当にできなくて。やっと標準レベルになれたくらいです…こっちの(女子)チームはダメダメです」

岡田「続いても、足がなんか変な動きをしちゃって移動するんですよ(笑)」

長谷川「集中しているとなぜか左足だけ動いて、DA PUMPさんの『U.S.A.』ダンスみたいになっちゃう(笑)」

「ジャグリングは、やった分だけできるようになるよ、ってジャグリングの先生にも言われたんですけど、本当に実際そうなんですよ。もともと、体を動かすのも好きなので、僕はけっこうやれているほうです」

奈波「僕も最初は全然だったんですけど、やればやるほど出来てくるので、楽しくなっていって。今はいろんな技とかをやってみたい!ってなっています。出来を発表する場があるんですけど、そこで技を出来るようになっていたくて。それが楽しみですね」

「あの緊張感がいいよね」

奈波「役が入ってくるとまた練習の時間も無くなってくると思うので、今のうちにしっかり練習しておきたいですね」

 

――今回の本公演において、個人的な課題はどんなところでしょうか。

長谷川「歌とダンスは好きだし、少しだけ今までやっていた部分もあるので、ある程度早く吸収できるんですけど、お芝居は自信がなくて。経験もゼロだったので。でも今回の役には似たような部分もあるので、入り込めそうだなとも感じています。私は、お芝居のときに大雑把に演じがちで、内側や細かい部分まで表現できていないんです。今回はそこに注意して演じたいですね」

「僕は本番中に自分のスイッチが入っている時と入っていない時があって。入っていないときは自分でどうしていいかわからないんです。でもとにかくやるべきことをやって、本公演のときにはしっかりとスイッチを入れていきたいですね。それが僕の課題です」

奈波「僕は…自分の人間レベルを上げることですね。特にお芝居は、今回の本公演を通して、もっと上に行きたい。歌やダンスについても、スキル面で上に行かなければならないんですけど、それよりもやっぱりお芝居なんです。いろんな舞台、どんな舞台でもやれるように、人間そのもののレベルアップをしなければと思っています」

岡田「私が一番苦手なのは歌。だから歌で届けることができるようにしたいです。あと、私はすぐに“どうぞどうぞ”って人に譲ってしまうところがあるんです。でも、今回もメインキャストに選ばれたし、自信をもって自分が引っ張っていくぞ、という気持ちでいきたいですね。リーダーとしても、そう思います。責任を全うしたいですね」

――最後に公演を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします!

蕪「タイトルが『ピエロになりたい』なので、まだピエロじゃないんですよ。メインキャストそれぞれが、ピエロになりたい理由を背負っていて、その裏側にあるものをお客さんと共有できたらいいな。最後がどういう形になるかはまだわからないけれど、ラストの感動を一緒に味わいたいですね」

奈波「役どころによってバックボーンがそれぞれ違うように、劇団員たちもそれぞれ目的もバラバラで、ひとりひとりが劇団4ドル50セントを目指しているんです。そこを重ね合わせて、お客さんにも楽しんでもらいたいですね」

長谷川「挑戦したことのない技や、ダンス、お芝居以外の新しいことをそれぞれに頑張って極めようとしているところなんです。劇団4ドル50セントが新しく魅せるパフォーマンスを楽しみにしていてください!」

岡田「今回の大きなテーマは“脱素人集団”なので、皆さんにいい意味で『遠い存在になったな』と思っていただけるように。プロフェッショナルで圧巻するようなパフォーマンスをお見せしたいと思います」

 

――楽しみにしています! 本日はありがとうございました

 

インタビュー・文/宮崎新之
写真/村上宗一郎