脚本家・兼島拓也と演出家・河井朗 による新作『刺青/TATTOOER』英国 チャリングクロス劇場で上演決定!<コメントあり>

2024.07.08

Artwork design: Pyjama Media 題字:河井朗

梅田芸術劇場とチャリングクロス劇場が共同で演劇作品を上演する日英プロジェクト。脚本家・兼島拓也と演出家・河井朗(ルサンチカ)が初タッグを組む新作『刺青/TATTOOER』を、チャリングクロス劇場にて上演する事が決定した。日本では、英国公演に先がけ、東京・アトリエ春風舎での上演も決定している。

谷崎潤一郎の処女作に想を得た新作が英国・チャリングクロス劇場で上演決定!
日本の演劇界からオフウエストエンドへの新たな挑戦

原作は、清吉という評判の高い若手刺青師(ほりものし)の物語。
清吉の長年の願いは「美女の肌に己の魂を彫り込む事」であったが、理想の相手に出会えずにいた。ある日、清吉のもとにその理想の女性がやってきて…。

民族のアイデンティティや伝統文化、ファッション、友情や愛情の証、罪人の刻印に至るまで、時代と地域により様々な意味を持つ「刺青」。兼島拓也による書き下ろしで、谷崎潤一郎による原作の魅力はそのままに、さらにオリジナリティ溢れる新たな『刺青』が繰り広げられる。
日本人文学者として世界的に知られる原作者「谷崎潤一郎」と、アニメやゲームと並んで日本大衆芸術として世界中から注目を集める「刺青(タトゥー)」の相乗効果で、日本の演劇文化を英国でプロモーションする注目の作品。

本作の英国公演は今年10月上演予定。新進気鋭の脚本・演出家・加藤拓也氏のオリジナル作品『OneSmall Step』との連続上演となる。日本の若手クリエイターと英国クリエイター、日本在住の俳優と英国在住の俳優がコラボレートする本作を通して、演劇の本場・ロンドンに日本演劇界の新風を吹き込む。梅田芸術劇場がチャリングクロス劇場で舞台作品を上演するのは、ミュージカル『VIOLET』(2019)に続き、これで3作目。兼島拓也と河井朗、2人の若手の素晴らしい才能を英国に紹介する意義深い作品。乞うご期待。

脚本家・兼島拓也(かねしま・たくや) コメント

谷崎が描いた、刺青を彫る人と彫られる人の間の秘匿的で閉じた関係。実はそのなかにあちこち穴が空いていて、不意に外部と繋がってしまう。作品を読み返すうちに、そんな「広がり」が垣間見えたような気がしました。刺青は単なる模様ではなく、皮膚にあいた穴から外部が流し込まれ、同時に内部が皮膚の外に漏れ出してしまう、そんな現象のことをいうのではないか。外部の侵入を許し、あるいは自己が漏れ出てしまう。その脆弱さ故に自他の境界が曖昧になる。そこに刺青の妖艶な魅力があるのではないか。
谷崎の筆に便乗し、強硬な支配/被支配関係とそれが反転する快楽に執着した先には、他者と結びついて溶け合ってしまう契機が見出されるのではないかと思っています。

プロフィール
1989年沖縄県生、在住。2013年に演劇グループ「チョコ泥棒」を結成し、脚本と演出を担当。沖縄の若者言葉を用いた会話劇を得意とし、コメディやミステリを軸としたオリジナル脚本の上演を行う。また、琉球舞踊家との演劇ユニット「玉どろぼう」としての活動も行う。脚本家として2018年、『Folklore(フォークロア)』で、第14回おきなわ文学賞シナリオ・戯曲部門の一席を受賞。その他2作品で同賞の佳作受賞。2021年NHK-FMシアター『ふしぎの国のハイサイ食堂』で、第31回オーディオドラマ奨励賞・入選。2022年、『ライカムで待っとく』で、第30回読売演劇大賞優秀作品賞受賞。同作で第26回鶴屋南北戯曲賞および第67回岸田國士戯曲賞の最終候補となり、2024年神奈川、京都、久留米、那覇にて再演。
今後の予定:11月那覇文化芸術劇場なはーとにて、『花売の縁(仮)』 作・共同演出

演出家・河井朗(かわい・ほがら) コメント

刺青は針で皮膚を傷つけ、そこに色を入れていく行為です。傷も彩られると芸術と呼ばれます。そのひと針ひと針には、様々な思いが込められていることでしょう。決して後戻りできない瞬間の連続を委ねることができるのは信頼できるアーティストと、大切にしたい気持ちがあってこそだと思うのです。日本では秘匿を美徳と考える人がいます。日本でお会いした彫り師の方は、着物の袖からチラッと見える刺青が粋なんだと教えてくれました。それは、誇らしいからこそ自分だけのものにしたいという欲なのだと私は考えています。皆さんがこれまでの人生で獲得した『傷』に、私たちがインクを垂らすことができたらどんな絵が浮かび上がるのでしょうか。あなたの体に宿る芸術はどんな姿なのでしょうか。楽しみにしています。

プロフィール
2013年に自身が舞台芸術を上演するための場としてルサンチカを立ち上げ演出を行う。2019年から3年間に渡り京都府立文化芸術会館と協働し、『PIPE DREAM』(2019年)、『SO LONG GOODBYE』(2020年)、『GOOD WAR』(2021年)を発表。すべて好評を博し度重なる再演を行う。これらの作品ではマッチングアプリで無作為に出会った不特定多数の人々へインタビューを行い、それを書き起こしコラージュしたものをテキストとした。
近年は三好十郎『殺意(ストリップショウ)』、太田省吾『更地』等既成戯曲にも積極的に取り組む。既成戯曲を演出する際には戯曲を「記録」として見つめ直し、実在した誰かの声をどのように観客へ伝えるべきか、を意識している。様々なジャンルの作品制作を行なっているが、作品のテイストに関わらず、「人を人たらしめているものは何か」というテーマと向き合い続けている。
今後の予定:7月アトリエ春風舎にてサミュエル・ベケット作 『エンドゲーム』 演出