シアタートラム・ネクストジェネレーション vol.16-演劇-くによし組『ケレン・ヘラー』ビジュアル、出演者コメント、公演詳細が解禁!

2024.08.02

撮影:阪野貴也

面白いと不謹慎の境目を歩きながらドン底へ落ちていく女性芸人の、
ポップでアフロなお話。

滑稽で、痛く、愛しい主人公の姿を描いたくによし組の代表作がシアタートラム・ネクストジェネレーションに選出され、個性豊かなキャストとともに、新たに上演!

『ケレン・ヘラー』は、くによし組主宰・國吉咲貴(くによしさき)の作・演出により、2018年に初演された。SNSが浸透し、刺激的なコンテンツが増えた社会で、面白いと不謹慎の境目は一体どこなのか、面白さを追求するあまり、禁断の領域に踏み込み、転がり落ちていく様を描く作品だ。解散の危機に陥ったお笑い芸人が、お喋りロボットを相方に起死回生を図るという奇想天外な設定ながら、巧みなストーリー展開と俳優陣の演技が評価され、初演時には佐藤佐吉賞最優秀作品賞に輝いた。

SNS 上での表現の過激さが増していく現代社会のひずみを、コメディタッチで映し出す『ケレン・ヘラー』

國吉は今回の上演にあたり、「主人公を過激な行動に走らせたのは何者か、盲目なのは誰なのかを新たなるテーマに据え、物語を改訂しました。コンテンツの発信者だけではなく、受け取る側の判断や反応により、時に美しいものを醜く、醜いものを美しくも変えてしまう社会や、その中で奔走する主人公の姿を描きたい」と語っている。
社会問題ともなっている SNS 上での過激な表現をテーマにしながらも、懸命に生きる登場人物を、時に滑稽に、時に痛々しさも交えながらポップに、鮮明に映し出すくによし組の代表作が、初演から 6 年を経て、個性豊かなキャストと共に新たに立ち上がる。

演出家・出演者コメント

作・演出:國吉咲貴(くによし組)コメント

ネクストジェネレーションに選んでいただき、誠にありがとうございます。演劇が出来ることが、すごくすごく嬉しいです。
「ケレン・ヘラー」は、2018 年に上演した作品です。その頃は SNS が盛んになり、誰でも創作者になれてしまう中で、目を覆いたくなるような動画が視聴回数を稼ぐ状況に、私自身も、「面白い」とは何かわからなくなっていて、もがきながらこの作品を作ったのを覚えています。
今回、「ケレン・ヘラー」を、今上演する作品として改訂しました。
当時は、周りが見えなくなっていく主人公のアフロ子目線で描いていて、「面白いはどこまで許されるのか」をテーマに、芸人として売れたい欲のせいで堕ちていく女性の物語でした。
改めて今読み直したときに、彼女をこうさせたのは誰だろうかと思い、「盲目なのは誰か」を新しいテーマとして書き直しました。
発信者だけでなく、受け取る側の判断や反応で、綺麗なものを醜くも、醜いものを綺麗なものに変えることも出来てしまう世の中で、「自分の面白い」を探すアフロ子の姿を、ぜひ観に来てほしいです。
面白いものがつくれるように頑張ります。

出演:中井千聖 コメント

こんなに大写しで…アフロで…恐縮です。
初めてのシアタートラム、初めてご一緒する皆さん、どうなるのか予想もつきません。予想もつかない、おもしろいことが起きたらいいなと思います。
くによし組の世界は一筋縄ではいかなそうで、今からどきどきしているのですが、何か新しい景色が見られるように、精一杯背伸びしてみようという心づもりです。
よろしくお願い致します!

『ケレン・ヘラー』あらすじ

女性お笑いコンビ、“ポジティ boo”のアフロ子とケイトは、ヘレン・ケラーを題材にした不謹慎なコントが原因で活動休止に追い込まれ、価値観の違いから解散に!
ひとりぼっちになったアフロ子の前に、突如、神様さんという謎の人物が現れる。
神様さんの助言により、アフロ子はお喋りロボットのサリバンちゃんを購入して相方にすると、新生“ポジティ boo”として一発逆転を試みる!
神様さんの助言に従うほど注目されていくアフロ子だったが、あるとき、自分の目と耳に不調が起きていることに気づき……