ヨーロッパ企画 第43回公演「来てけつかるべき新世界」|上田誠&藤谷理子&板尾創路 インタビュー

笑って泣ける新世界を舞台にしたSFコメディの再演が決定!

2016年の初演時に第61回岸田國士戯曲賞を受賞したヨーロッパ企画の舞台「来てけつかるべき新世界」が全国ツアーで再演される。大阪・新世界を舞台に、シンギュラリティの先を描いたSFコメディだ。

上田 意外とやっていなかった大阪喜劇をずっとやってみたいと思っていまして、そこをベースに、ドローンとおっちゃんが戦うみたいな発想からだんだん広げていったお話です。手応えがあったので“いつか再演を”と思ってましたが、現実のテクノロジーがどんどん追い付いてきているので、抜かれないように早くやっておこうと思いました。

再演には藤谷理子ら初演時のキャストに加え、板尾創路ら新キャストも出演する。

藤谷 私はお客として観ていた側なので、当時は本公演に呼んでもらえる嬉しさが大きくて、ずっと舞い上がってました(笑)。でも今回は劇団員にもなっていますし、当時のようにもてなされる感じではないですから。その心持ちは当時とは変わっていると思います。

板尾 僕ももともとお芝居を見ていて、上田さんとは折々でお会いしてたんですけど、先日の関西演劇祭をきっかけに久しぶりに対談させていただいて。そこで、なんとなくお話もしていたので、オファー自体は驚くこともなく(笑)。ヨーロッパ企画は学生当時からの劇団員がずっとそのまま続いているので、雰囲気が良いですよね。だから、僕としては好感度が高いんです。

板尾は今回、藤谷が演じる串カツ屋の娘・マナツの父を演じる。父役での出演は、板尾が希望したという。

板尾 この役がいいなと思ったのは、奥さんを亡くして引きこもってて、多くは語らないけど抱えているものがいろいろある感じが面白いと思ったから。情けない父と活発な娘とのバランスもいいんですよね。後半にはバカバカしくも切ないシーンもあって、笑っちゃうのに泣けてくる。それって最高じゃないですか。そういう感覚をこの役で届けられるように頑張ります。

藤谷 私は狂言回し的なところがある役なので、しっかり成長しているところを見せたい。でも、当時はおっちゃんたちとの絡みがとにかく楽しかったので、今回も楽しい関係性をお父ちゃんとも、おっちゃんたちとも作っていきたいですね。

最後に上田に8年ぶりの再演の見どころを語ってもらった。

上田 当時はあんなラストになると思ってなかったから(笑)。ああいう謎の感動、笑い泣きできるのって、一番いい状態。この話は、喜劇であり、悲劇であり…ホラーでもあるかも?そんないろんな要素を内包できる、新世界という奇跡のような場所を楽しんでいただきたいです。

インタビュー&文/宮崎新之
撮影/植田真紗美

※構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

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【プロフィール】

上田誠
■ウエダ マコト
劇作家・脚本家・演出家。ヨーロッパ企画の代表にして、すべての本公演の脚本・演出を担当。

藤谷理子
■フジタ二 リコ
’21年、ヨーロッパ企画に入団。外部の舞台やミュージカル、映像作品への出演も多数。

板尾創路
■イタオ イツジ
お笑いコンビ130Rのボケ担当。タレント活動に加え、俳優、映画監督としても活躍する。