Casual Meets Shakespeare『MACBETH SC』│赤澤燈&田口涼 インタビュー

写真左から)赤澤燈、田口涼

「S(シリアス)、C(コメディ)を両方見て完成する」(田口)

W・シェイクスピアのストーリーや台詞回しを活かしつつ、“普段着でシェイクスピア”をコンセプトにしたCasual Meets Shakespeareシリーズ。9月26日(木)~10月6日(日)まで東京・新宿村LIVEで行われる『MACBETH SC』では、鯨井康介を主演のマクベス役に迎え、S(シリアス)とC(コメディ)2バージョンの公演が行われる。マクベスの友人・バンクォー役を務める田口涼&赤澤燈に公演の魅力について話を聞いた。

――おふたりは以前にも共演経験があるんですよね?

ふたり はい。

田口 (赤澤)燈ちゃん主演の舞台に僕が出させて貰ったときに素晴らしさを目の辺りにして、そこから少し仲良くなっていきました。そのあとの『MANKAI STAGE 「A3!」』でも一緒でしたからね。

赤澤 最初は田口君が1個上なんで、年上として接していたんですけど、今となってはもう同級生みたいな感じですね(笑)。

――今回、おふたりが出演される松崎史也さん脚色・演出のCasual Meets Shakespeareシリーズは、“普段着でシェイクスピア”をコンセプトにこれまでにも『夏の夜の夢』や『ロミオとジュリエット』などを上演しています。今回は2016年以来の『MACBETH SC』公演ですね

田口 僕は前回の『MACBETH SC』にも出演させて貰っていて、そのあとに『HAMLET SC』や『OTHELLO SC』にも出演しました。今回もまた一緒にやろうと皆さんに言って貰い嬉しいです。

赤澤 Casual Meets Shakespeareと出会ったのは、2018年に『HAMLET SC』をお客として観に行かせて貰ったときです。そのときは田口君が出るS(シリアス)バージョンだけ観る予定だったんですけど、その公演がめちゃくちゃ面白くて、翌日のC(コメディ)も観に行っちゃいました。

――Casual Meets Shakespeareシリーズは、数あるシェイクスピアを上演する舞台のなかでもS(シリアス)、C(コメディ)という2バージョンを上演するのが新鮮です!

赤澤 それまでシェイクスピアにあまり興味はなかったんですけど、こんな面白いことを(演出の)史也さんはやってるんだと思って、次は出たいと思っていたら『OTHELLO SC』公演に出ることが出来ました。

田口 Casual Meets Shakespeareは、シェイクスピアをあまり知らない人が見ても一回見たらわかるよ、というのがコンセプトのひとつだと思うので、まず見て欲しいですね。2バージョンあるのも、“悲劇と喜劇は紙一重”というのがシェイクスピアの戯曲の魅力なので、S(シリアス)、C(コメディ)を両方見て完成するという思いもあります。もちろんどちらか片方だけでも満足できます。

赤澤 悲劇と喜劇は表裏一体というのはシェイクスピアの一貫しているところで、王道のテーマなんだけど、現代の我々が見ても伝わる物語になっています。舞台はスコットランドでかなり昔の話だし、文化も違うのでどうしても現代ではわからないところが出てくると思いますが、そこは演出の史也さんが、日本の若者たちにも楽しめるように脚色してくれると思うので、安心して見に来てください。

――おふたりが演じるのは、バンクォーというマクベス将軍の友人役です。田口さんがシリアスバージョンで、赤澤さんがコメディバージョンへの出演ですが…

田口 初演のとき僕はマルカムという王様の息子役をやらせていただきました。バンクォーは尊敬している年上の先輩が演じられていたので、僕もその方たちがやられているのを思い出して、みんなに頼られるバンクォーを演じられたらなと思っています。

赤澤 バンクォーはいい奴なんですよね。悪い部分は一個も描かれないので報われて欲しいなと思います。

田口 いい奴だよね。シリアスでやるうえでは演りやすそうだなと思っています。

赤澤 僕はコメディバージョンのバンクォーを演じるので、現時点では先入観は持たずゼロでいきたいなと思っています。原作を頭に入れつつ、頭に残さないことを目標にしていけたらなと。発想を豊かにしないとコメディで演じるのは難しいと思うので。

――お互いのバージョンを意識されたりはしますか?

赤澤 全く知らない方と同じ役を演じるのであれば、逆側の公演のことは考えないでやると思うんですけど、今回は田口君なので、シリアスバージョンの田口君のお芝居を観たうえで何かプラスしてやったら面白いかなとは思っています。まだ稽古がはじまっていないので、わからないですけど。どちらにせよ同じ役だけど、正解が真逆といっても過言じゃないかもしれない。

田口 確かにそうかも。

S(シリアス)とC(コメディ)、どちらから先に観る!?

――S(シリアス)とC(コメディ)、両方気になりますが、どちらから見たほうがいいというおすすめはありますか?

田口 これが演者のなかでも正解がでないんです。

赤澤 本当にそうだよね。

田口 普通は王道のS(シリアス)を見て、それがいかにC(コメディ)になっているかを観るのが醍醐味かなと思っていたんですけど、どうやらそうじゃないという意見も多くて(笑)。コメディのほうがわかりやすいので、そっちからのほうがいいという意見もあるんですよね。視覚的にもそうですし、S(シリアス)では言わないセリフもC(コメディ)ではボケとして説明できたりするので。

赤澤 そう。コメディだといろんなことを突っ込めるし、言えることがあるんだよね。

田口 どちらも良さがあるから、どっちから観るのも正解だと思います。

赤澤 2倍以上、楽しめるのは確かです。しかも、今回はシャッフル公演もありますし。

――S(シリアス)とC(コメディ)だけでも新作公演を同時進行しているようなものなのに、そこにもうひとつシャッフル公演まであるんですか!?

田口 ハハハ。昼と夜で違う公演をするのにさらに出演者をシャッフルした公演もあります。こういうことをやる企画力が凄いですよね。

赤澤 しかも僕だけシャッフルの意味が違うからと聞かされています。何をさせられるんでしょう?(笑)。でも、シェイクスピアって普通、重々しくしっかりやるものだと思うんですけど、Casual Meets Shakespeareシリーズはまずはシェイクスピアを楽しもうよってスタンスがいいですよね。シャッフル公演もお客さんは絶対に楽しいと思います。

――シェイクスピアのイメージが変わりますよね

田口 衣装やメイクも毎回、こだわって素敵なものができあがっているのも見どころです。

赤澤 出演者が多いから衣装は大変だと思うんですよね。ひとりひとりに合った衣装を作ってくださっているので、キャストだけじゃなく、スタッフ全員がこのお芝居の立役者だと思います。

――最後にチケット購入を迷われている方へのメッセージをお願いします

赤澤 再びCasual Meets Shakespeareシリーズに出演できることを嬉しく思っています。このシリーズって可能性が無限大だと思うんです。シェイクスピアの戯曲っていっぱいあるし、今回のようにS(シリアス)、C(コメディ)と分けることもできるし、出演者のバリエーションも変えると雰囲気も全然違う公演になると思います。なので、前回を観てくれた方も、初めて観られる方も、まずは客席に座って欲しいなと思います。

田口 本当にそうですね。長く続けたいと思っていますし、出ている役者も凄く楽しんでいます。個人的には年1くらいでずっとやりたいと思っています。気軽に観られますので是非会場にお越し下さい。

取材・文/高畠正人