紀伊國屋ホール開場60周年記念公演『見知らぬ女の手紙』上演決定!行定 勲・篠原涼子・首藤康之のコメントが到着!

2024.09.06

数々の名作舞台を上演し続ける歴史ある紀伊国屋ホール開場60周年記念公演のラストを飾るドラマティックリーディング舞台『見知らぬ女の手紙』が、年の瀬となる12月25日(水)から12月28日(土)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演決定。

男に届いた見知らぬ女からの手紙。
抑圧された心の奥に潜む女の想いは狂気かそれとも純粋な愛なのか?
行定勲×篠原涼子初顔合わせで作り出す一方的に愛した男への実らぬ愛憎を描き出す。

著名なピアニストである“男”は、世界を股にかけた演奏旅行などで年の半分も自宅にはいない。ある日家に帰ると、見知らぬ差出人からの手紙が届けられていた。それは名も知らぬ女性からのもので、手紙には12歳から今に続く男へのと思慕と、自らのこれまでの人生が連綿と書かれていた……。

過去に俳優の中嶋朋子、バレエダンサーの西島千博の組み合わせで大いに好評を博した衝撃作を、紀伊國屋ホール開場60周年記念公演のラストを飾る作品として、手紙の書き手である“女”に篠原涼子、手紙を受け取った著名なピアニストの“男”役に首藤康之の組み合わせで10年ぶりに 行定勲が演出する。

28にして子を失ったという見知らぬ女の、12歳から続く“男”への一方的な恋慕。その想いの深さと、想われていた側の“男”との落差を、“女”役の篠原涼子の語りと、“男”役の首藤康之の踊りで描き出す。一方にはちょっとした出来事だったはずが、もう一方の人生には大きな影響を与えているというのは現実にも起こりえること。12歳からの想いを手紙に一方的に吐き出す“女”役を、久しぶりの本格舞台となる篠原涼子が読み語りの形式で演じ、想われ人であるピアニストの“男”役を、バレエダンサーとしてのみならず、昨今では舞台、映像で俳優として活躍する首藤康之が舞踏を交えて演じる。

上演決定に伴い行定 勲・篠原涼子・首藤康之の3人からコメントが到着した。

行定 勲 コメント

ドイツ文学の最高峰であるシュテファン・ツヴァイクの短編集『アモク』いう作品の中の一片を原作にしています。
「アモク」とは風土病の一種なのですが、そこからヒントを得て、彼はある種の熱に侵された人物像を生み出しました。古典的な作品で、人間のぶつかり合いから生まれる葛藤や恋情がとても狂おしく描かれた小説であり私が魅了された作品です。死を前に手紙を書いた女と、その手紙を受け取った男。二人を同じ空間の中に存在させ、触れたり、すれ違ったりさせながら、言葉と肉体でそれぞれが、そこに湧き上がる衝動で表現することは、原作にある人間の根源的な感情を追求できると思っています。
ご出演いただく篠原さんと首藤さんは、一度は仕事をしてみたい!と思わせてくれていた方々で、篠原さんは過去に何度もアプローチしたかった作品があったものの実現できず、自分の中では消化不良なところもあって、遂に今回ご一緒出来ることがとても嬉しいです。少女性と大人の色気が共存している方だと思うので、ツヴァイクの作品にとてもあっていると思います。首藤(康之)さんが出演された、『空白に落ちた男』という舞台が僕は大好きで、目や指先の繊細な動きひとつ見逃せない、ただ佇んでいるだけでも絵になる方だと思っていました。日本人離れした存在感があって、一度映像で撮ってみたいと思っていたので、まずは今回、舞台でご一緒出来ることを嬉しく思っています。お二人がこれまでに積み重ねられた表現がぶつかり合って、どんなものが生まれるのか、このお二人とどういう風に具現化されていくのか僕自身楽しみです。
私が長年追及している“究極のラブストーリー”を、生⾝の空気の中で感じていただくべくこの作品を作りたいと思っています。
このお二人でないと成しえない濃密な時間が体験できると思いますので、ぜひとも劇場に足をお運びください。

篠原涼子 コメント

ある女性の生涯を手紙に綴ったという内容の台本を読んだ時に、一人の人物を永遠に愛し続ける魂に共感する部分もありながらも、ただすごいなとビックリしました。愛なのか、それとも恋なのか、狂気なのか・・・それがすごく面白そうな作品だなと感じたのです。芸能のお仕事では表現をしなければならないことがたくさんあるので、日常のいろんな感情であったり思いやりだったりは、ないよりもたくさんあった方がいいと思いますし、年齢を重ねてもピュアな気持ちは大切にとっておいた方がいいのかなと思いました。この台本を読ませていただいた時は、自分に置き換えてそうした日常的な思いやりや人を好きになる気持ちはとても大切なものなんだなと、女性として思いました。
舞台はさほど経験がないのですが、勉強になるのでずいぶん前から挑戦したいと思っていました。映像では他の技術でフォローしてもらえる部分も、舞台では声の出し方も違えば、全体を見られてしまうので、かなりの自信を持たないといけないと思っていました。いろいろな作品を観劇させていただく中では、自分だったらどういう風にやるかな?とか、素晴らしい方々の芝居を観ていくうちに自分もあそこに立ちたいという気持ちが芽生えて、もっと舞台をやっておけばよかった! と思っていたので、このお話をいただいた時には即答で、「やらせてください!」とお答えしていました。
行定(勲)さんの作品を拝見させていただいていたのですが、すごく興味があって、いつかご一緒させていただきたいと思っていて、やっとお話しが来た!と嬉しかったので、がっかりさせないように一生懸命頑張って挑みたいと思います。
久しぶりの舞台で緊張していますが、皆様に納得していただけるような作品にできるよう頑張りますので、どうぞ見守っていただけたらと思います。恋愛物語にはなるのですが、ホラー的な要素もあり、それらをうまく表現できるように皆さまに「観てよかった!」「すごかった!」と思っていただけるように今から練習して参りたいと思います。お楽しみに。

首藤康之 コメント

最初に台本を読んだときは、この女性の情念がひたすら怖い!と思いましたが、読み解いていくうちに、ツヴァイクの言葉の魔法もあり、彼女のひたむきさや切実な思いに美しさを感じていきました。もしも自分が彼女の立場だったら、相手には伝えず、手紙も書かずに、自分の中で消化して、ひたすら一人で苦しむような気がします。ただ、相手に対する思いはとても自然なもので、過剰に描かれてはいますが、愛するがゆえにいろいろ想像してしまい、妄想が膨らんでしまうことは誰しもあることなので、その心情は共感できる部分はあります。
僕の役割は、篠原さんが読むピアニストである“男”宛の手紙を聞きながら、彼女の苦悩や切実な思いを⾝体で表現できればいいなと思っています。あくまでもそれは彼女の感情であって、手紙を受け取った相手である僕=“男”自⾝の感情ではないので、それをどう表現するのか、行定さんや篠原さんと稽古で作っていくのが今から楽しみです。
行定さんとは初めてご一緒するので、よきように調理していただければと思っています。

ストーリー

世界的なピアニストとして著名な男は、演奏旅行で一年の大半は自宅を留守にする。
そんなある日、演奏旅行から自宅に戻ってみると郵便物の束の中に、妙に分厚い、しかし見覚えすらない文字で綴られた手紙が届いていた。その手紙の差出人はまったく知らない女である。28歳だという女は手紙を書く前日に子供を亡くしたと言うが、男には脈絡も分からぬまま、その見知らぬ女の12歳からの自分語りを読み始めるが……。