劇団☆新感線3年ぶりの劇団本公演『偽義経冥界歌』がいよいよ始動!豪華キャスト勢揃いの製作発表記者会見をレポート!!

2018.12.10

2018年は大晦日まで東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京にて『メタルマクベス』disc3をロングラン上演中の劇団☆新感線だが、このたび早くも、次回公演いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌(にせよしつねめいかいにうたう)』の製作発表記者会見が行われた。

今作は劇団の旗揚げ39周年を記念する“サンキュー興行”と銘打つもので、3年ぶりの本公演にあたる。また新感線には既にみたび出演経験がある生田斗真にとっては、いのうえ歌舞伎シリーズに主演するのはこれが初、そして中島かずき脚本の書き下ろしに出るのも初、となれば自然と力が入るもの。
とはいえ、もちろん今回も堅苦しさなど一切ない、新感線ならではの笑いが大いに溢れる、賑やか、華やかな会見となっていた。

 

まずは座付作家の中島かずきが「生田くんとは『スサノオ』(2002年)以来で、ずっと一緒にやりたいねと話していたので大変うれしく思っております。やはり新感線に出ていただくからには、今回も図抜けた明るさを持ったキャラクターをやってもらうつもりです。展開がドラマティックに二転三転する芝居になっていますので、お客様には最後までたっぷり楽しんでいただけることと思います」と力強くコメントすると、演出のいのうえひでのりも「久しぶりに客席が回ることを考えないでいいので、自分としては新鮮です(笑)。内容的には戦いながらいろいろな場面へと怒涛のように展開していく、“これぞ新感線!”なチャンバラ版アベンジャーズみたいなものになります。いのうえ歌舞伎の主演としては初登場の斗真くんには、思いっきり暴れてもらいたいですね」と、いろいろ企んでいる様子でニヤリ。

 

源義経ならぬ“偽義経”となる主人公<源九郎義経(みなもとのくろうよしつね)>役の生田は「『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』(2016年)に出演させていただいていた時、いのうえさんから次は斗真でいのうえ歌舞伎をやりたいと言っていただいたところからこの企画がスタートしました。僕も新感線の方々と一緒に、みなさまにたくさんのサンキューを届けたいなと思っています。いのうえ歌舞伎の一番の魅力は立ち回りだと思いますので、今からトレーニングを始めているところです。そしてタイトルに“歌”という字が入っていますように、歌う場面もありますので楽しみにしていただけたらと思います」と、早くも意気込み充分。

 

奥州・奥華一族の巫女長(みこおさ)である<黄泉津(よもつ)の方>を演じるりょうは『髑髏城の七人』Season花(2017年)に続き二度目の新感線。「またすぐに出たいと思い、もしもチャンスがあればよろしくお願いしますと出演中からアピールをしておりました。こんなに早く実現するなんて、本当にありがたく思っています。殺陣とアクションが満載で役者にとっては体力勝負の作品ですが、体力に関しては『髑髏城~』で証明できたはずなので、今回も最後まで楽しみながら面白い作品を届けられたらと思っています」と、ラブコールが叶って実にうれしそう。

 

これが新感線初参加の中山優馬は、初共演となる生田の義理の弟<奥華次郎泰衡(おうがのじろうやすひら)>役。「今回、こんな素晴らしい皆様とご一緒させていただけることは本当にありがたく、少し緊張もしております。自分には兄はいないので、今回斗真くんの弟を演じられることもとてもうれしく思っています。精一杯楽しみながら、自分の役を全うしたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします」と、目を輝かせながら挨拶。

 

同じく新感線初参加、そして初舞台でもある藤原さくらは大陸渡りの歌うたい<静歌(しずか)>という、ちょっと風変わりな役どころ。「以前から新感線の舞台はお客さんとして観ていたので、ここに自分が立てるなんて幸せです、がんばります! 先に新感線と関わっていた友達の大原櫻子ちゃんや家入レオちゃんの話では、みなさんよくお酒を飲まれるそうなので私も負けじと食らいついていこうと思います」と、ふんわりとした雰囲気を漂わせつつ意外な一面も垣間見せる。

 

続いて劇団員の粟根まことは「日本人なら誰もが知っている武家の棟梁<源頼朝>を自分が演じることになるとはまるで想像していなかったんですが。でも、台本によると“目つきが悪く、性格が悪く、疑り深い”という表現がありましたので、通常営業でいきたいと思っています」と淡々と宣言し、しっかりと会場の笑いをとっていた。

 

新感線にはこれが5度目の参加となる<常陸坊海尊(ひたちぼうかいそん)>役の山内圭哉は「準劇団員扱いだなんて、いやいや畏れ多いです。僕は関西の小劇場出身なので、昔から新感線には本気でむちゃくちゃする人たちというイメージがあって。その劇団からこうして何回も呼んでいただけるなんて、本当にうれしいです」と、飄々と語っていた。

 

『蒼の乱』(2014年)以来の参加となる早乙女友貴は<遮那王牛若(しゃなおううしわか)>、つまり本物の義経役に扮するわけだが「前回は17歳で、すごく緊張して常に身体に力が入った状態だったので、あまり楽しむということが自分の中ではあまりできなかったんです。今回はぜひ楽しみながら、いい意味で力を抜きつつ、最後までがんばりたいと思います」と、至ってクール。

 

また今回は2019年の大阪・金沢・長野公演を橋本じゅんが、2020年の東京・福岡公演を三宅弘城が、ダブルキャストで<武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)>を演じることになっている。橋本は「今回は新感線の王道のような作品なので、大人の悪ふざけをまずは久しぶりの大阪公演から爆発させたい。劇団が39周年を迎えるというのはありがたいというか、奇跡的というか。このご縁を大事に感じながら、楽しんで元気に大暴れしたいと思います」と語れば、これが6回目の新感線となる三宅も「今まではだいたい頭のあまりよろしくないおバカな役が多かったんですが、今回は弁慶という大役を仰せつかることになりました。これは自分にとって新感線における新たな挑戦です。じゅんさんと一緒の役を演じるのはプレッシャーですが、僕なりの弁慶を作っていきたいと思います」とコメント。この個性派同士の競演は、演劇ファンならぜひとも見比べてみたくなるところ。

 

そして奥華一族の当主<奥華秀衡(おうがのひでひら)>役で橋本さとしが『メタルマクベス』disc1に続いて新感線の舞台に再び立つことも、見逃せないポイントのひとつだ。「僕にとってかずきさんの脚本をいのうえさんが演出する舞台に出られるというのは、ある意味本当に帰れた気持ちになれそうな気がします。以前、占いで僕の人生のピークは53歳、54歳だと言われたんですが、まさにそのピークを新感線の舞台で迎えられることになるので、ぜひみなさんにもその姿を見届けていただきたい。間違いなく最高の作品になると思います!」とテンション高く言い切ると、会場からは笑いと共に拍手が巻き起こっていた。

 

カタルシス満載の物語に工夫を凝らしたダイナミックな演出、そこに豪華キャストたちの活躍が加わるとなれば、これこそ眼福もの。日本のエンターテインメント界の、間違いなくトップをひた走る劇団☆新感線の待望の最新作、乞うご期待だ。

 

取材・文/田中里津子

写真/ローソンチケット