錦秋喜劇特別公演『太夫さん』出演者コメント&舞台写真到着!

2024.10.15

左から駿河太郎、藤山直美、田村亮、三林京子

藤山直美と関西にゆかり深い出演者で傑作喜劇『太夫さん』を熱演!

京都・南座で10月3日(木)に「錦秋喜劇特別公演」にてご当地京都を舞台にした喜劇の名作『太夫さん』が開幕した。上方喜劇を最前線で牽引している藤山直美がきみ子(喜美太夫)を演じるのをはじめ、三林京子のおえい、駿河太郎の安吉、田村亮の善助といった、関西にゆかりの深い豪華な顔ぶれの一座となった。

舞台の見どころと初日の様子

『太夫さん』は昭和30(1955)年11月東京明治座における劇団新派公演として北條秀司が書き下ろし、花柳章太郎がおえい役を勤め初演された。戦後演劇における傑作として半世紀にわたり愛され続け、戦後の時代に島原に生きる人々の姿がいきいきと描かれる。

秋雨の中の迎えた初日、男たちの労働歌が流れ、幕が開けるとそこは昭和23(1948)年京都・島原遊廓の老舗妓楼・宝永楼(ほうえいろう)。客に知恵をつけられた太夫たちが待遇改善の要求書を女将・おえい(三林京子)につきつける。居合わせた輪違屋(わちがいや)の善助(田村亮)は笑うが、おえいは怒りが収まらない。そんな折、安吉(駿河太郎)と名乗る男が、妹のきみ子(藤山直美)をつれてやってくる。妹を奉公に出すならば、日本の国の宝ともいえる島原で、という考えに感じ入ったおえいはきみ子を引き取り、安吉に二万円の小切手を渡す。ひとり宝永楼に残ったきみ子だが、なんと安吉は兄ではなく、恋人だという。しかもおなかには子どもがいるとわかり、太夫たちのストライキも相まっておえいは途方に暮れるのであった。

その後冬を迎え、きみ子は出産した我が子を里子へ出し、喜美太夫として宝永楼で芸事の稽古を続けている。どうしても音を外してしまう喜美太夫の歌と、おえいとのかけあいに客席からは笑いがこぼれる。目をかけて稽古をつけるおえいと喜美太夫には、次第に本物の親子のような情がうまれていた。そこへ善助がやってくる。おえいと善助はかつて想い合った者同士。停電してしまった部屋でろうそくの灯りのもと、昔の想い出を語り合う場面は、本作の名場面のひとつだ。

物語はそこからさらに半年後、島原では戦後初めての太夫道中が開かれることになり、宝永楼もせわしなく準備を進めている。そんな中、善助が島原の角屋と宝永楼が国宝に指定されたとの吉報を告げ、ますますにぎわうところへ「喜美太夫を本妻に迎えたい」と、とある社長が現れる。実はこの社長、以前二万円と引き換えに喜美太夫を置いて行方知れずとなっていた安吉の出世姿であった。

きっと迎えに来ると信じ続けていた喜美太夫を待つ運命とは―。驚きと感動の結末に、客席では涙をぬぐう姿も。万雷の拍手と共に、温かい空気につつまれ、公演は幕となった。

出演者コメント

藤山直美
「京都の風情と人の心の温かさをたっぷりとお楽しみいただけたら幸いです。」

三林京子
「ほんまにえぇ芝居です。はんなりとしっとりとしんみりと。この舞台に立てるのは役者冥利に尽きます。」

駿河太郎
「初日を迎え、お客様の笑いもあって、劇場はとても温かったです。(藤山)直美さんの劇場の空気を変える力は本当にすごいなと感じました。喜劇な部分も、人情もあり、日常のいろいろなことを忘れるひとときになるのではではないかと思います。ぜひ口コミを広げていただいて、どんどんお越しいただければ嬉しいです!」

田村亮
「この度、京都の島原を舞台にしたお芝居『太夫さん』で四苦八苦しつつ頑張っています。ぜひ、南座でお待ちしております。」

舞台写真

©松竹