東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京にて上演中の、劇団☆新感線『髑髏城の七人』。間もなく開幕する、“Season花”、“Season鳥”、“Season風”に続く第4弾“Season月”は劇団史上初の試みでもある“ダブルチーム”制だ。同じ脚本、同じ演出で、キャストは“上弦の月”と“下弦の月”の2チームに分かれ、交互に上演されるスタイルとなる。今回、この“上弦の月”チームで<天魔王>役を演じるのは早乙女太一だ。劇団☆新感線の本公演にはこれが5回目の参加となる早乙女に、今回のヴィジュアル撮影が終了した後で、作品への想いなどを聞いてみた。
――また『髑髏城~』を、今度は天魔王役でやってほしいと言われた時にはどう思われたんですか。
早乙女「最初にお話をいただいた時点では自分から「どうせやるならやったことがない天魔王をやってみたい」って言ったんです。そうしたら、なぜか“Season鳥”と“Season月”、まさかふたつも出させていただくことになっていて(笑)。2回もやることになるとは夢にも思わなかったので、ビックリしましたよ。だけど、昔から阿部サダヲさんの大ファンだったものですから。」
――一緒にできるなら、と。
早乙女「そう、しかもこの“花・鳥・風・月”の中で“鳥”はたぶん一番濃いというか、個性的なメンツだったので、そこに入れてもらえたのがすごくうれしかったです。それに対して“Season月”のほうは、かなり新鮮な顔合わせ。まさか僕が、新感線に一番出ている経験者になってしまうとは(笑)。」
――劇団員以外では最も出演回数が多い立場になりますね。
早乙女「そういった意味でも、今回はまた別のチャレンジ感があります。」
――脚本の中島かずきさんから聞いたところによると、これまで描かれていなかった天魔王の新たな見せ場があるということでしたが。
早乙女「ありますね。僕はいのうえさんから最初に聞いたんだったかな。「今まで描いていない場面だから、面白いよ!」ってうれしそうに言っていました。それに今回は沙霧が霧丸という男に変わるということもありますしね、一体どうなるんだろう。なんだか怖いですよ(笑)。」
――“上弦の月”チームの顔ぶれについては、いかがですか。
早乙女「福士蒼汰くんはこれが初舞台、三浦翔平さんも舞台はまだ2回目だといいますからね。今のうちから福士くんには、本当に大変だから覚悟をしておいた方がいいよと言っておきました。」
――福士さんにはどんな印象がありますか。
早乙女「常に爽やかで、どこから見てもかっこいい、イケメンですよ。僕より2歳年下でね。こんなに爽やかな人間がいるんだーと思って、最初にご一緒した時には驚きました。そう考えると、今回の平均年齢は(2011年版の)“ワカドクロ”よりかなり若くなるでしょうね。」
――いのうえさんは“超ワカドクロ”なんておっしゃっていました。
早乙女「それより“赤ちゃん髑髏”かも。立てるか立てないか、みたいな(笑)。今回はそれくらいの挑戦だと思いますよ。」
――観客席が360°回転するということについては、“Season鳥”で実際に舞台に立ってみてどう感じましたか。
早乙女「舞台側は動かないので、演じている時はあまり回っていることは意識していなかったんですけど、でもやっぱり不思議な感覚でした。カーテンコールの時、ぐるーっとお客さんが回ってくるじゃないですか。あの瞬間が最も楽しいっておっしゃる方が多いですが、あれこそこの劇場でしかできないことですよね。 “Season鳥”ではみんなベテランの怪人おじさんたちばかりだったから(笑)、自分でちゃんと見え方がわかっていてすぐに対応できていましたけど、“Season月”のみんなはたぶん右も左もわからない状態で“ぐるぐる劇場”にやってくることになるから、どうしても多少のハプニングはありそうですよね。」
――裏で迷子になるとか?
早乙女「ムダに走ることになっちゃう人とか。もしかしたらそういったところも、見どころのひとつになるのかもしれません(笑)。」
インタビュー・文/田中里津子
Photo /村上宗一郎
【プロフィール】
早乙女太一
■サオトメタイチ
1991年9月24日生まれ。福岡県出身。大衆演劇 劇団“朱雀”の二代目として4歳で初舞台を踏む。2003年に北野武監督の映画『座頭市』に出演したことで“百年に一人の天才女形”としてその名を広く知られることとなった。現在は舞台だけでなく、映像作品にも活躍の場を広げている。最近の主な出演作にドラマ『ふたがしら2』(16、WOWOW)『信長燃ゆ』(16、TX)、『HIGH&LOW』(17、16、15、NTV)、映画『22年目の告白―私が殺人犯です―』『たたら侍』(17)、舞台『世界』(17)、『刀舞鬼』(16)など。