「混頓vol.5」|小栗有以インタビュー

AOI Pro.がプロデュースするコント公演「混頓vol.5」が、11月15日よりTOKYO FMホールにて上演される。「混頓」は新作書き下ろしのコントが2本立てで上演され、vol.5の本作では空気階段・水川かたまりと、「ロロ」を主宰する三浦直之が脚本・演出を務める。この公演で、コント初挑戦を果たすことになったのは、AKB48の小栗有以。彼女は初めてのコントにどのように挑むのか、話を聞いた。

――今回、コントに初挑戦することになりましたが、出演が決まった時はどのような心境でしたか。
実は、ご縁があって以前の公演を拝見させていただいたんです。やっぱりコント舞台ということで、思わず笑っちゃうシーンがすごく多くて、本当に面白くて魅力的な公演だと思っていたので、そんな公演に選んでいただけたことは素直に嬉しかったです。芸人さん俳優さんがも入り混じった珍しい座組なので楽しみです。

――コントには以前から興味があったんですか?
芸人さんと共演する機会が多くて、なんとなく自分も人を笑わせたり面白いことをやってみたいな、と頭にはあった感じです。私、MBSラジオの「アッパレやってまーす!」に出させていただいているんですが、そこで野生爆弾のくっきー!さんやハリウッドザコシショウさん、みなみかわさんとか、芸人さんと共演させていただいているんですね。それで芸人さんのおしゃべりのテクニックというか…いわゆる天丼とか、そういうのがあるんだって自分の中で研究したり勉強したりもしていました。たまに「もっと間があったほうがいいよ」とか言ってくださるので、ラジオは毎回、自然と勉強になっています。学んだことを少しでも意識出せるようにしたいです。

――今、まさに稽古中かと思いますが、ドラマなど他のお芝居とコントは感覚的に違いますか?
そうですね。ドラマや舞台とはやっぱり違います。ドラマや舞台のお芝居は、決まった作品の世界観にしっかり入り込んでお芝居する感じなんですね。でもコントの場合も決められてはいるけど、笑いをとることが大目的なのでその時の感情とか相手からの言葉とかに対して、どう間を作って言葉を発するか、どうコミカルに身体を動かすか、っていうところが似ているようで、結構違うんです。舞台そのものも久しぶりですし、すごく緊張しているんですけど、新しいことに挑戦すること自体は大好きなので、しっかり新しい自分を出していけたらと思っています。

――じゃあ今は新しい挑戦にワクワクしているんですね。
いや、不安もあります(笑)。AKBのステージよりも、何倍も緊張しちゃうかも。ライブでのパフォーマンスとも全然違うので…。アイドルとしても10年活動してきているので、ライブは緊張よりも楽しさの方がだいぶ勝ってるんです。コントはやっぱり新しいことへの挑戦なので、どうしても緊張してしまうし、不安があるのが正直な気持ち。でも、そういうことも乗り越えていって、稽古の中ですごく成長できた自分を毎回実感しているので、そういう姿をたくさんの人に観ていただきたいという想いで挑戦しています。本当にコントは難しいと感じているので、アイドルだということを忘れてやらないといけないですね。

――今回は2本立てで、空気階段の水川かたまりさんとロロの三浦直之さんがそれぞれ脚本と演出を手掛けられます。まずは三浦さんの作品「命がけの早弁」では、どんな役どころなんですか?
高校2年生の戸塚夏という女の子の役なんですけど、すごく場をかき乱して動く役なんですよ。その場その場でのアドリブ的な動きが多いんです。体の動きだけじゃなくて、表情もだいぶ使っていかないといけない役なので、コントでの大事な要素がギュッと詰まっているなって思っています。だからこそ大変で…結構、苦戦しています。夏は普段の私とも全然違う子なので、「小栗有以って、こういう表現もできるんだ!」って思ってもらいたいな。セリフも、私なら絶対に言わないようなことばかりなので…。

――夏は恋する女子高生ですが、演じる際にどのようなことを意識していますか?
すごくこだわりが強い女の子なので、コメディらしく、大げさに演じたいと思っています。夏は、頭も常にフル回転させて、どんどん動いていくタイプ。私は普段、しっかり聞いて頭で考えてから動く方なので、頭がこんがらがっちゃうんです。しっかり鍛えていかないと!って思ってます。

――三浦さんの演出はいかがですか?
すごく分かりやすくて、ずっと言ってらっしゃるのは音楽へのこだわりですね。夏は、ある曲がかかっているうちに先輩に告白しようとしていて、音楽を聴こうとしているときは後ろに下がる、先輩に近づきたいときは前に出る、っていう動きを繰り返すんです。でも、やっているうちにどっちに行かなきゃいけないのかわからなくなってくるんですよね。その部分への三浦さんのこだわりは感じています。あとは、夏はリアクションが大きいので、なるべくオーバーに、って言われていますね。だから…恥じらいを無くしていかないと。表情も、鬼のような顔でグミを嚙んだりするんです。現役アイドルの気持ちとしては、できない~!って思っちゃうんですけど、ステージに立ったらそんな甘えたことは言ってられないですから。

――水川かたまりさんの「注文の多い鮮魚店」ではどんな役どころでしょうか?
これが、ギャルなんですよ。小西絵梨っていう女の子で、口調も優しくなくて、本当に強めで穏やかじゃない。初っ端のひとこと目から、まず怒ってます(笑)。ちょっと嫌な感じの女の子なんですけど、彼氏から電話がかかってきたらちょっと可愛くなるんですよね。そこのギャップは見せられたらいいな。こちらの作品でも、ちょっとしたアドリブが出せるんです。毎公演、来てくださるファンもいてくださるので、毎回を楽しんでもらえるように考えていきたいですね。

――ギャルだけど、泥棒集団の天才ハッカーというキャラクターですが、こちらも頭の回転が早そうな役ですね。
確かにそうですね。ギャルに見えて、実はめちゃくちゃデキる子、っていう役なので、自分とは違いすぎて、本当に勉強になります。私、普段は割と姿勢がいいって褒めていただける方なんですけど、絵梨を演じるときはちょっと姿勢を悪くして、あえて猫背にしています。常にケータイをいじっていて、髪の毛もいじってて…っていうギャルらしさを今、研究しています。

――どちらの役も、今まで見たことの無い小栗さんが見られそうですね。
本当に、アイドルとしての小栗有以というよりも、それぞれの役として見ていただきたいです!

――水川さんの演出で印象的なことはありますか?
テレビで見る水川さんは、芸人さんって言う感じで面白くて魅力的なんですけど、稽古の現場にいらっしゃると、芸人さんというよりは演出家さんっていう雰囲気になるんです。すごく真剣に取り組んでいらっしゃるのが伝わってきています。静かに観ててくださるんですが、メモをたくさん取っていて、めちゃくちゃ手を動かしているんですよね。結構セリフも変わるんですよ。どんどんブラッシュアップされて、良くなっていく感覚です。静かなんですけど、すごく熱量を感じます。まだまだ私は自分のやるべきことで精いっぱいでプライベートな話とかはしたことが無いんですが、稽古場での席が隣なので、もう少し慣れてきたらお話もしてみたいですね。

――他キャストの方の印象はいかがでしょうか。
有野晋哉さんは、すごくベテランの方なのに私たちと同じような目線に立ってくれて、本当にお優しいお父さんみたいな方。劇中にグミが出てくるんですが、有野さんの私物のグミを出してきて「これ、使うてええよー」って言ってくださったこともありました。現場が静かになって、ちょっと緊張しているときに、有野さんが声をだしてくれて、きっと場の雰囲気を明るくしようとしてくださったんだと思うんです。長く活躍されている方って、裏でも素敵なんだな、って実感しました。
原嘉孝さんは、まず本当に役が面白いんです。度の役も全然違う面白さがあって、1人の方がこんなに幅広く演じ分けられるんだ、とすごく勉強になってますし、負けられない、とも思わせてくれる存在です。筋肉がスゴイ、っていう役どころでコントの中ではサラダチキンを食べたりしているんですが、原さん自身もプライベートで筋トレされているとお聞きして、玄米おにぎりを現場にも持ってきているんですよ。それを見て、私も玄米おにぎりを作って来ようと思いました。今日はちょっと…無かったんですけど(笑)

――原さんは、いろいろと刺激される存在なんですね。
そうですね。美容のことは好きで、気を付けてもいるんですけど、食事のそういう方面まで手が追い付いていなかったんですが、原さんがしっかりと取り組んでいらっしゃったので、私ももっと美容のために頑張ろう!って思えました。

――井頭愛海さんはどんな方でしょう?
井頭さんは年齢がひとつ上で、コントの中ではケンカするようなことが多いんですけど、稽古場では本当に優しいお姉さん。初めて共演させていただくんですが、お菓子をシェアしてくださったり、お忙しいと思うんですけど「どう?」って話も聞いてくださったりするんです。グループでずっと活動していると、グループの外で共演してお話できる機会ってすごく貴重で、新しいものを吸収できている気がします。あと、関西弁は迫力がありますね。関西弁での怒り方が、本当にビックリするくらい怖いんですけど、私もそこに嚙みついていかなきゃいけないので、ケンカの力をつけなきゃ!って思ってます。

――稽古場での過ごし方で、こだわっていることや、工夫されていることはありますか?
最近はアサイーボウルにハマっているんですけど、さすがにアサイーボウルを稽古場にはもって来られないので、アサイーボウルのドリンクを持ってきて、ちょこちょこ合間に飲んでいます。あとは、ただただ集中していますね。稽古期間は限られているので、この時間だけは集中!と思って、空き時間も台本と向き合っています。あとは、都度みなさんがお土産などを差し入れてくださるので、それを頂いたりしていますね。先日、有野さんがチョコレートを差し入れてくださって、すごく美味しかったです。普段はあまりお菓子とか食べないようにしているんですけど、こういう現場では糖分を入れて頑張ってます!

――アサイーボウル以外でも、何か最近ハマっていることはありますか?
パワースポットに行くのが好きなんですけど、最近はなかなか行けてなかったんです。でもこの間、沖縄に行ったときに、近くにパワースポットがあると聞いていってきました! いっぱいあって迷ったんですけど、浜比嘉島という島に行きました。自然が豊かで、光が差し込んでくる感じがすごくキレイで、エネルギーとパワーを感じました。そういう自然の場所に行くと、リセットして頑張ろう!って言う気持ちになるんですよね。海も大好きなので、浜比嘉島に行った時も、1人だったんですけど、無心になってずっと海を見ていました。サンセットも見ましたよ。ここで写真を撮りたいと思って、観光で来ていた方に声をかけて撮ってもらいました。写真も好きなんです。漫喫しました! 写真はまた今度、インスタに上げようと思います。

――楽しみです! パワースポットが好きになったきっかけはあるんですか?
きっかけになったのは箱根神社です。まだAKBに加入する前で、オーディションを受けた後に家族で箱根に旅行に行ったんです。それで箱根神社でお参りをした後に食事をしているときに、電話が来て受かったんですよ。箱根神社にお参りしたその日に連絡が来たのでご縁があるなと思って、そこから通うようになりました。パワースポットにいろいろと行くようになったのは、そこがきっかけですね。

――パワースポットで気持ちもリセットして、エネルギーも充填された状態で挑むコント舞台、ファンのみなさんも楽しみにしていると思います! ぜひメッセージをお願いします。
コント舞台ということで、普段の舞台とは全然違う、思わず笑っちゃうようなシーンが本当にたくさんあります。ステージに立っているときは現役アイドルっていうことを忘れて振り切って挑みます! 普段とのギャップ、いつもは見れないような新しい私をぜひ、目に焼き付けていただきたいなって思います。所作とか表情など、細かいところも研究して頑張っているので、ぜひ、笑いにきてください!

取材・文:宮崎新之