スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』に市川猿之助と交互出演!中村隼人★ロングインタビュー

平成3年に梅原猛と市川猿翁が創り上げ、演劇界に新風を巻き起こした伝説のスーパー歌舞伎『オグリ』が、日本を代表するクリエイティブスタッフが集結して、装いも新たに『新版 オグリ』として甦った!昨年10月からの東京・新橋演舞場を皮切りに、2月まで上演を行った博多座に続いて現在、3月から京都・南座での公演を控えている。先月、ローチケ演劇部では、博多座の公演期間中、市川猿之助と交互出演という大役を勤める歌舞伎界の若手注目株の中村隼人にロングインタビューを!作品のことはもちろん、尊敬する先輩・猿之助さんのことまで、たっぷりと語ってもらった。

 

ー先に上演を終えた東京と博多でのお客様の反応は?

東京・新橋演舞場のお客様は、歌舞伎の観劇には慣れ親しんでいる感じの方が多いといいますか、舞台を見慣れている方が多いのかなという印象でした。一方で、博多座に観に来られるお客様は、日ごろあまり舞台をご覧にならない方も来て頂いているのかな?ノリがいいというんでしょうか。例えば宙乗り中に、僕らにむけて一生懸命に手を振ってくださるんです。あの姿が目に入ると、やはり演じる側としてはすごく元気をもらえます。

 

ー隼人さんが『オグリ』という作品自体を知ったのはいつ頃なんでしょうか?

『オグリ』は僕が生まれる前、平成3年に初めて上演された作品ですが、『オグリ』や『ヤマトタケル』といった作品があることは子供の頃から知っていました。うちの父親が出ていたので。ちゃんと物語を知ったのは役が決まってからですね。

 

ー『人は幸せになるために生まれてくる』。“人生こそ歓喜”が本作のテーマであると猿之助さんがおっしゃっていますが、演じる前と後ではこの作品のテーマ等、捉え方に変化は生まれたりしましたか?

この物語は、「説教節」という仏教の教義(因果応報)がテーマにあるので、人が生きる意味とか、どうして人は苦しみながらも生きていかねばならないのか…とか、難しいなって最初に感じました。人は生きていくうえで、いろんなものに迷惑をかけているんですよね。環境破壊はもちろん、食べ物もそうですよね?動物の命を奪って生きていくことになるので、そんなことをすごく考えさせられる作品だなというのが最初の感想でした。現代だと、我が道を行く人って芯が通っていてカッコいいと捉えられているじゃないですか?この作品は、はみだし者が叩かれて嫌われる風潮にあった時代でも、強く自分の信念を曲げずに生きていった男のお話なんです。そんなオグリを自分が演じてみて、若い人にも自分にも共通するところがすごくあるなと思いました。オグリもそうですが、人の気持ちを考えていたつもりが、実は考えられていなくて傷つけてしまったり、自分が楽しかったらいいじゃん!っていう若気の至りみたいなものが、それはダメだったんだよ…ということを身をもって体験していくんですよね。だから、演じれば演じていくほど、自分のいろんなものを見なおさないといけないなと思いました。若い頃には気づかないことってたくさんありますし。作品を観た年代でも捉え方は変わっていくでしょうけどね。

 

―今回、交互出演ということですが、ミュージカルなどでは通常のことですけど、歌舞伎では珍しいものですか?

歌舞伎では珍しいと思います。昔、猿翁のおじさまが主演の時に、若手がチケット代を安くして同じ演目をするというのはありましたが、チケット代も同じで二枚看板でやるというのは初めてなんですよ。

 

―珍しいといえば、今作では冒頭から緞帳に鏡を使われていたり、その鏡を使った演出など、すごく幻想的な場面が多く印象的でした!

そうですね。現代的な最新技術を取り入れています。そこは古典にはない、スーパー歌舞伎ならではの演出ですね。歌舞伎を知らない、初めて歌舞伎をご観劇のお客様も『オグリ』を観てよかったと言ってくださいますし、スーパー歌舞伎きっかけで古典を観るようになりましたと言ってくださる方もいて、嬉しかったですね。

 

―ポスターやチラシにも出ていますが、衣裳もちょっと意外でビックリしました。バンダナにキャップを被っている方もいたりして…

あれは“ラグジュアリーストリート”、いわゆる海外で流行っているようなファッションをちょっと日本風におきかえているんです。自分たちで自由に生きている若者…というイメージで表現しているんです。だから、歌舞伎の白塗りと合わせるとちょっと面白いんじゃないかなということで、僕のオグリはドレッドヘアーなんです。逆に、猿之助兄さんは「THE!スーパー歌舞伎」という感じの衣裳のオグリなんです。でも、実は猿之助兄さんは僕のようなこしらえをしたかったそうなんですけど、「年齢的にも似合わないから、悔しいけど隼人がやって!」と言われました(笑)。帽子をかぶる案は、猿之助兄さんの発案なんですよ。さらに、着物にフードがついているんですが、これは物語の中で、現代を生きていて、なおかつ悩んでいる人にはフードがついている…というところで登場人物(キャラクター)の違いを表現しているんです。

 

―セットも衣裳も、いろんな部分で一度観ただけでは気づかないことがあるので、リピートして観たくなりますね

そうですね。スーパー歌舞伎は宙乗りもあるので、2階・3階席が一等席になるとも言われています。目の前を役者が通りますしね。1階席の前方で役者たちの表情を観て頂いて、次は後方で演出やセットの面白さを観て頂ければいいんじゃないかなと思いますね。今回は曲も素晴らしくて、藤原道山さんがこのスペクタクルな舞台に合う、壮大な曲を作ってくださいました。

 

―この作品では、照手姫という健気でかわいらしいヒロインが登場します。亡くなったオグリのことを思って一生懸命に祈り生き続けている照手のような女性って、どう思われますか?

実を言うと…そんなにまでオグリのことを思わなくていいのに!って思っちゃうんです。亡くなったオグリのことを一途に思っているけど、次の恋愛に進んで幸せになって欲しいって思いますから。でも、あそこまで思い続けてくれるからこそ、胸がギュッと締め付けられるんですけどね。

 

―宙乗りや本水を使った立廻りなど、大変そうに思いますが、やはりハプニングはつきものですか?

そうですね、本水の場面は水で滑ったりすることはありますよねぇ。僕はスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』、新作歌舞伎『NARUTO』の時も含めて400回以上は水の中での立ち廻りを経験しているんです。だからあの場面は皆を引っ張っていけるようにと意識しながら演っています。

 

―終わった後の疲労感はスゴイんでしょうね?

いや、まったく疲れないです!興奮状態なんで(笑)。

 

―本水の場面は衣裳もすべて白一色なのが印象的ですね

一般的にこれまでの地獄のイメージは“赤”だったのではないでしょうか?そこを演出の杉原さんが、あえて“白”で表現されたんです。それによって立廻りで赤い照明があたることによって血のような生々しさが出て気持ち悪さも増しますし、スタイリッシュさも出て印象に残りますよね。

 

―歌舞伎をまだ見たことがない人には、「歌舞伎=難しい」というイメージがあるようですが、スーパー歌舞伎から歌舞伎に触れると親しみやすくなりますか?

はい、スーパー歌舞伎からは入るのはすごくいいと思います。僕がすごく嬉しかったのは、スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』の初演後、翌年の古典歌舞伎や浅草歌舞伎などにたくさんのお客様が来てくださって満席だったんですよ!半分以上がスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』で歌舞伎の世界に触れたというお客様が多かったから、こういうのって大事だなって思いましたね。

 

―今回の交互出演。否が応でも演技などで猿之助さんと比較されてしまうかと思いますが、隼人さんはどういったオグリを演じていこうと?

猿之助兄さんは憧れの方で、そんな方と交互出演をさせて頂けるのは、恐れ多さと嬉しさの両方の思いが混在しています。その中で、自分としては若さ溢れる勢いあるオグリを勤められたらなと思いながら演じています。一・二幕はオグリの荒々しさやカッコよさを全面に出せるところなので、そこは若さを出せば出すほど三幕でオグリが餓鬼病(がきやみ)になった時の落差が際立ってくるんじゃないかなと思っているので、その部分は特に意識して演じているかもしれないです。

 

―“小栗党”の仲間たちは、オグリを慕って集まった仲間だと思いますが、隼人さんにとってのオグリのような存在とは…

僕はやっぱり猿之助兄さんですね。スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』でご一緒させて頂いたのがきっかけですが、(坂東)巳之助兄さんや僕、尾上右近君なんかを小栗党の仲間たちのように、猿之助兄さんの一番近くにおいて育ててもらっています。だから、僕の中での“オグリ”はお兄さん(猿之助)ですね。生きる道を示してもらったという感じですから。

 

―憧れである猿之助さんの魅力はどこにあるんでしょうか?

とにかく博学なんですよね。何を言っても答えが返ってくる。それはお芝居に関してもプライベートでも。頭が良くて博学なのに子供っぽい無邪気なところがある。そのギャップが魅力なんじゃないですかね。新作歌舞伎の『NARUTO』に出た時は、猿之助兄さんのそばにいられてよかったなと思いました。スタッフさんへの気遣いや稽古割の組み方、先輩の役者さんの立て方とか勉強になりましたね。

 

―隼人さんご自身は、将来どんな役者を目指していらっしゃるのですか?

スーパー歌舞伎は猿翁のおじ様や猿之助兄さんが創られてきたものです。猿之助兄さんはそのスーパー歌舞伎の精神性を継いで欲しいと僕らを呼び寄せてくださっていると思うので、スーパー歌舞伎というものにはずっと関わっていけたら嬉しいですね。そして、歌舞伎はやはり古典が大事なので、古典歌舞伎から必要とされる存在になりたいです。目標は猿之助兄さんをはじめ諸先輩方ですね。

 

―歌舞伎をまだ観たことがない・チケット購入を迷っている方に、本作をおススメするとしたら?

今まであった舞台の中でも大迫力な仕上がりになっていると思います。照明の使い方もプロジェクションマッピングも、あえて舞台に小道具や屋台を組まずに表現したり、鏡を使った演出もあります。(博多座では左右同時宙乗りで、南座では1頭に2人で乗る)宙乗りも面白いですし、何トンも使った本水での立廻りなど盛りだくさんです。そのスペクタクルに負けないくらいのお芝居・内容が詰まってます!だから、歌舞伎だと構えずに観てもらっても、この作品は絶対に好きになると思いますよ。

 

―博多座でもリピーターの方が多そうでした。リピーターの方にはさらに楽しめるおススメの観劇ポイントを。そして、初めて観に来られる全ての方へメッセージを!

有難いですね。リピーターの方は、きっとご自分のお気に入りのシーンなどを探されて楽しまれているとは思いますが、芝居は日々進化していると思います。三幕目が一番大事になってくるので、“人生に絶望した男”というのをより表現できるようにお芝居を変えていっている最中なので、京都・南座で完成させられたらいいなと思っています。稽古中だと気づかなかった点も、お客様が入って初めて気づくことがあります。初めての方はもちろん、東京や博多で観た方にも、ぜひ南座にも来て頂きたいですね。歌舞伎と銘打っていますが、最先端の“舞台”になっていますし、人間はなぜ生まれて来るのか?なぜ辛い思いをしてまで生きていかねばならないのか?その答えが詰まっている作品になっているので、人生の“歓喜”というものを味わいに来てください!

―ちなみに、最近“歓喜”したことは?

え~最近の“歓喜”?(笑)。いや、歓喜って難しいんですよ…。結婚とか子供が生まれたとか何か分からないですけど、僕はまだそこまですごい歓喜は見つけられていないかもしれないけど…、1つ言える“歓喜”は、『オグリ』もそうですが、新作の舞台を作ってカーテンコールで拍手が鳴りやまなくて何度もお客様の表情を見ることが歓喜ですね。身も打ち震えるほどの喜び…みたいな。「良かった~!自分はこの瞬間のために稽古・舞台をやってきたんだな~」というところですね。

 

取材中、もっと多くの方々に歌舞伎を観て楽しんで欲しいという気持ちが伝わるよう、歌舞伎初心者の素朴な疑問・質問にも分かりやすく丁寧に答えてくれた中村隼人。これからの歌舞伎界を背負う中心にいる彼の、今後の活躍から目が離せない。現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止策の影響もあり、あらゆる公演が中止・延期になる中、この『オグリ』の公演も19日までの公演中止が決定。再開した日には、皆の心も“歓喜”に満ちあふれることを願わずにいられない。一日も早くエンターテインメントを心から楽しめる瞬間を願って…笑顔での再会を待とう!

 

 

■Profile:中村隼人(なかむらはやと)

‘93年東京都出身。二代目 中村錦之助の長男。2002年、初代 中村隼人として初舞台を務めた。その後は、古典からスーパー歌舞伎まで、数多くの舞台経験を積む一方で、TVドラマ、ラジオ、CM出演など幅広い活躍を見せている。

 

◆◇◆こぼれ話◆◇◆

取材の最後。ローチケのロゴ『ロ』を持っての撮影をお願いした時のこと。ロゴを受け取った中村隼人さんから出た一声は「ローソン…お世話になってます!“からあげくん”の新しい味が出たら全部食べてます!」と、ローチケのグループ会社であるローソンをも連想していただけたようだ。その意外な言葉に驚きを隠せずにはいられなかったが、華やかな世界に生きるプリンスのようなイメージが、普通の26歳・青年と変わらない一面を垣間見れたようで、気持ちがほっこりさせられた。

 

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サイン色紙の横には、オグリが好きな、物語のキーアイテムにもなるバラの花を添えて…

 

撮影:大工 昭

取材・文:ローチケ演劇部(シ)

 

衣裳:ジャケット・シャツ・デニム・シューズ(以上、すべてボス/ヒューゴ ボス ジャパン 問合せTEL:03-5774-7670)