博多座『二月花形歌舞伎』開幕!桜満開の舞台からパワーを届ける。幸四郎「止まるのではなく半歩ずつでも前進」

2月11日(木)、博多座(福岡県福岡市)で『二月花形歌舞伎』が開幕。初日を前に行われた取材に座頭の松本幸四郎が登場した。
今回の公演では、2018年の襲名披露以来約3年ぶり11度目の博多座出演となる松本幸四郎を中心に、華と実力を兼ね備える花形俳優たちが集結。昼の部には、荒事味溢れる歌舞伎舞踊『正札附根元草摺』、忠臣蔵外伝の名作『松浦の太鼓』。そして夜の部は、新歌舞伎『元禄忠臣蔵』全十篇の中でも人気の傑作『御浜御殿綱豊卿』、艶やかな花見の風景を元禄絵巻さながらに描く『元禄花見踊』の4演目を上演する。


「博多座に出させていただく度に言っていますが、母方の実家がある福岡は、子供のころからの思い出もある特別な場所であり、第二の故郷。だからこそ、前回よりも大きくなった姿を見ていただきたいと、毎回そんな思いでのぞんでいます」と語る幸四郎。今回の花形歌舞伎では、中村歌昇、中村壱太郎、大谷廣太郎、中村米吉ら若手を率いての登場となる。「平均年齢の低い一座ですが、皆、情熱とパワーを持った役者たち。何かに向かって突き進む、真っすぐな姿を皆様にご覧いただければ」と若手たちの活躍にも期待を寄せる。

「昼の部、夜の部ともにそれぞれお芝居と舞踊が一つずつという組み合わせ。しっかりと歌舞伎の楽しさを実感していただける内容」と公演の見どころを語る幸四郎。夜の部に上演される舞踊『元禄花見踊』では、今回の博多座公演のために振り付けや演出を新しくして、踊りの最中に舞台転換が行われる“がんどう返し”という大仕掛けも。桜吹雪の中、登場した幸四郎が華麗に舞うと、客席からは惜しみない拍手が送られた。

コロナウイルス感染症拡大防止のため、客席の前後左右を1席ずつ空けた座席配置など様々な対策の上、公演が実施される。「このような状況の中、歌舞伎の公演をさせていただくことに改めて感謝の気持ちです。まだまだ大変な状況は続きますが、そんな中でも立ち止まるのではなく何ができるのかを考え続け、半歩でも、1ミリずつでも進んでいくことが必要。そういった意味では、まずはこの公演を全員で完走することが目標です」と話す幸四郎。「皆様にパワーをお配りできるよう、歌舞伎への情熱・愛情をもって一生懸命勤めます」、と座頭としての意気込みを新たにした。