『中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2018』中村勘九郎&中村七之助 インタビュー

中村勘九郎、中村七之助を中心に、中村屋一門が毎年行う全国巡業公演「春暁特別公演」が2018年春、全国12ヵ所で上演される。

きっかけは一通のファンレターから。「地方にいると交通費、宿泊費もかかりなかなか歌舞伎を見に行くことが出来ない」という声に、「ならば自分たちが出向くことで、多くの方に歌舞伎を楽しんでもらおう!」と始まったもの。中村屋の心意気が詰まった取り組みも14年目に突入し、人気企画に成長している。毎年「初心者でも楽しめる内容を吟味する」と語る、勘九郎と七之助。

トークコーナー「芸談」では勘九郎らが近況報告、演目解説、質疑応答まで行う。
「昨年はボーイズラブが好きというお客様から、お二人はどうですか?と聞かれ、『ないです』と(笑)。驚きましたが、そういう何気ない対話から客席との敷居を無くしていきたい」と勘九郎。

観客の心を和ませる、ざっくばらんな話ぶりも好評だ。今年は3演目を用意し、初めは一門の弟子らによるご祝儀の舞「鶴亀」から。結婚式や襲名などで披露される新年度に相応しいハレの舞だ。続く「浦島」は勘九郎が昔話の主人公に扮して舞踊る。「兄が踊る『浦島』は玉手箱を開けてお爺さんに早替えしてからが面白い。中村屋独特の可笑しみがあり、父(十八世勘三郎)も喜んでいました」と笑顔で太鼓判を押す七之助。客席から自然と笑いが漏れる、勘九郎の愉快な“なりきり芸”は必見だ。


他方、七之助は城を傾けるほどの色香で君主を惑わせる絶世の美女、傾城の気品と、女性らしい毛振りもある女形の「枕獅子」を初披露する。七之助は「唄の歌詞を知っていれば、いま恋い焦がれているんだなとか、振りの意味が分かってより楽しめますが、それがなくても、何だか素敵だなと思う気持ちも大切。衣装、頭の形、踊りなど、好きに見て楽しんで頂ければ」。歌舞伎以外の舞台にも挑戦する七之助や2019年の大河ドラマの主演が控える勘九郎。幅広い活躍を見せる兄弟が顔を揃える、本領発揮の舞台は見逃せない。