―狂言劇場 特別版― 能『鷹姫』・狂言『楢山節考』 開幕!初日コメント&舞台写真が到着!

 

 

古典芸能という枠にとどまらず「“舞台芸術=パフォーミングアーツ”としての能・狂言」というコンセプトに基づき、2004年にスタートしたシリーズ『狂言劇場』。特別版となる今回は主演目に能の演目が登場。
狂言『楢山節考』能『鷹姫』は、人間―超自然、 烏―鷹、命を断ち切る行為―永遠の生命
相いれない二つの要素を互いに持ち、さながら対になっている…。
現代日本社会をあらわす鏡のような二つの世界が、ついに劇場空間に立ち上がる!
出演する、芸術監督・野村萬斎の初日コメントをお届けいたします。

 

――初日を終えた現在の心境や、本作の魅力について(6月23日)

≪野村萬斎≫
60年前の作品「楢山節考」と50年前の作品「鷹姫」が衰えることなく受け入れられたことに感謝しています。普遍的な題材を、伝統ある洗練された手法を用いて、劇場空間の中で磨き上げることができた感覚があり、作品のもつ光を皆さんに感じていただけたことに喜びを感じています。「姥捨山伝説」を土台にした狂言『楢山節考』では、主人公の老婆“おりん”が世代交代のために自ら死を選ぶ、W・B・イェイツの「鷹の井戸」が原作である能『鷹姫』では、“老人”、若き王子“空賦麟”、泉を守る魔性の“鷹姫”が永遠の命を得ることができる泉の水を求め争うも、先に死ねば雪に埋もれて地に還り、永遠の命を求めてもやがて岩になる。
人間も所詮は地球の一つ、宇宙の一つ、森羅万象の一つ、一要素でしかないというその感覚を、今日改めて感じました。また87歳(野村万作)から18歳(野村裕基)までの世代が関わっていることにより、多重性を見出していただければと思います。
改めて能と狂言は表裏一体だと感じましたし、「生きる」ことと「死ぬ」ことにストレートにぶつかる作品を、能・狂言それぞれの表現でお見せできて感慨深いです。抽象的な表現を用いていますが、だからこそ人間の本質や普遍的なテーマを、お客様に届けることができるということに改めて自信を持つことができました。
ぜひ、多くのお客様に舞台芸術(パフォーミングアーツ)としての能・狂言をお楽しみいただけますと幸いです。劇場でお待ちしております。

『鷹姫』 空賦麟:野村萬斎
撮影:政川慎治
『楢山節考』 おりん:野村万作
撮影:政川慎治
『楢山節考』 烏:野村萬斎
撮影:政川慎治
『三番叟』 野村裕基
撮影:政川慎治

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