新作歌舞伎 刀剣乱舞『月刀剣縁桐』|尾上松也 インタビュー

©NITRO PLUS・EXNOA LLC/新作歌舞伎『刀剣乱舞』製作委員会

刀剣乱舞が好きな方も、
歌舞伎好きな方も楽しめる作品にしたい

 

『刀剣乱舞』がついに新作歌舞伎として上演される。名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”が歴史の改変をもくろむ“時間遡行軍”と戦う人気ゲーム「刀剣乱舞 ONLINE」(DMM GAMES/NITRO PLUS)は、様々なメディアミックスでも成功を収めてきた。そして歌舞伎も近年、漫画やゲームを原作とした新作を積極的に生み出し好評を博している。必然にも思える『刀剣乱舞』と歌舞伎の融合。三日月宗近役として、さらに演出家として作品を担う尾上松也が本作への思いを語った。

「ミュージカルや舞台、アニメに映画、コラボ……と多方面に飛躍して展開されていましたので、『刀剣乱舞』の存在は随分前から知っていました。その人気も分かっていたつもりだったのですが、情報が解禁された時にはTwitterのトレンドで僕の名前が1位になるほど注目していただいて。本当に多くの方に愛されている作品なのだと実感しました。嬉しかったですし、気を引き締めなくてはという気持ちも増しました」

絵本を原作とした『あらしのよるに』や漫画原作の『風の谷のナウシカ』、IHIステージアラウンド東京にて上演された『ファイナルファンタジーⅩ』などにも出演してきた尾上松也だが、「これまでは先輩方が作り上げたいと思う作品をお手伝いするような感覚。自分はお役をどう表現するかに心血を注げば良いという気持ちでした」と振り返る。

「今作には企画から入らせていただいておりますのでプレッシャーも感じています。ですが歌舞伎自主公演の『挑む』やプロジェクト・IMY(あいまい)での『あいまい劇場』などを通して、自分たちの構想が形になり、それがお客様の元に届いて評価していただくことに大きな喜びとやり甲斐があることを知りました。無事に公演を終えた時には今まで感じたことのなかったような達成感と高揚感があって! 大変なこともありますが、自分の作ってみたいものをより具現化していきたいという気持ちで、演出については僕の方から提案させていただきました」

現時点(※取材時)では、共に演出を務める尾上菊之丞と諸々相談中とのことだが、歌舞伎と『刀剣乱舞』の相性の良さは常に感じているという。

「歌舞伎とキャラクターとの親和性は数々の作品で立証されていますし、歌舞伎には歴史を扱う演目がとても多い。何より『刀剣乱舞』はあらゆるコンテンツでそれぞれのストーリーを持っている。ゲームの設定を踏襲して世界観を守りつつ、各“本丸”の展開を作っていかれるところが取り組みやすさにつながっている気がします。今作を上演すると決まった時からずっと掲げているのは、古典歌舞伎の要素をできるだけ取り入れること。他コンテンツの真似事をしていては意味がないですし、僕ら歌舞伎俳優が基礎としている古典の素晴らしさを大事にしてこそ、歌舞伎で『刀剣乱舞』をやる意味が生まれると思っています」

理想は「歌舞伎を初めて観る『刀剣乱舞』ファンの方も、『刀剣乱舞』に初めて触れる歌舞伎好きの方も両方楽しめる作品」だと意気込む。

「古典歌舞伎も予備知識なく見られるものではあるのですが、ずっと誰もが内容を理解し楽しめる作品を作ってみたいと思っていました。約束事や、ものすごく歌舞伎っぽいことをしているけれどストーリーがちゃんと伝わるものを作りたい。歌舞伎のひとつとして、ひとつの“ものがたり”として全ての方にお楽しみいただける作品を理想としています。それぞれの世界がさらに広がって、エンターテインメントとして歌舞伎も『刀剣乱舞』もさらに高みに向かっていけたらありがたいなと思いますので、ぜひ劇場にいらしていただきたいです」

インタビュー&文/片桐ユウ

※構成/月刊ローチケ編集部 6月15日号より転載

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【プロフィール】

尾上松也
■オノエ マツヤ
5歳で二代目・尾上松也として初舞台。歌舞伎のみならず、数多くの舞台、映像作品にも出演している。