舞台『ジーザス・クライスト・レディオスター』板倉俊之×染谷俊之インタビュー!

舞台『ジーザス・クライスト・レディオスター』が12月12日(水)より紀伊國屋ホールにて上演となる。本作は劇団AND ENDLESSの主宰で演劇作家の西田大輔オリジナル作品として2004年に初演し、過去4回、再演が繰り返された人気作。また、今回の公演では元お笑い芸人の気鋭脚本家・家城啓之(マンボウやしろ) が脚色・アレンジを務め、さらにその脚本を西田が演出をするという新たなコラボレーションで生まれ変わる。

舞台はラジオの収録スタジオ。カリスマDJ・ジーザスの特番生放送のOA直前にジーザスは失踪。しかし番組プロデューサーはOAを指示。番組ディレクター、放送作家、音響などスタッフに加え、スポンサー企業の社長や演歌歌手などさまざまな人を巻き込んで番組がスタート。無事生放送を終えることはできるのか……。

果たして『ジーザス・クライスト・レディオスター』はどんな舞台となるのだろう。本作の主人公であるジーザス吉田とその弟・吉田健康の2役に挑むインパルスの板倉俊之と番組ディレクター・長谷部翼役の染谷俊之から魅力や見どころ、意気込みを聞いた。

 

――よろしくお願いします。稽古の調子はいかがでしょうか?

板倉「今のところ順調です。本番が始まったら大クラッシュはあると思いますけど(笑)」

染谷「ただでさえ忙しいシチュエーションコメディなのに……、大クラッシュなんてイヤだなあ(笑)」

板倉「トラブルがあると思っていたら本番中も動じずにいられるから。事故がなかったらラッキーくらいの気持ちの方がいいよ(笑)」

染谷「たしかに!」

――板倉さんは、コントと演劇はどう違うと思われますか?

板倉「コントは笑いを起こすための装置ですから、もともとの前提が違うんじゃないかなって。コントで真面目な芝居をしても、それは後の笑いの伏線だったりするので。それと、演劇はメインじゃない場面でもずっと芝居を続けていなくちゃいけないのがすごいなって思います。コントは基本ずっと前に出ているような状態ですが、演劇だと邪魔にならないように舞台にいるという場面も多かったりする。そんなとき、どうしてたらいいのかわからず、もじもじしちゃうんですよね。」

染谷「ただ、その佇まいがすごい吉田っぽいんですよねぇ。」

 

――板倉さんが前に出ない場面も注目ですね。

染谷「必見ですよ!」

 

――染谷さんがシチュエーションコメディ作品に出演するのは珍しいですよね?

染谷「ほぼ初めてだと思うんですけど……、大変ですね(笑)。あっちこっちで色んなことが起こるんですよ!」

板倉「ある種、染谷さんは物語の進行、ツッコミの全てを担っている一番大変な役回りだもんね。」

 

――染谷さんはラジオ番組のディレクター長谷部翼役で、本作はラジオの収録スタジオが舞台となるんですよね。

染谷「そうです。メインのラジオDJが失踪したのがきっかけとなって、いろんな人物を取り巻く複雑な展開が描かれるわけですが……、そもそもメインのDJがいないなら放送中止でいいじゃないですかね?(笑)」

板倉「たしかに(笑)」

染谷「そんな状況で無理やり放送を強行するものだから、もう大変(笑)。でもそれだから、物語の先に一瞬の花火を見るような美しい体験ができると思います。」

板倉「俺もそういうコメント言えるようになりたいなぁ〜(笑)」

染谷「ちょっと、ちゃかさないでくださいよ!(笑)」

――板倉さんは本作の魅力をどう感じていますか?

板倉「登場人物がわざとボケるわけじゃなく、一生懸命やった結果、ぼけているように見えるというのがこの作品のいいところだと思いますね。」

 

――なるほど。本作では家城啓之さんが脚本のアレンジで入っていることでも話題を呼んでいますが、台本を読んだ印象はいかがですか?

板倉「僕は家城さんが芸人の時からお世話になっているのですが、ジーザス吉田の台詞にインパルスのネタで使っていた台詞があったりして感慨深かったですね。あと、カリカっぽいなあと思えるような家城さんらしい笑いの場面もたくさん感じられると思います。」

 

――稽古中にアドリブが出ることもあるんですか?

染谷「生放送で時間がないという設定なので、台本にはないめちゃめちゃなこともつい言っちゃったりしますね(笑)。ただ、そういう生っぽさは案外いいのかなとも思っています。」

板倉「染谷さんの役は大変だからねえ。キレたと思ったら次の瞬間笑いのパートにいかなくちゃいけないみたいな。瞬間的な変化の振れ幅がすごい役ですよね(笑)」

 

――では、染谷さんから見た板倉さんの印象はいかがですか?

染谷「とにかく台詞が台詞に聞こえないというか自然なんですよ。その場にずっといたかのように言葉が出てくる。ジーザスと吉田はほぼ真逆な性格なのにどっちも自然にできるなんて……、学んでばかりです。」

板倉「嬉しいなぁ!」

 

――それでは、最後にお客さんにメッセージをください。

染谷「ラジオ生放送の緊張感と舞台の臨場感がマッチして、お客さんを前のめりにさせてしまう作品だと思います。なので、難しいこと抜きに、自分だったらどうするなんて考えながら、2018年最後の笑い納めに来てくれたら嬉しいです!」

板倉「僕が形式上主演ということになっているので演劇ファンの方のなかには「芸人が主役かぁ」と感じている方もいらっしゃると思いますが、それほど主演という感じではないので安心して見に来てください!」

(一同笑い)

板倉「そしてお笑いファンも楽しめるコメディ作品になっているので、お笑い好きの方もぜひ見に来てください。」

舞台『ジーザス・クライスト・レディオスター』は12月12日(水)から24日(月・祝)まで紀伊國屋ホールにて上演。

インタビュー・文・Photo/大宮ガスト

 

【プロフィール】
板倉俊之
1978年、埼玉県富士見市出身。堤下敦とお笑いコンビ「インパルス」を結成し、以後すべてのコントの作・演出を手掛けている。2009年、初の小説『トリガー』を発表。また、俳優としても多数出演。

染谷俊之
1987年12月17日生まれ、神奈川県出身。
舞台『弱虫ペダル』、『刀剣乱舞』、『私のホストちゃん』などの数々の人気作に出演。
現在、 声優では『HUGっと!プリキュア』に若宮アンリ役で、『BAKUMATSU』に土方歳三役で出演している。