©Nitroplus /TYPE-MOON・ufotable・FZPC ©ミュージカル「Fate/Zero」製作委員会
アニメと往復して観たくなるような作品にしたい
人気シリーズ「Fate」の原点である『Fate/stay night』の前日譚を描いた『Fate/Zero』が、ミュージカルとして初めて舞台化され、東京・大阪にて上演される。物語の主人公・衛宮切嗣を演じるのは、新木宏典だ。
「とても有名な作品への出演のお話をいただいて、ありがたいのと同時にプレッシャーもありました。以前放送されたTVアニメは観ていましたし、そのアニメが面白かったからこそ、舞台で表現していくのが難しい作品だとも思っています。アニメならではの表現で既に成立している物語を、舞台というアナログな場で表現するには、その捉え方も方法もまったく違いますから。引き受けるのであれば責任をもって演じなければと感じました」
脚本・演出・作詞を担うのは、西森英行。そして原作者の虚淵玄も脚本監修として名を連ねており、謎や伏線が張り巡らされた「Fate」の世界を丁寧に具現化する。
「この作品は、会話の内容が直接的ではないことが多いですし、『Fate/Zero』の中だけでは解消されない部分がたくさんあると感じています。その“含み”を表現する必要がありながら、ミュージカル版で選択する要素、エピソードの有無によって、“何を含ませるか”のバランスも見ていかなければならない。あくまで僕らはミュージカル版の『Fate/Zero』を舞台上で表現するので、そこは脚本と向き合ってからの悩みどころになりそうです」
舞台化にあたり、時間の都合上、エピソードを整理したり、削られたりしてしまうことは往々にしてある。情報量が減ってしまうようにも思えるが、新木はミュージカル化したことで見えてくるものがあるはずだと話す。
「もちろん原作をリスペクトすることは最低条件です。でもミュージカルへとシフトチェンジしていく上で原作に引っ張られすぎると、舞台でやる意味のないものを作ってしまったり、物語をただ舞台化しただけになってしまう恐れもあるんですよね。舞台って、隠せないんですよ。アニメの画角だと映っていなかったところも、舞台だと丸見えになる。だからこそ、きっとミュージカルになったことで新たに見えてくるものがあるはず。視野が広がって、むしろ情報量が増える。『Fate』ファンの方は、何度も何度も作品を見返して、たくさん考察していると思います。そういうファンの方々に、ミュージカルになったからこそ見えてきた、知り得なかった一面というものをほんの1ピースでも提示できれば…。そして、ミュージカルになってよかったと思ってもらえるような、アニメと往復して観たくなるような、そんな作品にしていきたいです」
インタビュー&文/宮崎新之
【プチ質問】Q:手土産を選ぶポイントは?
A:コロナ禍以降は、個包装されているものを選ぶようになりました。状況は緩和されてはいますが、今もそこは気にしています。
現場の差し入れなどを選ぶとき、甘いものか、塩っぱいものかは現場によりけりでケースバイケースですね。たくさん運動しているような現場であれば、ミネラルが多いものが良いと思うし、頭を使うような現場であれば単糖類のものにするとか。作品を作る上で、特に使っているのが身体なのか頭なのかによって、選ぶものも変わりますね。
※構成/月刊ローチケ編集部 12月15日号より転載
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
新木宏典
■アラキ ヒロフミ
数多くの舞台に出演。近作は舞台「歌舞伎町シャーロック」、明治座創業150周年記念「赤ひげ」など。