東京夜光『世界の終わりで目をつむる』開幕レポート

2018.12.20

川名幸宏が主宰する東京夜光の本公演『世界の終わりで目をつむる』が12月19日に下北沢 小劇場楽園にて開幕した。本作は、下北ウェーブ2018選出を機に旗揚げを果たした東京夜光の初単独公演となる。
川名幸宏自身が二年前に三畳の部屋に住んでいた経験から着想を得て書き始めた物語が、芝居のかたちとなりついに世に公開されることとなった。 主人公の光(丸山港都)の元に瞳(さかいかな)が現れたことにより、光を取り囲む大学時代の仲間である大戸(神谷大輔)、真希(砂田桃子)、末松(佐藤修作)や、姉・香織(吉田多希)との関係が歪に動き始め、各々が抱えている気持ちが露わになっていく。さらに、瞳の友人である頼子(笹本志穂)、大学生の斎藤(藤家矢麻刀)、光の義理兄・武士(草野峻平)との関わりによって少しずつ光の日常、瞳との日々が変化していく。 登場人物は皆、大切にしているものを信じたい気持ちや、人と関わることへ恐れを心の奥底に抱えながら懸命に生きている。その不器用な生き様からは、見る人の視点によって滑稽な面白みも、切なさもやりきれなさも、そして愛しさもを感じることができる。「世界の終わり」は果たして訪れるのか。川名幸宏が描く美しく作り込まれた台詞や、役者の丁寧で繊細な動きを、一つ一つ逃さず感じていただきたい。また、抽象的に登場人物の心情を表す舞台セットと照明、透明感のある音楽もぜひ注目いただきたいポイントである。 今作は12月24日(月・祝)まで下北沢 小劇場楽園にて上演。

 【コメント】
≪作・演出:川名幸宏≫東京夜光「世界の終わりで目をつむる」が開幕しました。
この物語を書き始めたのが2年前、僕は風呂なしの三畳の部屋に住んでいました。そのときの、鬱屈とした、見えなさすぎる未来への不安や、何かを信じることへの怯えの感覚をべっとりまとった、それでも心地よく軽やかな作品になりました。
自分の体中で鳴ってる叫びみたいなものを、キャスト、スタッフの皆さんと、日々模索しながら、ああでもないこうでもないと、幸せな創作ができています。
平成最後の年末に、世界の終わりに目をつむりに、ぜひいらしてください!