SAKURACROSS PROJECT『NINETEEEEN GRRRLZ’ 99』|山崎彬(脚本・演出)&山口乃々華 インタビュー

山口乃々華

演者と観客の境界がないような作品にしていきたい(山崎)

女性キャスト12人で描かれる書き下ろしの新作舞台、1990年代のメロディで彩られた“デタラメな世紀末エンターテインメント音楽劇”SAKURACROSS PROJECT『NINETEEEENGRRRLZ’99』が4月に上演される。世紀末を軸に現代と過去が交錯する物語を、舞台と客席が一体となった観客参加型の手法で描くという注目の作品。脚本・演出を手掛ける山崎彬とキャストの山口乃々華に、作品の魅力や90年代の音楽などについて聞いた。

山口 オーディションは6人ぐらいと一緒にやらせてもらったのですが、すごく和やかな雰囲気で、こんな中でお芝居をできたらいいなと思ったので、合格したときはとても嬉しかったです。

山崎 山口さんは、すごく強い意思みたいなものを言葉だとか立ち姿とかに乗せる人だなというのが、最初の印象でした。山口さんには物語を引っ張っていくような役割をやっていただきたいと思っています。たぶん面白い役柄になると思います。僕はあてがきしか書けないので(笑)。

山口 楽しみです(笑)。

今作の舞台となる1999年は、ノストラダムスの大予言がブームとなった世紀末。

山崎 ちょうど僕は10代後半で、あの頃の音楽だったりテレビというものが、学生たちの中でも影響を持っていた時代で。世紀末でどんよりはしているんだけど、そこまでの悲壮感は今ほどないあの頃の空気感を蘇らせて、モーニング娘。さんの『LOVEマシーン』に象徴されるような90年代のメロディにのせて表現できたらなと。

山口 90年代って、派手でカラフルでキラキラした活気があるイメージです。好きな90年代ソングは華原朋美さんの『I’m proud』と今井美樹さんの『PRIDE』。今回の公演は当時の雰囲気を感じるメロディで構成された音楽劇なので、幅広いお客様と一緒に盛り上がれそうですね。

観客が劇場に来た意味を感じてもらえる舞台を作るように心がけていると言う山崎。

山崎 去年もお客さんを巻き込む“参劇”というのを押し出した舞台をやったのですが、今回も物語に関わるやりとりをするような、演者と観客の境界がないような作品にしていきたいです。

山口 客席と舞台がシームレスな作品に出たことがないので、より楽しみになりました。

改めてオリジナル作品の魅力とは――。

山崎 演劇の場合のオリジナル作品って、僕は、NODA・MAPさんとか大人計画さんを観てわ~っと思った世代なので、やっぱりデタラメな魅力なんですよね。今はわかりやすい多くの人に伝わるものを求められてはいるんですけど、僕はやっぱり、何だかわからないけど“すげぇ”みたいなものを作りたいし、それは演劇だからできると思っているんです。ストーリーではなくて、一作り手として今感じていることをしっかりと出したいなと思っていつも書くようにしています。

インタビュー&文/井ノ口裕子

※構成/月刊ローチケ編集部 3月15日号より転載

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【プロフィール】

山崎彬
■ヤマザキ アキラ
脚本家・演出家・俳優。自身の劇団「悪い芝居」全公演で作・演出を務める他、『HUNTER×HUNTER』THE STAGEなど、話題作を数多く演出。

山口乃々華
■ヤマグチ ノノカ
ダンス&ボーカルグループ「Egirls」を経て、現在は『SPY×FAMILY』『ジェイミー』などミュージカ
ルを中心に活躍。