劇団☆新感線39興行・春公演 いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌』生田斗真 インタビュー

なぜ“偽義経”なのか
本番を楽しみにしていてください!

 

劇団☆新感線への出演はすでに3度にのぼり、すっかり“準劇団員”として厚い信頼を寄せられている生田斗真。そんな生田が人気シリーズ「いのうえ歌舞伎」で、ついに主役を任されることになり、新作『偽義経冥界歌』に挑む。

生田「数ある新感線のシリーズの中でも、いのうえ歌舞伎は特に人気のある作品ですからね。時代物を新感線風にアレンジしていて、少年漫画を読んでいるような面白味とカッコよさがあり、そして何より俳優陣がよく動く(笑)。そんな新感線の真骨頂が観られる場所に、主役として立たせていただけることは、本当にありがたいなと思います」

 

生田が初めて新感線に参加したのは、’02年の『スサノオ~神の剣の物語』。当時まだ高校生だった生田に、俳優としてどう生きていくべきか示唆してくれたのが、この出会いだったと言う。

生田「自分の人生を変えてしまうほどの出来事でしたからね。劇団員の皆さんはあの時からずっと、それこそ大学時代から今まで39年間変わらず、楽しみながら演劇をつくっている。そういうお兄さん、お姉さんたちに憧れて、自分も演劇の世界に身を置いてやっていきたいと思ったわけですから。僕にとってはまた帰ってきたいと思う場所であり、昔から知ってもらっているからこそ、やっぱり手ぶらで帰るわけにはいかない場所。一番身近にいる人たちであり、それと同時に一番厳しい人たちのもとに自分が何を持って帰ることができるか。今、改めて身が引き締まる思いです」

 

座付き作家・中島かずきの書き下ろしとなる本作は、歴史上の人物の中でも特に謎めいた存在として知られる、源義経を主軸にした群像劇。そこで生田は、主人公の“偽義経”を演じる。

生田「結構二転三転する話で、中身については、なかなか言い難いところがあるんですよね。タイトルに“偽義経”とあるように僕が“偽義経”ではあるんですが(笑)、なぜ“偽”なのか、といったことはぜひ本番を楽しみにしてもらえたらなと。キャラクターとしては、今回もまたおバカちゃんっぽい役にはなりそうですね(笑)。なんか僕、新感線に出させてもらう時って、わりと抜けた、おバカな役をやることが多いんですよ。いのうえ歌舞伎なのでもちろんカッコいいところもあるんですけど、ベースとしては『大丈夫か、こいつ?』ってキャラクター(笑)。中島さんが僕ありきで書いてくださっている台本ということで、当て書きにはなるんですが、やっぱり新感線の方々は僕をこういう風に見ているんだなと(笑)。オモシロの部分というか、“笑い”に関しては、これまで(演出の)いのうえ(ひでのり)さんから学んできたことが自分の中に大きくあるので、今回もまたいろんなことを吸収していけたらなと思います」

 

笑いだけでなく、いのうえ歌舞伎の醍醐味である殺陣ももちろんふんだんに盛り込まれる予定。

生田「殺陣のシーンはかなり多いですね。それだけにひとつ大きな見せ場になっていくと思うので、きちんとカッコいい立ち回りをお見せ出来たらいいなと思っています。新感線って本当、体と頭、その両方をものすごく使うお芝居なんですよね。運動会みたいというか(笑)、終わったあとの達成感がハンパじゃなくて。しかもそれが毎公演ですから。自分が“生きている”ってことを強く感じられるんです」

 

また本作は、劇団旗揚げ39周年を記念した“サンキュー興行”という位置づけも。これまで応援してくれた観客への感謝と、この2年間、東京・豊洲の劇場まで足を運んでくれた観客への感謝を込め、大阪を皮切りに金沢、松本、’20年には東京、福岡と、久々に地方公演を行う。

生田「地方公演って近年、だんだん少なくなってきていると思うんです。わざわざ大都市に行かないと観られないというものが増えている中で、自分たちの足を使って、あなたの土地まで行きますよっていうのは、僕としてもすごくうれしいし、楽しみだなと思っています。 それに新感線のお芝居って、本番が始まってからもいのうえさんが毎公演チェックされていて、日々進化していくんですよね。これはひとつ新感線の面白味だと思うんですが、今回はその進化がより大きくなるでしょうし、2回、3回と観ていただくことで、いろいろと違いを楽しんでいただけるのではないかなと思います。あとは何より新感線は美味しいものが大好きなチームでもありますから(笑)。それぞれの土地の美味しい食事も楽しみたいなと。そしてお客さんに対しても、お芝居を観て、美味しいものを食べて帰るっていう、贅沢な一日を提供できるのではないかなと思います」

 

最後に「チケット購入を迷っている人に何かひと言を」とお願いすると、力強い返答が……。

生田「何を迷ってる!(笑)もちろんいろいろ調整したり大変だと思いますけど、この瞬間を逃したら二度と観られないのが、演劇の儚さであり特別なところ。ぜひいらしてほしいなと思います」

 

インタビュー・文/野上瑠美子
©2019『偽義経冥界歌』

 

※構成/月刊ローチケ編集部 1月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

 

【プロフィール】
生田斗真

■イクタ トウマ ’96年からジャニーズJr.として活動を始める。’19年NHK大河ドラマ『いだてん~
東京オリムピック噺~』に出演。