プレミア音楽朗読劇『VOICARION Ⅳ Mr.Prisoner』上川隆也 インタビュー

音楽と物語が絶妙に絡み合ったオリジナル音楽朗読劇創作の第一人者である藤沢文翁が原作・脚本・演出を手掛け、東宝株式会社とタッグを組んで贈る、「超豪華キャスト×生演奏による美しい音楽×上質な演出」三拍子を揃えた音楽朗読劇シリーズ「VOICARION」。
俳優として第一線で活躍し続ける上川隆也、声優界の至宝である、林原めぐみと山寺宏一の3人が声のみで物語を紡ぎ出し、その七色の声が観客のイマジネーションを刺激する。初演から3年、3月からの公演を前に上川隆也が取材会を行った。

 

――再演が決まった感想をお聞かせください。

上川「3年前に上演した作品の再演ということで、緊張感もありますが、林原さん、山寺さんという尊敬する2人と共演出来ることを嬉しく思います。初演で感じた3人の芝居のユニゾンを、より一層感じていただける作品を作っていきたいです」

 

――「Mr.Prisoner」は、どのような作品でしょうか?

上川「ジャンルをカテゴライズすることが出来ないですが、謎解きの要素もあり、ハートフルな人間愛もあります。オペラ座の怪人と足長おじさんを足して2で割ってちょっとダークな絵の具で色を付けたような感じでしょうか?・・・分かりづらいかもしれませんが、お席を立たれる際には、温かい気持ちになっていただける作品です」

――「朗読劇」に挑戦しようと思ったきっかけはありますか?

上川「山寺さん・林原さんというお2人とご一緒出来るというお声掛けがあったからです。何よりもお2人との共演が嬉しかったですね。これまで、十二分にすごさを様々な作品で受け取っていたので、そのお2人と役者として相まみえることが稀有な機会だと思いました。俳優と声優では、異業種となり、接点を得づらいので、この機会を逃したくないと思いました」

 

――朗読劇ということで、声をキープする方法はありますか?

上川「ないです。あまり声で難渋したことがないです。普段通りに過ごしていると、風邪もひきません。若いころは技術が伴わないので、がむしゃらに声を出し過ぎることもありましたが、30歳を超えてからはございません。基礎的なことは劇団で教えていただきましたし、それが下支えしてくれているとは思います」

 

――今回の作品では2役を演じるとのことですが、演じる際の工夫などはありますか?

上川「普段の舞台で2役演じる時は、衣裳などのビジュアルなど、全て変えることが出来るので、お客様にも演じ分けをより分かりやすく受け止めていただけますし、色んな方のお力をお借りし、心情+αを盛り込むことが出来ます。声だけのお芝居になると衣裳変えもなく、その場での演技になるため、より演者の想像力が必要になると思います。ビジュアルや視覚的な要素をそぎ落とし、それぞれのキャラクターの心情にどう寄り添っていくことが出来るかしか、手札がないんですよね。なので、自分の中に2人の人物を用意し、そこからスタートして、細部へ造形を施していきます」

――再び共演されるお2人についてはいかがですか?

上川「役者として尊敬できるお2人と共演出来ることが、非常に光栄です。2人と比べると、声の仕事をしているわけではないので、初演時は、とにかく迷惑を掛けないように努めさせていただきました。今回、再びご一緒出来ることがとても嬉しいです。また、初演をきっかけにプライベートでも交流させていただくようになり、その関係性がお芝居にも反映されると思いますので、初演とは少し違うものになるのではないかと予感しています」

 

――山寺さんと林原さんの2人の魅力と刺激についてお聞かせください。

上川「山寺さんは、あれだけのキャリアと実績をお持ちでいながら、決してご自身を過大に評価されないんですよね。常に自問自答しているような方です。だからこそ、これほど色々な役をやりこなせるように、なられたんだと思いますし、ご自身の中に課している切磋琢磨は頭が下がるばかりです。林原さんは、どのように役を演じているのか、傍で見ていても、見て取れないほど瞬時にその役柄と寄り添っているようなお芝居をされていて、顎が落ちそうになります。演者としての底力を、前回も垣間見せていただき、お2人のお芝居に向けられる姿勢やエネルギーは、とても刺激になりました」

――最後にお客様へのメッセージをお願いします。

上川「VOICARIONは、舞台の空間全てをお客様の“イマジネーション”のために出来る限り設えてお届けする、努力やエネルギーが注ぎ込まれた作品だと思います。朗読劇といえば、声で作品をお届けすることが基本ですので、演者が姿を現す必要もないかもしれませんが、今作では、役柄に見合った衣裳を纏いますし、演出も、照明や特殊機器を使って、お客様に“イマジネーション”を膨らませて、より物語に没入していただけるような工夫を随所に凝らしています。ぜひ劇場で体感してください」

 

取材・文・写真/ローソンチケット